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【宝塚】【感想】花組『鴛鴦歌合戦』『GRAND MIRAGE!』〜古き良き昭和ロマンにたっぷり浸る〜

こんにちは、唐梨です。
今日は花組『鴛鴦歌合戦』『GRAND MIRAGE!』の感想について書こうと思います。
それでは早速いってみましょう。




9年ぶりのリアルタイム花組観劇

私は今回が本当にとても久しぶりの花組観劇で。どれくらい久しぶりなんだろうと振り返ったところ、最後の観劇は2014年『エリザベート』でした。まさかの9年前。

その間に蘭乃はなさんが退団し、花乃まりあさんが退団し、仙名彩世さんが退団し、明日海りおさんが退団し、華優希さんが退団し。さんざん歴史が動いた後の今回の花組ということで、とても新鮮な気持ちで宝塚大劇場へと向かったのでした。

そんな花組の感想について、以下、お芝居とショーに分けて述べさせていただきます。



『鴛鴦歌合戦』の感想

春妃うららちゃんの娘役人生の集大成

ものすごく印象に残ったのが、麗姫役の春妃うららちゃん。聞けば今作で退団だそうで、それすらも知らなかったことに、私がずいぶんリアルタイムでの宝塚観劇から離れていたことを思い知らされました。本当に私の中で時が止まっておりまして、「春妃うららちゃんってまだ新公学年のかわいい下級生の子でしょ?」という感覚でいたのです。

それが気づけば研13。冷静に逆算すれば97期なのですから、すぐ分かることなのですが、頭と心は違うもので「そんなに時が経っていたのか!」と驚きでした。

それでですね、なぜうららちゃんについて最初に書いたかというと、予備知識なしでとても印象に残ったからです。

今回はパンフレットもなく、事前の配役も見ず、一切の予習なしで頭をからっぽにして臨んだのですが、麗姫が家臣たちと鴛鴦の香合について話すシーンで「セリフが長いのにダラダラ説明っぽくならない、あの明朗なセリフまわしの娘役さんは誰!?」となり、その後ソロを歌うシーンで「あの大人っぽいしっとりした歌声の色気ある娘役さんは誰!?」となったのです。後から公式HPを見て「え!うららちゃん!研13!退団!」とパズルのピースが繋がったのでした。

私はもともと娘役が好きで宝塚を好きになったタチですから、娘役だけの見せ場があるととても嬉しいですし、演出家の先生から退団される方へのはなむけのシーンも大好きです。

今回でいうと、配役のお名前から一目瞭然な通り、麗姫役は春妃うららちゃんへの当て書きです。そして同期である永久輝せあさんと夫婦役でもあり、「うららちゃん良かったねぇ…退団おめでとう…千秋楽まで最高の舞台を続けられますように…そして退団後も幸せに第二の人生を歩みますように」となんだか胸があったかくなりました。

余談ながら、これは下級生時代から思っていたのですが、うららちゃんのお顔立ちって大人っぽい和顔美人ですよね。和顔は和顔でも、雛人形みたいな可憐さというよりは(こちらは蘭乃はなさん・すみれ乃麗さん系統)、しっとりした色気を醸し出す上品な美しさ。背が高いのと、お顔の各パーツが大きいのとで、華やかな存在感がある。おそらく豪奢な着物の柄にも負けないですし、露出が多くてもいやらしさを感じさせない上品さがあるので、艶やかな花魁みたいな衣装も見てみたかったな~と思いました。


星風まどかちゃんの町娘の可愛らしさ

さてさて、そしてトップ娘役の星風まどかちゃん。お春役がとっても似合っていました。まどかちゃんってもともとが丸顔(でも輪郭はシュッとしていて横顔も綺麗で羨ましい)だから、親しみやすさがあって、和服がとても似合いますし、町娘の愛嬌もぴったり。

それに加えて、夢を見させてくれる見た目のかわいらしさもさすが。日本物の髷って、現代の髪型みたいにビジュアルを盛れる髪型ではないので、自分の顔の素材が剥き出しになります。それなのに、前髪や後れ毛に頼らずともかわいらしさをキープしているまどかちゃんはやっぱり元がかわいい!

また外見だけでなく、お春は内面の性格もとてもかわいらしいなと思います。しっかり者で、気が強くて、いじっぱりだけど、優しい。やきもちの妬き方も男心をくすぐる絶妙な塩梅で、決してメンヘラにはならない。今風の言葉でいうとツンデレヒロインになるのでしょう。礼三郎と相合傘を続けたいからと「まだ雨は止んでいない」と言い張るシーンも、コメディでありながらいじらしくて、観ているこちらの頬が緩みました。


星空美咲ちゃんの歌声の透明感

そしてお春の次に目立つ役であるおとみ役の星空美咲ちゃん。劇団からめちゃくちゃ推されていることと、お顔がちゃぴちゃんに似ていることだけは知っていたのですが、実際に舞台姿を見たのは今回が初めて。

