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喧嘩するほど仲が・・・・悪い

「あのー。どうしたんですか。」

「どうしたもこうしたもねぇよ!こいつのせいで、俺は黒金貨を一枚なくしたんだ。平常でいられるか!俺はギルマスだぞ!」
あー、くだらな。黒金貨1枚分くらい、神金貨1枚に比べたら、ゴミクズも当然だ。まあ、神金貨1枚なんて、用がないからあげてもいいんだけど。
「てかお前、このSランクギルマス、メオン様に声をかけられるとは、大した度胸だなぁ。金目のモンがあったら、渡しなぁ!」
ギルマスなのに、盗賊みたい。仕方ない。神金貨、あげるか。
「はい。どうぞ。」
神金貨をコイントスみたいに弾いて渡した。
「神金貨!って、絶対偽物だろ。鑑定。」
あれ?なんで偽物って思われてんだ?あ、でも鑑定してくれてるから、本物ってわかるかも。
「はぁ!?本物、だと!さてはこの少年、職人リッツの子孫か、次期皇子か。(コイツをうちのギルドに入れておけば、大儲け間違いなし!)」
小声でやばいこと言われた気がするけど、気のせいってことにしとく。ていうか、ビナガさんが俺のことをジロリと見てくる。なんかホラーなんだけど。これも気のせいだ。うん、気のせい気のせい。そう思った次の瞬間、争いが起きた。ギルマス同士で。
「おいバリュート、神金貨は俺に渡せ。メオンはお前を利用する気だ。」
「違うぞ少年。ビナガの方がお前を利用しようとしてるんだ。だから神金貨は俺に渡せ。」
「あぁ?メオン、神金貨とバリュートをを賭けて決闘だぁ!」
「その決闘は、もちろんあそこでだよなぁ!」
周囲から声が聞こえてくる。
「またギルマス同士の喧嘩が始まった。」
「しかも今回は、神金貨だって。」
「嘘だろ。まあ、あの人らの決闘、面白いし見ようぜ。」
「俺は、ビナガさんに賭けるぜ。」
「俺は絶対、メオンさんだな。」
どうやら、ギルマス同士の決闘は、よくあることらしい。ちなみに、あそこと言うのは、俺がガイサルとかいう雑魚と決闘したとこらしい。理由は、Bランクも瞬殺できる運気がつくかららしい。なんじゃそりゃ。


ギルマスが、コロシアム(?)で見つめあっていた。ビナガさんは両手剣、メオンさんはレイピアを握っていた。それぞれの得意な剣らしい。俺の決闘の時とは、全くもって違う。
「試合、開始!」
俺の決闘の時とは違い、大きな声で、試合開始の合図が言われた。
「両者とも素早い動きで、走り出した。おーっとここで、ビナガ選手の得意技、疾風剣が放たれたぁ!しかしそこをメオン選手は、走り抜けた!果たしてこの試合、どちらが勝つのでしょうか!」
・・・・俺の時とは違い、実況までついている。なんか俺、悲しくなってきた。ぴえん。俺からの感想としては、
「両者とも止まって見えるほど遅い動きで歩き出した!ビナガ選手の得意技、疾風剣がとても遅く放たれる!しかしそこをメオン選手は、走り抜けた(疾風剣は遅いから当たり前。)!果たしてこの試合、俺を交ぜてもらってもいいのでしょうか!」
って感じ。あー、見てるだけってこんなにつまんないんだな。俺も交ざろっと。ジャーンプ。
「何してんだお前!骨折するぞ?!地面はオリハルコンでできてるから、頭打ったら即◯だぞ!」
大丈夫大丈夫。ビナガさん、オリハルコンなんてプリンも同然だよ。よし、無事着陸っと。俺の武器は、拳で。
「俺も交っていいかな?」
「だめだ死ぬ。魔法禁止、近距離禁止ならいいけどな!」
よし、言質とったよ。拳で斬撃ならぬ、斬打撃を放つ。やべ、メオンさんに当たっちゃった。まあ、近距離より威力弱いから大・・・・じょばなかった。糸が切れた操り人形のようにバタっと倒れた。気絶ですんでるといいけど。
「お前、今何した?!斬撃は剣じゃないとできないぞ!?仕方ない。お前にこれを使うとは思っていなかった。奥義、雷速剣!」
あー、そういうのも効かないんすよ。ぶっちゃけ、雷速剣より光速剣の方が速いしね。ならこっちは、アンハッピー特盛セットで行くぞ!
「獄葬焔球、破波水圧、凪斬楓、無限牢、無溶氷、餓舞雷、光霊模擬、闇霊模擬、毒霊模擬。」
ドガドガーン、バゴバゴーン、ボリボリー、グチャグチャーと、漫画みたいな音がした。無事でいてくれ。案の定、生きてなかった。
「召喚:フェンリル。フェンリル、あの人を蘇生してやってくれ。」
フェンリルが現れ、蘇生をする。実は俺、自分の倒したモンスターなら、黄泉の国から、召喚できるようになったんだ。この能力、地味に強くね?フェンリルが蘇生をしてくれたおかげで、ビナガさんは生き返った。良かった。次は戦闘不能にしてあげよう。
「メオン選手、戦闘不能!よって、ビナガ選手の勝利!」
そんなに○ケモンバトルみたいだったけ?まあ、いいや。ビナガさんに神金貨をあげよっと。ビナガさんこそ、一番似合うんじゃない?神金貨あげたら、何故かSSSランクに昇格された。あと、欲しいものを全部無償で譲ってくれた。ありがとう。その代わり、1つ依頼された。「血濡れの神殿」を攻略して欲しいと。俺がその「血濡れの神殿」とは、なんなのかと聞いたら、ゆっくりと話してくれた。

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