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薄いアクエリアス―2021/08/31

※下ネタが苦手な方はブラウザバックしてください。

最近、ダイエットを始めた。会社の同僚や大学時代の友人に軒並み「太った」だの「デブ」だの「誰?」だの「マジでヤバイよ」だのと言われ、さすがに危機感を抱いたからだ。

ご飯やパンなどの炭水化物は極力控え、夕食後にはニンテンドースイッチのFit Boxingで運動をしている。

クーラーがきいている部屋とはいえステップを踏みながらパンチを繰り出していると暑くなってきて汗が吹き出る。そのままでは脱水症状を起こしかねないので、もっぱら私は市販のアクエリアスを冷たい水で薄めて水分補給をしている。単純に原液のままでは甘すぎるからだ。

薄めたアクエリアスを飲むと、私は純粋だった中学生の頃を思い出し、同時に恥ずかしさに駆られる。


当時、私はクンニという言葉を知らなかった。

初等教育における保健体育の授業でセックスやオナニーなどは知っていた。だが少子化や性犯罪の抑制とはほぼ無関係の、ただ性的快感のためだけに女性のソレをアレコレするという行為を授業では教えてくれなかったし、私自身もそんな行為があるとは想像だにしていなかったのだ。

そんなある日、私は所属していたサッカー部の部員たちがクンニと発言したのを確かに聞いた。そしてその未知の単語で部員たちが笑い合っているのも目にした。私はクンニとはどういう意味だろうと俄然興味が湧いた。湧いていたのは頭の蛆虫かもしれない。


知らない言葉と出会った時、あなたはどんな行動を取るだろう。辞書で調べるかもしれない。携帯電話で検索するかもしれない。あるいは何もせず知らないままでいるかもしれない。私はそのどれにも当てはまらなかった。

先ほど会話していた部員の1人が遠くでリフティング練習をしているのに向かって私は


「おい!!クンニってなんだ!!??」


と大声でバカ正直に聞いてしまったのだ。

先述したように当時の私は純粋だったので、エッチな言葉とは一切知らずに尋ねていた。

だが周りの部員はどうだろう。まだ夕方で女生徒が校庭の周りにチラホラいる中で、突然私がド下ネタを絶叫したのだ。さぞ驚いただろう。

聞いた相手がなかなか答えないので、しびれを切らして他の部員たちにも「クンニってどういう意味?」と尋ねていった。ハッキリと言葉にできない部員たちの様子から「あ、もしや…」と勘付いてもいいものだが、"クンニって漢字でどう書くんだろ"という疑問で頭がいっぱいだった私には些末なことだった。そこには、夕暮れに染まる校庭の真ん中で部員たちに「クンニって何?」「クンニって何?」と聞き回るスケベなアヤナミレイがいた。

結局、近くにいた部員の1人が私のもとにいそいそと近づいてきて、コッソリその言葉の意味を教えてくれたことで、私の暴走は赤面とともに沈静化した。

そのとき恥ずかしさで渇いた喉を潤すために飲んだ水筒の中のアクエリアスも、いま飲んでいるそれと同じぐらい薄かったことを思い出す。

味覚に残った記憶は、今でも悶え苦しむぐらいに鮮明だった。

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