節目を前に

4月末をもって、僕は11年と1ヶ月を過ごした今の会社を退職する。
本来ならば、今頃恒例のソンクランに参戦、有給もしっかり取ってリフレッシュ…のはずだった。
しかし、コロナウイルスの影響でタイ行きはキャンセル、退職直前になって担当する顧客に大きな動きがあったこともあり、結局有給もそれほど消化しないまま、退職を迎えることになった。
社会人のある時期以降、SNSやブログでの発信は極力控えていたが、僕の社会人としてのキャリアにおいて、間違いなく大きな転換点の到来を前に、これまでの自分を棚卸しして、自分の言葉で残すとともに、僕の日々の”いま”を記録したいと思う。
いつか自分の子供たちが成長し、これを見た時に、何かを感じてくれることを願って。

最初の投稿は、僕が退職を決意するまでの経緯を振り返っておこうと思う。
フレッシュなうちに、出来事を記録しておいた方が良いはずだから。
僕の将来像を漠然と意識するようになったのは、まだ兵庫の工場で購買をしていた2018年の春頃だったと思う。
携わる仕事にやりがいはあったが、サラリーマンとして行き着く先が何となく想像出来てしまう事に対するつまらなさを、感じ始めていた。
カッコよく言えば、自分の道を切り拓いている様な感覚を得られることがなかった。自分の将来に対して、ワクワクする感情を抱くことが出来なかった。
要は、人生において刺激が欲しかった。昼下がりの情事ではないが。働いた分だけのリターンも欲しかったし。
誰かに決められたレールの上を走っている感覚への抵抗感みたいなものと、社会にもっと自分の爪痕を残したいという妙な功名心がマグマのように吹き出して、外の世界を強烈に意識するようになった。尾崎豊か。

一方、社内に目を向けると、社会からの要請に柔軟に対応できているとは言えない会社の将来に対しては、危機感をずっと持っていた。
ムラ社会とも言うべき保守的な風潮は、間違いなく近いうちに競争力を奪っていく要因になりうると感じていた。
ものすごく上から目線な見方だし、僕が身を置く業界は、多かれ少なかれそんな雰囲気なのだろうけど。
ただ、だからこそ、そんな状況への変化を促すキッカケになればと、積極的にアイデアを発信し、それを実際の行動に落とし込んできたつもりだ。
勿論上手くいったことも、ボロボロの結果になって返ってきたこともあった。多分、後者の方が多いと思う。
そこでの経験は全て自分の糧になっているとは思うけれど、自分がやろうとしてきたことが本当に正しかったのかは、正直わからない。多分、3年後・5年後に評価されることだと思う、早くても。

ただ、中にいながら成果をあげるには、現在の立ち位置では限界も感じていた。
おそらく部長、もしくは役員クラスにならないと、変えられる立場にはなれないのだろう。それは何十年後?その頃には会社はどうなっている?それでは遅すぎる。もしかしたら会社自体無くなっているかもしれない。
ならば今すぐに外から変えれば良い、という結論に行き着くのは、極めて自然な発想だったと思う。
では、何処でそんな仕事が出来るのか?答えはコンサルか投資銀行やファンドだった。

けれど、投資銀行という選択肢は現実的ではなかった。ハゲタカには憧れたところはあるけど。完全に大森南朋。
銀行での勤務経験もないし、そもそも財務諸表が読めないし、経済・金融の仕組みだってほとんどわかっていない。
大学でも少しは経済系の授業を履修しておくべきだったと、今更ながら後悔した。
そもそも投資というものへの感度というかセンスが致命的に欠けているので、適性は無かったと感じている。
結果、若干消去法的ではあるけれど、コンサルを目指してみようと漠然とした憧れを抱く様になった。どうせ無理だろうとは思っていたけれど、チャレンジだけでもしてみることにした。自分の力を試してみよう、ついでに自分の市場価値も知ってみよう、と。
狙うは所謂「戦略コンサル」一択。記念受験だし、目標は高く、ということで。

それから2019年11月に話を外資コンサルから内定の話を頂くまで、ゆっくりしたペースで進めてきた。兵庫からいちいち面接のために上京するのも、金がかかるし。
2019年からは東京に転勤になったので、もう一度自分の将来像を見つめ直すために、半年強は活動をお休みしていたけれど。
僕自身のありたい姿と正対して、考えた結果、再始動することにした。
仮に転職という選択肢を採らなかったとしても、今現在の僕自身の市場価値について客観的に知ることができたのは、良い経験であったと思うし、これまで僕が歩んできた道は凡そ間違っていなかったのだと、自信を持つことが出来た。

内定を頂いてからも、ものすごく悩んだ。その間、色んな人に会ってみた。
結局は、僕自身の思いに正直になってみよう、と決め、出ることを決意した。
正直、コンサルファームなんてところに入ることが出来ただけでも奇跡だと思っている。おそらく今の会社とは違う意味でハイレベルな人達が多いのだと思う。特にコミュニケーション能力という面において。
そういう環境下で結果を出していかねばならぬことは、精神的にかなりキツいことだと覚悟はしているつもり。多分、いま想像している以上にしんどいのだと思う。
ゼロからのスタートになるし。

けれど、チャレンジするための切符を手に入れたことは、僕にとってもかなりの自信にはなった。
不安7割、ワクワク感3割といったところだけれど、今まで培ってきたものは、必ずや自身の血であり骨になっていると思っている。
それを胸に、次の一歩を踏み出せたら、と思う。

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