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【連続note小説】日向食堂 小日向真司14歳

ある日、歳之が熱を出して寝込んでしまった。
「インフルエンザじゃない。困ったなぁ」
文枝は歳之の看病をしたいが、仕事を休む訳にいかない。
休めばその分だけ給料が減るし、仕事を失う心配もあった。

「お母さんは仕事に行きなよ。ぼくが看病する」
「お前は学校に行かないとダメだよ」
「お母さん!」
真司は真顔で話し出した。

「インフルエンザは看病した人に移る。お母さんが倒れたら大変なことになるよ。ぼくが寝込んでも学校を少し休めば、勉強はいくらでも取り戻せるから。お母さんだけのためじゃなくて言ってるんだ」
文枝は泣く泣く承知した。

そして数日後、真司が熱を出して倒れた。
真司は一人で病院に行き、一人で病気に耐えた。
文枝は何度も真司の看病をしようとしたが、真司は頑なに断った。

そして数日後、真司はケロッとした顔で文枝の前に出て来た。
その頬は痩せこけていた。


真司が生まれてから人生を全うするまでを連載小説として描いていきます。

<続く…>

<前回のお話はこちら>

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