そんな初見の感想は「歌が上手い!顔が小さい!顔が整ってる!ビジュアルと実力が同居してる子だ!」でした。歌声がとてもクリアで聞き取りやすいのです。それに加えてあの可憐な容姿ですから、ワガママお嬢様なおとみが男子にモテまくる説得力が増します。美咲ちゃんもおとみちゃんも、ついつい目がいっちゃう感じがあるんだろうなぁ。


チョンパの華やかさ

『鴛鴦歌合戦』の冒頭はチョンパで始まるのですが、チョンパってめっちゃ華やかなんですね!!!実は生でチョンパを見たのが初めてで、とても感動しました。照明の真っ暗→明るさMAXの切り替わりのおかげで、現実世界→舞台世界のスイッチの切り替えを助けてくれて、一気に夢の世界へ誘ってくれました。


小柳先生のスッと入ってきやすい演出

小柳先生の演出は本当に分かりやすいっ!

私は日本物に「あらすじを予習しないと話についていけない」「現代の感覚からすると退屈しやすい」といった苦手意識を持っていました。なので今回観劇をお誘いいただいた時も、楽しめるか少し不安だったのです。ところがどうしてどうして!たくさん笑って楽しみまくれました!これも小柳先生のおかげです。

もちろんマキノ正博監督による原作が素敵なことは言わずもがなですが、それを差し引きしても舞台化にあたっての演出の力は大きいです。

小難しさよりも分かりやすさを優先していて、いい意味でラノベ的。一部の高尚なインテリよりも、広く大衆に向けて開かれた感じ。観劇後の「う〜ん!お芝居を見たな〜!」という満足度が半端なく、エンタメの使命を全うしてくれている。もし現代が『鴛鴦歌合戦』と同じくらいの時代背景だとしたら、庶民がとても気軽に芝居小屋に行くような、そんな感覚に近かったです。



『GRAND MIRAGE!』の感想

岡田先生の記憶の合致

私は演出家の先生方の名前と作品を一致させるほどには宝塚に詳しくなく…。なのでこちらも予備知識なしで頭をからっぽにして臨んでいました。

ですが、今回ご一緒に観劇した方がかなり宝塚ファン歴が長い方で「岡田先生といえばロマンチックレビューですよ!」と力説してくださいまして。そこでようやく「あれ?ロマンチックレビューってどこかで聞いた気がするぞ?」と思い当たったのが『ロマンス!!』だったのです。

『ロマンス!!』は元星組トップコンビである北翔海莉さん・妃海風さんの退団公演で、私もリアルタイム観劇済み。古き良き時代の奥ゆかしさと上品さを感じさせる演出にとてもときめいていました。特に冒頭の、ヨーロッパの良家のご令嬢のような衣装に身を包んだ風ちゃんが、本を開いて読み上げるシーン。あれは最高でしたね。昭和の少女漫画のような夢夢しさがあって、まさにロマンチック。

そんな開演直前の記憶の合致により「あの『ロマンス!!』の演出家の先生の作品をこれから見られるんだ」とワクワクしながら幕間休憩を迎えたのでした。


色彩感覚が至高

そんな『GRAND MIRAGE!』は、やっぱり冒頭が至高のシーンでした。もうね、初っ端からときめきが最高潮!!!娘役の衣装が極上の目の保養!!!

衣装のデザイン自体も、つば広帽子にひだのたっぷりしたドレスで、もうこれだけでときめきなのですが、さらに色味がどタイプすぎて!!!

桜色のドレスに、空色のドレスに、薄緑色のドレスに、藤色のドレスなんです。春~夏の季節にぴったりの淡い色彩がとても美しい。娘役をお目当てに宝塚ファンになった私からすると至福すぎました。

そして同じくらいどタイプだった衣装が、終盤に出てきた紫陽花のドレス。男役と娘役がそれぞれ3人ずつ出てくるシーンなのですが、オペラグローブやスカート部分が紫陽花を模した色になっていて、それがまた娘役3人ごとに微妙に色味が異なるんですよ!!!現実の紫陽花も、土の酸性/アルカリ性によって色味が変わるので、本当にデザイナーさんの芸が細かくて素敵すぎる。

何の予定もないけれど「もし自分が結婚式でお色直しするならこのドレスがいい!」と思えるくらい、それくらい最高にときめくドレスでした。



最後に

トップコンビというより、ほぼ春妃うららちゃんと、小柳先生と、ショーの衣装についての感想になってしまいました。

ですが裏を返せば、それくらい宝塚が初見の方にも、宝塚に詳しい方にも、同じくらい広くおすすめの二本立てだなぁと個人的には思います。『鴛鴦歌合戦』が日本物なことを考えると自分でも意外な意見でしたが、本当にいい意味で日本物らしさがないのです。

宝塚大劇場は今日が千秋楽だったので終わってしまいましたが、東京大劇場はこれから。機会がある方はぜひご覧に行かれてみてください。

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