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マンガを使った未来予測で新サービスを考えてみる

新規事業を最初に考える手段の1つに「未来予測」という方法があります。でも、イチから未来を想像するのって結構難しいですよね。その時、予測をするのではなくマンガの世界観・設定を元にサービスを考えたらスムーズに未来が想像できるのではないか、と考えていたことがあります。

そこで、今回はマンガ2作品の世界観を借りて、「AI」が普及した未来に存在しているであろうサービスを予測してみました。

1冊目「AIの遺電子」

「AIの遺電子」はヒトと区別がつかない外見と思考をもったヒューマノイドが人間と同居する未来を描いた作品。基本は1話完結で進んでいきますので、今回は産業用AIとして存在する自動運転AIのお話を選んでみました。

自動運転車に乗っていた親子、シートベルトを外したせいでブレーキが完全にかからず子供を轢いてしまう。事故を起こした車載AIは事故を防げなかった責任をとって抹消されてしまう・・
「AIの遺電子 あるAIの結末」7巻 (c)山田胡瓜

自動車の運転が完全自動化され、「例え乗務員である人間のミスによって引き起こされた事故であっても、AIが責任を取ることが当たり前」という未来が描かれています。

物語の中で、服にアイスをこぼした子どもの世話をするために母親がシートベルトを外したことでAIの自動制御装置が働かなくなり、ブレーキが完全にかからず子どもを轢いてしまうという事故が起こります。事故のトリガーがこの親子であること間違いありませんが、その責任はAIに問われ、AIが抹消されることでこの事故は一件落着。しかし、当事者の親子は自分たちに責任が問われないことに、どこか釈然としない気持ちを抱えることとなります。


どういったサービスが考えられるか
以上のマンガの内容を踏まえて、この未来にはどんなサービスがありそうか、考えてみました。

AI向け保険
自動運転車に乗っている人は責任を問われないので、自動車保険は個人で加入するものではなくなり、自動運転をする産業用AIに付帯されるものになる。
車パーツ用3Dプリンタ
事故がほとんど発生しないので修理工場やアフターパーツの生産などは激減。パーツの在庫を抱えずに必要に応じて生産する形に。
交通事故カウンセリングAI
交通事故がほとんど起きなくなり、起きたとしても責任が問われないため遭遇した人はPTSDになる可能性が大きい。その心のケアを行うAI。
自動運転車用駐車場
シェアにより自動車の稼働率が9割を超え駐車場が不要に。呼び出しがあったときにすぐ出場できるよう、需要度の高い、人間の運転では不可能な場所に一時的に駐車するスペース。

2冊目「ぼくらのよあけ」
この物語の主人公は団地に住む普通の小学生ですが、家庭用オートボットというパーソナルアシスタント用のAIが発達していて、自分専用のオートボットを持っています。

2010年、地球に“SH3・アールヴィル彗星”が接近した。時は流れ2038年、夏。宇宙大好き小学生、沢渡(さわたり)ゆうまは、謎にみちたモノと出会う。人工知能を搭載した家庭用オートボット・ナナコの体を乗っ取るように出現したそいつは、2010年に地球に降下したとき大気圏突入時のトラブルで故障し、団地に擬態して休眠していた人工知能なのだという。「私が宇宙に帰るのを手伝ってもらえないだろうか?」団地経由の宇宙行き、大スケールの極秘ミッションが始まった!
「ぼくらのよあけ」(c)今井哲也

主人公である小学生の男の子は、「女のAIなんて嫌だ」「嘘を付きたくないから、ナナコ(AI)に話を切り出せない」と言い、AIを機械ではなく一つの人格として見ています。

どういったサービスが考えられるか
物語のメインはAIを介した宇宙人とのファーストコンタクト物なのですが、それはぜひ手に取って読んでいただくとして、この未来ではどんなサービスが考えられるでしょうか。

マシン用家電
人間用ではなくロボットが操作するための家電。サイズや置き場所の制約が緩和されるので、天井に設置した洗濯機や地下に設置する冷蔵庫などできる。
マシン用レシピ
人間の代わりにAI用のレシピ。弱火、強火みたいなざっくりしたものではなく、2,000kcalで12分23秒加熱〜とか、所有しているコンロのスペックや食材の状態に合わせてレシピをダウンロードし、正確な調理が可能に。
マシン用ナビ
ロボット用のナビゲーションシステム。人間とはサイズも違い、浮遊していて違うルートで移動もできるのでそれに合わせたルートを教えてくれる。

AIが出てくる未来を描いた2作品を例に、ざっとサービスを考えてみましたがいかがでしたでしょうか。今回はサービスの分野を特に絞らずに考えましたが、自社の事業に絞って考えてみて、このマンガの世界ではどんな保険が必要か、どんな旅行がされるか、など考える方法もあると思います。

マンガが未来予測によい理由
未来予測をするときに新しい技術だけではなく、それがどこに置かれて、何を引き起こすか、その時の気持ちは?などドミノのように考えを広げる必要があります。こういった未来を描く手法としては他にも映像(映画)や文章(小説)などもありますが、マンガがなぜよいのかというと、未来を描くときに文字よりは細部を書く必要があり、映画よりは表現を省略できつつ、今できないことも自由に描けるという点で優れているのではないかと思っています。

新規事業を考えなきゃいけない・・でも何から初めていいかわからない、そんな時いつも読んでいるマンガを、「新規事業を考える」つもりで読んでみると、いつもと違った発想が得られるかもしれません。あなたもぜひ試してみてください。

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