見出し画像

Color from nature.



Life and Color


自然と色のつながり。




ーーーーーーーーーーーー


なぜ「色」




わたしが最初に住んだ街、デボンポート。


画像1


気持ちがスッとする鮮やかな港の青

そして穏やかに広がる芝生の緑



夏を迎えようとする頃

(日本とは四季が真逆なので12月頃)



新たな色が加わる。



クリスマスツリーとして親しまれる
ポフツカワの力強い 赤 が加わる。


画像2




ニュージーランドを象徴する
要素で溢れたこの風景

生活が始まって1ヶ月ぐらいの頃

この風景を目の前にして
あっこれがニュージランドなんだ。


ランドスケープのなかの色彩が
強烈に印象を型どったといえるのです。


それ以来、帰国まで意識的に風景のなかの
織りなしている色のことをふと考えて過ごすようになりました。




色彩が生む、この国らしさ。



青、緑、赤、

そんな簡単に表現できる3色ではなく




この港が生み出す透明感があり、
光や天気で変化する
ここだから見れる


明るみをもち、ムラなく一面に広がる
ここだから見れる


強い赤のなかで
少しくすみを持った生命感あふれる
この木だから生まれる



国有のランドスケープと花が見出す色の世界。





ポフツカワは
国花であるコファイ(黄色)の開花の終わり頃に咲く。

この色の重なりは日本では味わえない。



画像3

コファイ



そんなことをぶつぶつ考えると
「色」というものはとても興味深く感じるのです。



あ〜じゃあ日本らしい、
日本を象徴する色の織り重なりってなんだろうと。




私の生まれ育った街は、田んぼと住宅が広がり
気持ちの良い青空が広がります。

もう少し言えば、特に目だったものはなく
なにもない場所であり
心穏やかにのんびりした街です。


だからこそ色に注目して散歩をすると
もう少し繊細な色合いが広がっています。

5月を迎えたいま、
柔らかく広がる雑草の花々、
徐々に一面に色づく若苗の繊細な緑。


帰国して初めて見える色彩の世界がありました。



日本の伝統色



そんな色の魅力に惹かれながら
わたしが読み直した本があります。


画像4




もともと「色」自体に興味があったこともありますが、
もう少し科学的に日本の色について、はるか昔の人たちがどうその色を生み出していたのかとても気になったのです。






なかでもわたしがひきつけたれた色を
少しここに残します。





藍色


画像5


最古の着色染料の一つである
藍から生まれた色。


画像6

タデ藍




"Japan Blue"   "Samurai Blue"

世界中が注目する日本の藍染の世界。

この色の背景には、とても平和を感じます。藍はどんな繊維にも染まるため世界中で身分に関係なく愛されたと言われます。日本では昔は色で身分をわけ、身に纏うことができなかった色も多くあるなかこうした藍色は庶民に愛されました。庶民の中で愛された色こそが日本の歴史を大きく枠どっていると思うととても感慨深いのです。





萌黄色

画像7


新緑の萌え出る草木の冴えた緑色。



画像8

萌黄の季節

私は、4月5月のまだ葉が開ききる前の小葉で成り立つ繊細なランドスケープが四季のなかで1番好きな季節です。
特にケヤキ並木のような場所は、若葉の生命力であふれ毎日通るたびに表情が変わり、忙しい毎日の中で時間の経過をゆっくりと感じることができます。



この瞬間を味わえるこの季節、
もはや時間がわたしは大好きです。

お天気の良い日が続くと一瞬でこの繊細で美しさは終わってしまうので、はかなさがまた惹きつけられます。



冬の静かな情景から植物たちがいっせいに

あ!動き出した!

と感じれるこの日々がとても美しいです。



画像9


萌黄色を作り上げた風景はきっとこんな小さな命の動きが集まる生命感にあふれる色なのだなと思います。





朽葉色

わたしが一番この本で惹かれるものがこの色にがありました。

画像10


朽葉色
名前のとおりこの色は
秋に葉を落とす葉の色を表しています。



「朽葉四十八色」


昔の人は落葉の微妙な色彩の色を見分けこんな言葉を作ったのです。

48色。

本当にそこは広く絨毯のような場所で、
茶色の多様な色彩が広がる場所

想像するとなんとも豊かだなと思うのです。





もののあはれをあらわす美学。



人が落ち葉を手にとりその色彩を愛でる姿が
浮かび気持ちがあたたい気持ちになります。


そして自分はそんな色を何色
見つけてこれたんだろうかと。



枯色

画像11


この色の成り立ちにも心を動かされました。
冬枯れ草のようにくすんだ色合い。


枯れ草色とも呼ばれ江戸時代ごろの人々が
「冬の色彩をも愛でた」
という事実がわたしにはとても響きました。




朽葉色そして枯葉色。

お庭づくりのご要望を伺っていると
特に落葉樹をたくさん扱う計画では

落葉樹は落ち葉が大変だ
そして
冬が寂しいなぁ〜

よく耳にする言葉であります。


もちろん昔から常緑樹は一年中緑を保つので
神聖さを感じていたと言われますので、
欠かせない存在です。



だけれども


こんな風なもののあはれの美学を知ると

落葉樹のはかなさ冬の色彩が愛おしく
わたしは感じるのです。


春が近づくにつれてその表情は変化し、
その冬のいっときの表情を見届けることが
よりいっそう「萌黄色」の生命力をより強く
感じることができるんだなと思います。



日本人が見出した美意識豊かな自然から
生み出したたくさんの色彩。

日本の伝統色を面白いと感じるのは
どれも庶民の目線から生まれたものであることです。


暮らしの視点で生まれたものたち。


禁色 への
(身分の高い人しか身につけられない色)

------

あこがれやあこがれゆえに創意工夫の中で
生み出された多くの色たち。






手に取れるような
日々の細やかな自然の見方を大切にしたい

そう思います。



画像12





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?