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ことしも、12月。
わたしが、数十年つづけた
コレクターを、やめる年となった。

わたしの人生、次の目標は、
いわゆる文学賞に、応募することだ。

勘違いしないでいただきたいのは、
「受賞」ではなく、「応募」が
目標になっている点だ。
それなら、非難されようがあるまい。

人間、何かに向かって努力する姿勢は、美しい。
わたしは既に人生の後半に入っているうえに、
重度の精神病をかかえ、
できることは、もはや、多くはない。

わたしは、処女詩集刊行の際、
たくさんの出版社から、資料を取り寄せた。
そのなかで、おそらくもっとも有名な某G社は、
ご参考までに、と、最近刊行した詩集を
同封してくれた。
見た目、とても立派だ。
ハードカバーで、
帯には美しい謳い文句が添えられ、
半透明紙もふんだんに使われ、
季節ごとに詩篇がまとめられている。
しかも、全国すべての書店に
流通させているという。

…しかしながら、
詩集の内容が、あまりにも酷過ぎた。
女子中学生が書いたような幼稚な詩の羅列が、
延々とつづく。
これなら、わたしの詩のほうが、
何十倍も、ましだ。

わたしは、G社に電話して、聞いてみた。
この詩集の制作費は、いくらなのか、と。
答えは、「300万円ですね」というものだった。
馬鹿馬鹿しいにも、程がある。
この詩集の著者のおばちゃんは、
このゲス極まりない内容の詩集を
全国流通させるために、300万円、支払ったのだ。
世の中、金だ。

しかし、現在では、その詩集はAmazonで、
1冊1円で、大量に売られている。
世の中、金なのだ。

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