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青いこと。


たとえば、このように三本の線をてきとうにひいて、これがあーだとかこれがあーだとか、言ったところで、言葉は“言葉”でしかなく、あーだとかこーだとか、触れようとしたところで、結局は“感覚”には追いつかない。「伸ばす手の先で消え失せてしまう」のだ。

それなのに、感覚を呼び起こすもの、それがときとして言葉であること。これはヘン。ヘンなことをヘンなこととして捉えて、自覚しつつなにかを書く。これは、あがきだ。
(そして、“言葉”は任意のxに代替できる)。

たとえば、人生の天井を見たことあるか? 私はない。
人生の底を、天井を、想像できるか? できやしない。
ましてや言葉になどと……。それでも、あがきたい。
なぜなら私はあがくということは少しの ━━ それは、本当にほんの少しであってもいい ━━ 希望がなければできやしないことを知っているから。

そんなことを私は思っているわけです。
そんな青臭いことを。

まだ僕等は、この調子で。
そうだ。スヌーピー大好きな奴が、
重タール漬けガイでもいい。
青いよ。だって性分だ。

「永遠なるもの」 /  中村一義


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