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【連続note小説】日向食堂 小日向真司20歳

文枝が倒れた。
歳之への心労と過労だった。
真司が高校を卒業したことで、溜まっていた疲れに身体が耐え切れなくなった。

「お母さん、働き過ぎたから・・・。もう無理しなくていいからね」
真司は家の床で横になっていた文枝に言った。
「ありがとうね、歳之が学校を出るまでは頑張らないとねぇ」
文枝は申し訳なさそうに言った。

「歳之はぼくが何とかするから、もう頑張らなくていいよ」
「おまえにはろくな高校生活をさせてやれなくてごめんねぇ」
「いや、高校は楽しかった。けどお母さんに苦労掛けるなら高校にいかなきゃよかった」
「そんなこと言ったら、お母さんが辛くなるから言わないで」
真司は閉口してしまった。

就職して1年が経ち、仕事にもかなり慣れてきた。
生活するにはかつかつの給料だが、自分には小遣いなんて必要ない。
お金をためて母を温泉に連れて行こう。
温泉につかって美味しいものを食べて体を癒せば、きっと具合が良くなる。
それが真司の新しい夢になった。


真司が生まれてから人生を全うするまでを連載小説として描いていきます。

<続く…>

<前回のお話はこちら>

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