見出し画像

「子どもの本離れ」私が今できること。あるいは、これからすべきこと。

フリーペーパーに書いてあった「名医ポポタムの話」を図書館で借りた。子どもに読んであげたら大喜びで、一気に読了。
お買い上げやな( ̄∇ ̄)

 読書に区切りをつけてスマホを開くと、Twitterのメッセージが目に飛び込んできた。この活動を今後も続けていきたい、という想いが固まった瞬間だった。

 臨時休校で学校に縛られない時間が増えた春。高校生になった私にしかできないことで、何か世の中に貢献できることをやりたい、そんな思いつきからたどり着いたのが、今のボランティアとしての活動だ。児童書紹介フリーペーパー「本好きフクロウの速達便」の発行である。

 私は幼い頃から、読み聞かせや子ども文庫を通して四千冊を超える児童書を読んできた。退屈な本も少数あったが、今でも頻繁に読みかえすほど気に入った本も多い。フリーペーパーでは、こうした鮮明で豊富な子ども時代の読書経験と、高校生にまで成長して身につけた大人の視点とを持ち併せた私にしか紹介できない児童文学があるのでは、との思いを胸に、子どもたちに本当に読んでほしい本の紹介に挑戦してきた。冒頭のメッセージを頂いたときに感じた、私の想いが子どもたちに届いているのだという幸せは忘れられない。


 私が目指すのは、「子どもの活字中毒が社会問題となる未来」だ。今日、子どもの本離れ・読書嫌いが社会問題となっている。私の高校のある友達も、「本なんて読もうと思わんわ、ゲームの方がおもろいし」と話していた。確かに、ゲームの質は近年急激に向上しているが、本質的な原因は「子ども時代に本当に素晴らしい作品と出会った経験がない」ことにあると私は思う。いまだ司書がいない学校も多い日本では、子どもたちが良い本と出会えるかどうかが、親に依存していると言っても過言ではない。その点、私の両親は積極的に情報収集をしていたようだが、経済的・時間的側面のために必要な情報を得られない家庭も多いだろう。

 すると、無料で手に入るフリーペーパーは大きな役割を果たすはずだ。公共図書館に立ち寄ったとき、気軽にオススメの本を知ることのできるフリーペーパーがあれば、子どもたちと本とをつなぐ橋渡しができると思う。そうして子どもたちがかけがえのない一冊と出会えたら、自然と本を好きになっていくだろう。読書が高尚な趣味ではなく日常の一部になり、次第に、活字中毒とも言えるような本の虫の子どもたちが増えていく、そんな未来を嘱望する。


 私の将来の夢の一つは、英国児童文学の研究者だ。しかし今日、文系の研究職は斜陽化が進み、研究費の削減やポストの減少が取り沙汰されている。理系とは異なり文学など文系の研究は世の中にとって無意味だ、と当然のように語られる。だが、私はこの言説には反対だ。

 卑近な視点では、読書により子どもの集中力や想像力が養われ、学力の向上が期待される。より大きな視野では、幼少期の読書が子どもの一生の人格を形成するとも言える、という私の持論に反対する人は少ないはずだ。しかし、子どもたちに本を手渡す大人は、ただ本を読ませておけばいい、とおざなりに読書を推奨しているように見える。これは、子どもの本への人々の理解が浅いことが原因ではないだろうか。

 つまり、児童文学の研究が、本に対する人々の知的レベルを引き上げ、子どもたちが良い本に手を伸ばす引き金になるのだ。そうして子どもたちの成長を促し、より明るい未来にしたいと思う。

 「素晴らしい作品を後世へ、質の高い読書を子どもたちに」という私のゴールに、今までのフリーペーパー活動で少し近づいたが、これからさらに大きく前進し、研究者として情報を発信するための基礎を築きたいと考えている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?