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コロナ禍のサポーターを追ったドキュメンタリー『我が町のサッカーチーム-城南FCを応援する人々の話-』制作チームに話を聞いてみた!

当たり前のように行われていたプロサッカーが新型コロナウイルスの影響により世界中で中断した2020年、どこよりも早くサッカーが日常に戻ったのは韓国・Kリーグでした。そんなKリーグ1(1部リーグ)を戦う城南 ソンナムFCのサポーターを追ったドキュメンタリー『我が町のサッカーチーム
-城南FCを応援する人々の話-』をヨコハマ・フットボール映画祭2021で無料上映します。

この城南FC、以前は城南一和天馬 ソンナムイルファチョンマというクラブ名で7度のリーグチャンピオン、そしてアジアも2度制するほどの強豪クラブでした。しかしチームの財政難などの影響により、ホームタウンである城南市がクラブを買収し2014年から現在のチーム名でリーグ戦に参戦しています。

ヨコハマ・フットボール映画祭公式マガジン第34回となる今回は、『我が町のサッカーチーム』の監督を務めたチョ・ウォンヒさんと、デザインを担当したキム・ヒョンスさんへのインタビューを掲載します。
(2021年9月上旬メールにて実施)

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念願のドキュメンタリー映画の制作、そして苦労は?

ーーコロナ禍で世界中のサッカーが止まっている中、プロリーグとしては他の国に先駆けスタートしたKリーグは、その当時世界中から注目が集まったという印象を持ちました。当事者である皆さんはこうした世界中からの視線をどのように感じましたか?またこれにより、韓国国内でもKリーグに対する注目度の変化はありましたか?

キム・ヒョンス(以下:キム)
韓国で1番人気のスポーツはやはり野球だと思います。 Kリーグの人気も上昇傾向でありますが、野球が不動の1位のようです。 そんな中、Kリーグの中継権が海外に販売されるなど世界的に関心が高まったことに驚きました。国内でもKリーグが世界のどこより早く再開したことでコロナ関連の社会ニュースで扱われ、韓国のサッカーが世界中に広まったのもいいタイミングでした。

また今回の上映では著作権の関係で字幕になってしまいましたが、あらかじめ準備したコンテでは、韓国のニュース専門テレビ局YTNで流れたチョ・ウォンヒ監督と私のインタビューで始まる予定でした。普段なら開幕だからといって特に取材に来ないのに意外でした。 

ーーどのようなきっかけからこの映画を撮影し、ヨコハマ・フットボール映画祭(YFFF)に出品しようと思ったのでしょうか?

チョ・ウォンヒ(以下:チョ)
私は高校時代に城南メディアセンター※でドキュメンタリー映画の制作について学び、その時から城南FCに関する映像を撮ってみたいと思っていました。その後、Netflixで『サンダーランドこそ我が人生』を見て、デザイン能力のあるキムさんと美的感覚とアイディアが豊富なサ・ギュミンさんを知り合い、実際に製作ができる自信が持てるようになりました。 そして、城南メディアセンターとの縁で撮影支援を受けることになり、このプロジェクトが始まりました。コロナによってドキュメンタリーの方向性は変わってしまいましたが、私が住む街とクラブ、そしてそのクラブを応援する人たちを描こうと努力しました。
※城南市のメディア教育とメディアサポート事業を通じて、地域のメディアと市民を交流させるための活動を行う施設。様々な講座を実施したり、コンテンツ制作、機材レンタルを行っている。

元々は地元のコンペティションへの出品までは考えていたのですが、YFFFに参加したこともある城南FCサポーターのソ・ジュフンさんが作品を推薦してくれたと共に実務的な面でも動いてくれました。また京都の同志社大学に在学中のムン・ヒョンギュさんが日本語翻訳を完璧にしてくれました。このように日本に詳しい2人の仲間が協力してくれたことで、海を渡って出品できました。 こうして見ると、私は何もしてないようですね(笑)。

ーー11月の頭にシーズンが終了し、本来1月に開催予定だったYFFFに間に合わせるために急ピッチの編集作業だったと思いますが、作品を製作する上での苦労はどのようなものがありましたか?

