梨皮a.k.a.juvenile電化製品

詩とか小説が好きです。音楽はこちらhttps://www.tunecore.co.jp…

梨皮a.k.a.juvenile電化製品

詩とか小説が好きです。音楽はこちらhttps://www.tunecore.co.jp/artists/juvenile_DS

最近の記事

ポンチャックと仲良く。

暑さがしんどい季節になりました。クーラーは最高ですが、冷気は生命力も削いでしまうようで適度に熱がほしくなります。そんな我が儘な肉体にうってつけなのがポンチャック。聴くだけで疲労回復を促してくれるナイスな音楽について、ひとつ書いてみたいと思います。 ポンチャックを簡単に説明するなら、チープな電子音が特徴的なノンストップテクノ演歌といったところでしょうか。韓国が発祥の地とされ、代表的なアーティスト李博士(イ・パクサ)は、90年代に日本でも、そこそこ話題になりました。かくいうわたし

    • 「君たちはどう生きるか」雑感。7/20とちくるった仮説を加筆。

      宮崎駿監督の最新作「君たちはどう生きるか」を観て参りました。忘れないうちに、若干ネタバレありの感想を残しておきます。 わたしの印象では、超正統派児童文学映画でした。タイトルからして宮崎駿監督が少年時代に感銘を受けたとされる作品と同じなので、原点回帰っぽい作風になるような気はしていましたが、ここまで直球でくるとは……最高でした。 序盤は宮崎駿監督の記憶に残っている風景を描いているようなシーンが多く、進行もゆったりしているよう感じました。全体的に激しい動きが少ないためかも。(冒頭

      • 給水塔からずっと。

        いざ調べてみたら、武蔵野はゆかりの深い地名だった。ざっくりとした区切りではあるが、多摩川付近はほぼ仲間に入れてよさそうなので、わたしの生活圏と一致する。町田、川崎、西東京と、これまで暮らしてきた町を顧みても、何ら恥じる必要はなさそうである。わたしは武蔵野の名を冠するに値する風景を我知らずと選び、図形でも描かんばかりに自分なりの外縁を引きながら、数十年の月日を生きていたようだ。 武蔵野、ムサシノ、その地名に大きな含みがあったことを気づかせてくれたのは、斎藤潤一郎氏の漫画「武蔵野

        • 『CASSET TAPE FAN CLUB』の感触-popi/jective私論-

          最少の要素で最大の魅力を表現すること。 自身の創作物に磨きをかけようとする度、わたしは意気揚々と、その理想を掲げるが、決まって苦戦を強いられる。 人の胸を打つ何かは決して足し算引き算では生まれないと悟る作業は、同時に無数の正解が存在する際限のない試みでもある。満足できることの方が少ない。 ささやかな見返りがあるとすれば、他人の作品に秘められた意図にも聡くなれる点だろうか。感度を強めていくセンサーは、自分が今、必要としている類の作品に対して、ときに揺るぎない反応を示してくれる。

        ポンチャックと仲良く。

          一遍の詩がある展示場-はちどり。すべての、白いものたちの-

          韓国映画「はちどり」で、もっとも印象的だったのはパク・ジフさん演じるウニの頬でした。光を受け、つるつる輝く。そこから、韓国の詩人ハン・ガンさんの作品「すべての、白いものたちの」を連想してしまいました。淡々と流れる深く激しい感情にも、どこか共通しているものがあります。 「はちどり」は十四歳の少女ウニの目線を通して時代の転換期を描いた作品です。ウニの日常に生じる数々の亀裂と、後半に登場する聖水大橋の崩落を繋げたストーリーは、大きな喪失感を観るものに与えます。物語は一九九四年が舞

          一遍の詩がある展示場-はちどり。すべての、白いものたちの-