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舞台『DOLL』を終えて

はじめてnoteします。
私は地球からきた一人間(河童)です。

先日、出演していた舞台『DOLL』が無事終演いたしました。
観に来てくれた皆様をはじめ、応援してくださった方々、スタッフさん、共演者の皆さん、どうもありがとうございました。
ここ数年、流行り病の影響で出演する予定だった舞台が悉く延期、中止となり悔しい思いをした月日でした。こうして無事に幕を下ろせることがどれだけ恵まれたことか、心の底から感謝しています。

さてさて、今回の『DOLL』どうだったでしょうか。
40年前に初演の如月小春の代表作—、として知られていますが、恥ずかしながら私は今回出演するまで知りませんでした。(大学の授業でセリフの抜粋をやってたみたいだけど完全に忘れてた)
ただの自己満足ではあるけど、『DOLL』に出演して感じたこと、思ったことを書こうかなと思います。思いを言葉にすることがド下手なので汚い文章でも読めるぜ!って人は読んでね!!
戯曲の内容に沿って振り返るのでDOLL未履修でネタバレヤダ!って人は逃げてください。もし内容知らないけど興味あるって人はありがたいことにこちらから読めますので見てみてください。

うーん、そうだなぁ

何から書けばいいんだろうね。
やはり書きやすいのはLチームで演じさせていただいたみどりについてかな。品川生まれ品川育ちのみどり。絶対良いとこの子やん!が最初の印象。オーディションでもキャスティング決めでも、みどりを指定されることが多かったり周りの出演者の方々の感じ見てもきっとわしはみどりなんだろうなぁ。と思っていました(笑)
わし個人としてはいづみ、恵子あたりが共感しやすかったから、お客さんにみどりを納得してもらうにはどうすればいいのかと悩みましたねぇ。
というのも、今回の女子高生5人のなかでみどりって一番共感されにくいキャラクターだと思ってて。デフォルト感が強いというか、高校生とはいえあそこまで振り切ってママにすがる子ってほとんどいないでしょうに。
ただ、みどりを全体で見てしまうと共感しにくいんだけど、みどりのセリフ、行動をパーツごとに見ていくと誰にでも当てはまるような思いを持ってて。例えば「あなたたちに私の気持なんかわかるもんか。」や「嘘。自分たちばっかり仲良くして。」なんかがわかりやすいんじゃないかしら。
この作品に出てくる5人の女子高生ないし世の高校生って誰もが孤独を抱えてて、その中に寂しさや苦しさがぐっちゃぐちゃに混ざってて自分ではどうしようもできない思いを持ってるじゃない。それをわかりやすく放出してるのがみどりなんじゃないかなと思いました。だからこそ、シーンごとにフォーカスされていく女子高生の中でもみどりがトップバッターなんだと思う。

みんなと一緒に行く。

っていう言葉が第一章のみどりの最後のセリフで。
対して第五章の最後のセリフは
「・・・・・・・・・・ねぇ、死んじゃおうか・・・・・」
となっているんですよ。
これはわし個人の解釈だけれど、第一章のみどりはもしかしたらあのまま海に溶けていくつもりだったんじゃないかなぁ。と思ってて。死ぬっていうより溶けるっていう方がしっくりくるんだけど、孤独で頼れる人もいなくて空回りして今まで経験しなかった暗闇を経験して気づいたら海に来てて。大きな漠然とした死の近さをみどりは既にここで感じてたような気がしてて。
そこに寄宿舎の4人が来て、海が真っ白になって。
第一章では、”みんなと一緒だから” 帰る。
第五章では、”みんなと一緒だから” 死を選ぶ。
この繋がりアーンド違いをうまく自分のなかで表現したいな、と思いながらやってたりしました。心の内側のお話でした。

不思議と重くならない

お芝居やってると、どうしても自分個人が役に引っ張られることがあって。今回の戯曲は自分が通ってきた悩みを事細かに表現してたり最終的には死んでしまったりと、なかなかヘビーな内容だったもんだから、「これ没入して取り込まれっちゃったら相当きつくなるな、気をつけなきゃな」とはじめは思ってたんですけども、作品に影響されて病むことは一切なくて。それはもちろんウルトラハッピーな座組のおかげでもあったけど、元々描かれている女子高生たちが最終的に向かうのは死という形の解放だからだろうな、と思いました。それこそ、みどりの最初のどうにもならない感情ぐちゃぐちゃのシーンや上村さんが死んだあと、5人でぶつかるシーンこそ一番つらかったかな。でもそれも最後には解放につながるからあまり引きずらないし。

