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星屑197 つよきなはなし

2019年11月12日

 あっという間に11月も半ば。日々のあれやこれに忙殺されていると、季節の変わり目も感じることができないまま、ここまでやってきてしまったような気がします。星屑も忘れているわけではないのですが、どうしても優先順位が低くなりがち。続けることに意味があるとは思っているのですが、滞っても気にしないようになってきて、放っておくといつの間にか消滅してしまいそうです。

 最近は、ありがたいことに製本の依頼が続いているので、黙々と紙と糸と糊に向き合っています。誰かの作品の媒体として使われたり、個展用のアーカイブ的な本だったりと様々ですが、専門分野ど真ん中なのでとても楽しいです。大学生の時に力を入れていたことを、修了した後も続けることができるなんて、これ以上ない貴重な経験だと思います。こうして細々と続けていくことができるのも、いろんな人が気にかけてくださっているからだと思います。本当に感謝しかありません。

 都会にいるのも相まって、学生の時ほど潤沢な機材や、便利な紙問屋があるわけではありません。でも自分のできる範囲で依頼者が満足できる本が作れるよう工夫しています。意外と狭いワンルームでも数十冊単位でそれなりに製本はできます。

 大学院の時は、手製本でも「複製可能である」という面に重きを置いて製作していました。一点ものの製本ももちろん重要なのですが、工夫すれば量産できることがこれからは大事になるのではと思っています。ZINEなどの簡易製本は個人出版、同人誌イベントなどで重要なポジションを得ていますが、とりあえずホチキスや糸で留めただけの紙の束は、正直なところ、本の作りとしての強度の問題や、見た目も含めて、自らの価値を低くしているように思えて私はあまり好きではありません。もう少し手を加えればきちんと存在感を放つ本になるし、量産できる仕様にすれば販売も容易です。私はそのアイデアのお手伝いであったり、コスト面も含めた装幀やデザインをすることをしています。アイデアをいくつか提案すると、「そんな方法があったのか!」と驚いてくれる人もいてとても嬉しいし、考えている時間が楽しいです。これからも細々と続けていきたい。

 随分強気な話をしてしまいましたが、じわじわ芽生え始めているプロとしての自覚を持ちながら、これからも紙と文字と向き合っていきたいと思っています。

 今回はこのへんで。


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