【ショートエッセイ】信念のままに生きる〜ある孤独な老人の生き様〜
もう30年も前のことだ。
ぼくは大学生の頃、ビルの床清掃のアルバイトをしていた。
主な作業は床のタイルを磨くことだっが、ビルによってはトイレ掃除がセットになっている時があった。
ぼくに限らず、アルバイターたちにはこのトイレ掃除がたまらなく嫌だった。
ある日、若菜さんという年配の男性がアルバイト先の会社にやってきた。
よくわからなかったが、たぶん日雇いだったのだろう。
歳は70歳くらいだったろうか。
若菜さんは社交的でぼくらとすぐに打ち解けた。
話も面白く仕事は真面目。