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【連続note小説】日向食堂 小日向真司19歳

真司が小さな工場に就職して1年が過ぎた。
電気機器を流れ作業で組み立てる仕事だった。
毎日、夜遅くまで残業をさせられたが、真司は文句ひとつ言わずに働いた。

いつの頃からか歳之の素行が悪くなっていた。
夜は帰りが遅くなり、あまりガラの良くなり友達と遊ぶようになっていった。
文枝の心配をよそに歳之の生活は次第に荒れていった。

ある夜のこと、歳之が不良仲間とコンビニの前でたむろしていると、おもむろに服の襟をつかまれ後ろに引きずられていった。
それは真司だった。
真司は不良たちに囲まれて暴行を受けた。
殴られて倒されても、起き上がって歳之を連れて行こうとした。
観念した歳之は仲間を制して、しぶしぶ真司について行った。
歳之はずっと面倒を見てもらってきた真司に頭が上がらない。

「なんで不良まがいなことをやってるんだ」
「うちは片親で、貧乏で、どうせおれの将来は知れたものだし」
「不良になったら貧乏でなくなるのか。何の努力もしていないやつが、片親を言い訳にするな」
しばらく二人は静寂に包まれた。
そして真司の腫れあがった顔を見て歳之は思わず噴き出した。


真司が生まれてから人生を全うするまでを連載小説として描いていきます。

<続く…>

<前回のお話はこちら>

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