キム 権利の都合上、自分たち自身が撮ったものでも試合の映像を映画に使うことができなかったのは大変でした。サポーターの1シーズンを追った映画で、ゴールシーンなどサッカーの試合の映像を入れることができなかったということが本当に残念な点です。観る方はスタジアムの放送や審判のホイッスルの音、サポーターのリアクション、字幕などで試合の流れを追わないといけないですからね。

チョ 一緒に作品を編集をしたヒョンスと私は当時まだ大学生で、それぞれ忙しいスケジュールの中で制作しなければならないというのが相当なプレッシャーでした。 個人的に去年の冬は、会社のインターンや卒業プロジェクト、そしてこの編集作業に追われて、どのように過ごしたのかよく覚えていません。

ーーこれまでこの作品はどのように展開してきましたか?また今後は、YFFF以外の映画祭への出品の予定はありますか?

チョ 毎月Youtubeに動画をアップロードして制作することが最初の目標であり、城南メディアセンターからの課題でした。その後、機会に恵まれて城南市のケーブルテレビ局のABNで放送されました。その後は、本編が城南教育映画祭でオンライン上映され、2020年12月には京畿マウル・メディアフェスティバルで京畿道知事賞と京畿コンテンツ振興院長賞を受賞しました。YFFFで上映されるのは、信じられません。韓国はスポーツ映画に色々と限界があると思うので、良い機会があれば色々参加して可能性を広げておきたいです。YFFFの皆様が私たちの映像を好意的に見て下さったので、他の良いきっかけも生まれるのではないでしょうか。

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注目ポイントと城南FCの魅力

ーー本作で注目して見てほしいポイントを教えてください

キム 私が担当した編集、デザインの面で言うと字幕の多くは韓国の公営放送局KBSのドキュメンタリー番組『モダンコリア』からインスピレーションを得ました。ナレーションを最小限に抑え、可能な字幕と持っている映像で映画のストーリーを展開することを意識しました。

映画に出てくるたくさんの城南FCのサポーターたちが着ている服に注目してほしいです。 ユニフォームだけではなく、城南FCのオフィシャルウェア、そしてサポーターが自分で作ったシャツまで様々な種類の服をサポーターが着ています。 またシーズンが進んでいくに連れて、服が季節によって変わってくるのも、視聴していただく上で面白いポイントだと思いますね。

ーー日本の皆さんに伝えたい城南FCの魅力を教えてください。

キム 
私は城南FCのスタジアムの近くに住んでいるので自然に城南FCサポーターになりました。 偶然にも私が生まれた病院は、スタジアムから橋を一つ渡ればすぐにあるほど近かったんです。日本のサッカーファン、特にガンバ大阪サポーターの方々は城南FCがファン・ウィジョの出身クラブであるという点が魅力に感じられるでしょう。城南FCのファンも彼を愛しています。あとは2部リーグに落ちた時も私たちのような熱烈なファンを持っているという点が魅力でしょう。

チョ 数々の栄光、そして素敵なオールブラックのユニフォームを着て叫び、応援できることが魅力だと思います。私は小学校から高校まで城南で育ち、そして就職までしました。なので故郷チームであるのはもちろんのこと、自分のアイデンティティーとも言えるチームだと思います。日本のサッカーファンの皆さんも故郷のチームへの愛着が強いと思います。もし「韓国に故郷があったら…」と仮定して、城南という都市と城南FCを好きになってみてはいかがでしょうか?
コロナが終息したら、城南FCを応援しに来られる日本の皆さんとスタジアムで勝利を共有したいです。そして試合後にサムギョプサルと焼酎で打ち上げをできる日を楽しみにしています。

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この『我が町のサッカーチーム』は、韓国在住のソ・ジュフンさんからの推薦があり上映することになりました。チョ監督がインタビュー内で話しているように、ソさんは映画祭に参加したことがあり、今回は制作チームとの橋渡し役を担ってくださいました。このように映画祭のファンになってくれた方がきっかけで、上映作品が海の向こうからやって来るのはYFFFが10年間築いてきた歴史があるからこそできることではないかと思っています。
今回のように、「YFFFに出品したい!」という映画制作者の方が一人でも多く増えるよう引き続き魅力ある映画祭にしていきたいと身が引き締まる思いになりました。

自身がクラブを愛する姿と照らし合わせて本作を見ればさらに楽しく見れるはずです。是非会場に足を運んでいただきご覧ください。
また横浜F・マリノスや柏レイソルで活躍され、6月に逝去された柳想鐵ユサンチョルさんの追悼動画も同時上映します。こちらはKリーグの試合会場で上映されたもので、Jリーグで活躍される前のレアな映像も含まれていますので、この機会をお見逃しなく!
残席の方もわずかとなっていますので、お申し込みはお早めに!


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