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夢が叶わなかった時に読むエッセイ

夢を叶えるためにひたすら努力をしてきた。
それなのに叶えられないなんて、悔しくてやりきれない。

努力が重いほど、悔しさは比例して大きくなる。
努力が重いほど、もう一度トライするための勇気が持てない。
悔しさは自分への不甲斐なさを呼び込んで、ほんの欠片程度に残っている希望すら消滅させてしまう。

よく人は悔しさをバネにして、また頑張ればいいと言うが、人の心はそんなに簡単に切り替えられるものではない。

人生の全てを投げ打って、多くの人の期待を背負って、人の何倍もトレーニングを積んできたのに、オリンピックに出場できなかった選手がいたなら、また4年間頑張ればいいじゃないかと、ぼくはとても言えない。

ひたすら働いて、長年修行を続けて、やっと自分のレストランを開店する資金をかき集めたのに、震災で全てを失った人に、また一から頑張ればいいじゃないかと、ぼくはとても言えない。

息子はプロ野球選手になりたくて、ひたすら練習に打ち込んだ。でもその夢は叶わずサラリーマンをしている。そんな彼にサラリーマンとして頑張ればいいじゃないかと、ぼくはとても言えない。

この悔しさは何かにぶつけてわめき散らせば、気持ちは晴れるのだろうか。
いや、そんなことはない。
ともすれば、一生心の中に残り続けるだろう。
自然に縮小していくまで待つしかない。

もう立ち上がれない、心がそう思うならそうすればいい。
時間を置けば、また努力を続けられると思うなら、そうすればいい。
それは自分自身が一番よく知っていること。
他人の言うことに左右される必要はない。

夢を叶える人より叶えられなかった人の方がはるかに多い。
比率から考えても、夢が叶わなくて気に病むことはない。

でもぼくの話を少し聞いてほしい。
なぜその夢を叶えたかったの?
夢を叶えてどうしたかったの?

オリンピックに出場したかったのは、そのスポーツが好きで、誰よりも極めたかったんだよね。
レストランを持ちたかったのは、お客さんに料理を楽しんでもらうためだったんだよね。
息子は好きな野球を今も続けている。

オリンピックに出られなくても、誰よりも上手くなれる。
レストランがなくても、お客さんに料理をもてなすことはできる。
息子は草野球で優勝を目指している。

夢に向かってひたすら努力することは尊い。
でも結果と夢を結びつけないでほしい。
結果はその瞬間に終わる。
しかし夢は永遠に終わらない。

小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。