見出し画像

死にたいって、思っちゃうんだよね②


いく当てもなく走った。
泣きながら走った。
ほんとに死のうなんて思ってないけど

楽に死ねるならすぐに死にます
って感じの精神状態で。

講習の予定があったけれど
それどころじゃなかった。

誰かと話したい。誰かに愛されたい。
母に貰えなかった愛の代わりが欲しい。

私は泣きながら当時連絡を取り合っていた
同じ大学の先輩に電話した。
他の女の子とデートの予定だったのに
すぐに会おうと言ってくれた。

新宿のサンマルクで待ち合わせをした。

ぐっちゃぐちゃのびしょびしょの顔で
電車に乗り込んで
それでも嗚咽が止まらなくて
ずっと泣いた。みんな見てるけど気にしなかった。
乗り換え駅では、
今飛び降りたら死ねるんかな
とか考えたけど
やっぱりなんか人生に期待してた。
根は明るくてよかった。

誰かと繋がってないと怖くてたまらなくて
必死にTwitterやインスタグラムを身漁って
私は1人じゃないと言い聞かせた。

サンマルクには座ってる彼がいた。

私を見つけるなり抱きしめて
泣いてるの?悲しいの?嫌なことあった?もう平気だよ?
と、これまた畳みかけるように慰めてくれた。

あ、愛された。

そう思って、私に笑顔が戻った。
ここにきてよかった。あなたに会いに来て良かった。
ほんとの愛とか偽物の愛とか、よくわからんけど

とりま今は満たされた。


そのまま手を繋いで歌舞伎町をふらついた。
24時間やってるアホなラーメン屋で夜ご飯を食べて
たわいもない話を沢山した。

歌舞伎には色んな人がいた。

段ボールに寝る人
スト缶持ってフラフラしてる女
キャッチ、呼び込み
詐欺師、薬の取引をしてる人
行き場を失った不法労働者
知らない男と寝る女
全身ブランドものを身につけた女子高生

何が正義で何が悪かなんて関係ないような気がした。
狭い世界に生きて、死にたいなんて思うんじゃなかった。
もっといろんなことをしてからじゃなきゃ
死にたいなんて言っちゃダメじゃんって
ちょっとだけ思った。

少しだけ歩いて時間がゆったり過ぎるようになった頃

一緒にいた友達が、漫画喫茶にカレーを食べに行こうと誘った。

私は夢から一気に醒まされた気分になった。
空から真っ黒な絵の具が降ってきて
めちゃくちゃちっちゃい穴をすり抜けて
夢の中まで入り込んできていた。

全部、夢が侵食される前に。

「今日はありがとう、もう帰るね」

私はまた、泣きながら電車に乗って家に帰った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?