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家族旅行に行こう!

子供の頃、家族旅行に連れて行ってもらった。
そのほとんどを覚えていない。

いや、全く覚えていないのではなく、断片的な記憶は残っている。
丘の上から見た海の景色、電車の窓から見た田舎の駅の様子、兄貴と探検した渓流・・・

両親には申し訳ないが、どうやってその地に行ったのか、どんなホテルに泊まったのか、晩御飯に何を食べたのか、全く覚えていない。

ぼくが父親になって、家族旅行に何度か出掛けた。
そのほとんどを覚えている。

ディズニーランドで大雨に遭ったこと、初めて新幹線に乗ったときの息子の嬉しそうな顔、伊勢参りに行ってお伊勢さんとは全く関係ない招き猫の置物を買わされたこと・・・。

たぶんぼくの息子たちは、ほとんど覚えていないのだろうな。

矛盾した話だ。 
子供のための旅行だったのに、連れて行った方は覚えているのに、当の本人たちは断片的にしか覚えていない。

旅行のために貯金をして、段取りをして、遠い場所まで車を運転して、苦労をした割に報われた気持ちになれない。

しかしぼくはそんなことがわかっていて、なぜ家族旅行に何度も行ったのだろうか。

理由はただ一つ。
子供達の笑顔を見たかったから。

楽しそうに笑ってくれる、それだけでよかったんじゃなかったのか。

ぼくの子供の頃の家族旅行は、断片的な記憶しかない。
しかし楽しかったと言う感覚だけは覚えている。

ぼくの息子たちが親になった時、"家族旅行に行こう!"って思ってくれるようになってくれていたら・・・。

それでいいじゃないか。

小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。