とまぁ、作品に影響されて病むことはなかったとは言ったけど

実はこの作品に関わっている期間中に、完全果汁100%プライベートの出来事でどん底に病んでしまうタイミングがありまして。
もしかしたらあの時かな?ってわかる人もいるかもしれないね!
これまでの人生の中で自信をもって一番といえるどん底。
自分が自分じゃないくらいにおかしくなってしまっていた時があって、死んでしまおうかと一線越えそうになったけど、今見ての通り生きてるし。
どうしても思い出せないのが、どん底からどうやって立ち上がったのか、自分がどういう気持ちで持ち上がっていったのかが全くわからなくて。とてつもなく苦しかったことと、視界が開けてポジティブになれた感覚は覚えてるんだけどそこの間が記憶も感情も消えてて。
消えてるというか無かったかもしれないな、と思ったりもして。何がきっかけだとか何のおかげとかないけれど、ほんのちょっとの些細な積み木が重なっていったんだろうな。
今回演じた女子高生たちも一緒だと思ってて、何で死んだのかなんて理由なんかなくて、そんな些細な事、ちょっとしたタイミングがたまたま合ってしまっただけなんだろうなと。最後の天国のシーンで死んだ理由を聞かれて、「何となく」と答えているのがすべてだと思う。

進め!進め!進め!泣き寝入りの少女たちよ

から始まる第六章の一連。
それまで口語文だった少女たちが打って変わって文語文で語り始める。
本番前ギリギリの稽古までどういう面持ちで向かえばいいのかしっくりきてなくて、言葉にするにはするけども不完全燃焼感があったんだば。
そんな不完全燃焼感も、ある日突然マッチ一本火事の元、燃え上がるように「これだ!」となった時があって。「これだ!」というより「これ…こ、これっ……なんですのこれ!」の方が近いかも。
不思議だよね。わからないけれども溢れてくるんだよ。この戯曲の妙であり言葉の魔力。音響、照明が重なるからこそ生まれるあのシーン。舞台じゃなきゃ感じられないよ、あれは。

右耳役兼役者としての振り返り

今回、諸事情あって当初予定されていなかったRチームの右耳役としても出演させていただきました。等身大の女子高生とは対をなす、黒ずくめで常に俯瞰で見ている右眼、右耳、左眼。
めちゃくちゃ難しかったし緊張したよ!!!
右耳で出る前は手汗が止まらなかったな。今思い出すだけでも手汗出てきたもん(笑)役者として経験させていただいたのはとてもありがたいことだと思いました。し、自分の基礎、技術のなさを痛感した役でした。
まさに針に糸を通すような感覚で、少しでもずれたら終わりな役。それ以上でもそれ以下でもない、真ん中ピッタリを当てなければいけない難しさや、メンタルの持っていきかた、全部が初めてだったな。
右耳にお世話になったのはたった半月程度だけど、一生忘れない役になりました。とっても大変だったけど、絶対自分にはできないと思っていたこの役を何とかやり切れたことは自信になりました。

右耳とは全く違う女子高生。右耳のような緊張感はないけれど、その分、自分たちだけが気持ちいい空間になってしまわぬよう、それを一番気を付けてたかな。内面と向き合うシーンが多い作品だからこそ、お客様を置いてけぼりにしてしまうリスクも高い!わしがお客さんとして観に行くとき、置いてけぼりにされるのが一番つらい!と言っても過言ではないほど、そのへんには敏感にアンテナを張っておきたい人間なので今回は冷静な石田梨乃としての自分とみどり役としての自分のバランスをとるのが難しかったかな。
そしてこれの怖いところはどんなに自分で気を付けていてもお客さんでないと結果どうだったかわからないという…どうでした?大丈夫でした?

スーパーラブ座組。愛しかねぇ

女の子が多い座組でビクビクしていたけど、杞憂でした。
優しいのはもちろんのこと、何が一番やっててよかったと思ったかって、みんなお芝居が大好きでみんな良い作品を作りたいという思いが一緒だったこと!!ホントにこれは全員、男子も女子も関係なく、限られた稽古時間の中であーだこーだ相談しながら能動的に作品を作ろうという思いがたっくさんあって、おんなじ気持ちで進んでいける仲間がこんなにいるんだってとても嬉しかった。むしろわしは引っ張っていってもらってたから感謝しかないんだ!ダブルキャストでLチーム、Rチームで別れていたけど、どちらも同じ気持ちで、時にはチームの垣根を超えることもあって、本当にいい座組だなぁと幸せに包まれた数か月間でした。
深くお世話になったGAL…Lチームの女子高生役のみんなはうるさくて楽しくてまさに青春時代のようで!数年分の爆笑したわ。

おなかもいっぱいだし、気持ちいいし。なんだかねむくなっちゃったあ

もうおなかいっぱいですわ。いっぱい書いた。
もっと書きたいこと、言いたいことあるけれどこの辺にしておくね。
あんまり書きすぎても無粋だしょ。

ここまで読んでくれた変わり者の皆さん、おめでとうございます。モンドセレクション金賞受賞です。
とにかくとっても良い舞台に出演させていただいて、関わらせていただいて幸せです。観に来てくださった皆さん、応援の言葉をかけてくださった皆さん、わしが最後まで頑張れたのは皆さんのおかげです。本当にありがとう。
またどこかで会いましょう。

高田みどり/右耳役 石田梨乃


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