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アンスクールを紐解く⑦(その5;長男J)

長男Jについては本が一冊かけるくらい、彼の人生は波乱と才能に満ちています。
2004年生まれ、現在16歳。

Jの興味と才能は一致しています。好きこそ物の上手なれ、をそのまま生きている幸運の持ち主です。いうまでもなく、継続は力なり、も体現している青年です。

Jの興味・情熱・才能、そしてゲームとYouTubeから学んだことは以下の通り;
レゴ
マインクラフト
ナーフガン
プラモデル(ガンダム)
キット・バッシング
絵画
デザイン
歴史
地理
数学的感覚
想像から創造
視覚認知度・立体認知度がずば抜けている
観察力
オーガナイジング
ユーモア
人の在り方をジャッジしない
ゲームの射的感覚
マリオカート
フォートナイト
Call of Duty
Battlefront

Jは小さい頃から立体認知度が高いんです。

ゲーム編次男Aの投稿でJの識字障害やその他の発達遅れに少し触れました。

Jは教科書やプリントなど白地に黒文字で書かれているものは立体的に浮いてくるという識字障害を持っています。識字というより視覚の神経の回路が違うのでしょう。言語の認知処理も普通とは若干違っているみたいです。

今はお喋りで冗談も多いのですが、そもそもは言語の発達が遅く会話っぽいものができるようになったのは5歳半くらいだった気がします。読むことができないわけではなかったのですが、今考えると文字を追うことに精一杯で読解どころではなかったのでしょう。今でも本を読むなんてことはしませんし、彼の勉強ツールではありません。

Jの学びでゲームとYouTubeがなかったら今のJはいないと言っても過言ではないでしょう。文字通り、本当にいなかったかもしれません。。。

ゲームで何をしていたのかを読むだけでは大したことがなさそうなのですが、じゃあいざ自分でやってみるといかに難しいかを理解することができます。

まさにここ、自分ではやったことのない大人が「ゲームなんて」「動画なんて」と考える部分がゲームの可能性を閉ざす最大の落とし穴なのではないかと考えます。あるいは罪悪感を持ちながらゲームと接していると行為自体を肯定できないので同じ落とし穴にハマるかもしれません。

マインクラフトでの建築はJの大得意とする部分です。例えば、姫路城の画像を見てマインクラフト内で構築するとします。瓦、細かい格子窓、礎など、見る人が見れば「姫路城だね」と認識することができます。大抵はオリジナルの建築物を作り、見た目の美しさ、実用度の高さはJにとって重要な項目です。

アンスクールを始めた頃、MinePlexというマインクラフトの安心サーバーでのこと。MinePlex内には色んなゲームがあり、その一つにサーバーが自動で上げるテーマを5分の制限時間内で12人それぞれがお題のものを作ります。例えば「うさぎ」「にんじん」「サンダル」。5分の制限時間後12人でそれぞれの作品の周りを飛びながら審査を下します。パッと見て何であるかがわかり、バランスと出来上がりの美しさが審査対象です。Jは15回連続で一位を獲得。この時期、Jは夜中の3時、明け方4時頃までマインクラフトで遊んでました。

もう一度言います。
大したことがなさそうですが、自分でやってみればこういった才能のない私なんかはどこから手をつけたらいいのかわからないし、うさぎのバランスも全然取れません。

レゴとマインクラフトは似ていて、オリジナルのものを作る時はどのパーツをどこに使うか、レゴなんかは違った大きさのパーツがたくさんあるので比率を正確にするには相当な想像力と隠れ計算力を要します。マインクラフトはずべてのものが同じ大きさなのでこれまた比率を正確にするには脳内で最大公約数的な考えをしないといい作品が作れません。

Jがレゴでオリジナルで作った第一次、二次世界大戦のドイツ、ロシア、アメリカの戦車は細かな角度、車輪間の感覚に至るまで緻密に再現されています。ただ再現すればいいとJは考えず、表から見えない部分の美しさにもこだわります。また機能性も重視し可動部分が滑らかな動きをすることにも注意を払います。パソコンのLego Builderアプリを「ゲームなんて」「パソコンなんて」と禁止していたらJのずば抜けた才能に子供の頃に気づくことができませんでした。

もの作りの変遷はYouTubeを通してナーフガンの改造に繋がりました。お下がりでたくさんのナーフをもらった時からナーフの虜になり、ナーフを取り巻く動画を兄弟友人交えてどれだけ作ったことか。これは後々Jの映像作成への道へとつながります。

ナーフで普通に撃ち合うのは楽しい。でも射的距離をもっと伸ばせないか、打った時の打撃をもっとインパクトのあるもの(つまり玉が当たった時にちょっと痛い)にできないか。モーターを強くすればいいのか。筒を改造すればいいのか。連続撃ちをもっと楽にできないか。見た目をもっとかっこよくできないか。

13歳の時にYouTubeから学びながらナーフの本格改造を始めます。

JはYouTubeでナーフ改造をする人の動画をたくさん見て研究し簡単な改造から始めました。小さな成功をたくさん収める一方、取り返しのつかない失敗で使えなくなってしまったナーフもあり。使えなくなったナーフを解体してパーツを他のナーフに使ったりもします。これは現在のガンダムの改造につながっているのでしょう。

Jの才能の変遷はレゴ・マインクラフト・ナーフ・プラモデル・映像といった主要な柱を螺旋階段のようにぐるぐる上りながら、登っていくたびに精度が増し、できることが増え、各々の経験がそれぞれの興味に活かされているように見えます。

アンスクールをするためのディスクールを通して、親の私はゲームや動画など一般的に子供に制限をかけることの意味を考え、そして取り払った時の可能性を知ることができました。

子供には個性のコンパスが備わっています。情熱や興味、才能や努力の度合いに現れます。子供の個性を伸ばしてあげるというのは一日1時間、1週間に数回で伸びるものではありません。むしろ、だから最大限に伸びないのです。。。本当に個性や才能を大切にしてあげたい場合は子供を数年単位で信じて見守ってあげることが必要です。そっと、芽を大切にしてあげるように。。。

Jのように識字障害、言語発達障害を持って生まれた場合、読み書きがメインの普通の学校にいるのは本人と親の努力云々だけではクリアできないものがありました。不登校の末にホームスクールを始め、アンスクールに出会ったことがJをどれほど救うことになったことか。。。ゲームとYouTubeが彼を救ったと言っても過言ではありません。

次回は「自己紹介」、次次回はアンスクールがどのように私と子供たちの関係を今の形に変化させたのかと私が考える理由をお話ししようと思います。



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