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2020.10.4 FC町田ゼルビア vs アルビレックス新潟

悔しい負けですが、これが今の現実といった試合でしたね。

チームとしての引き出しが少ないから、相手に自分たちの良さが消されれば、そこでゲームオーバーという試合が続いています。だから先制されると勝ちが消え、引き分けにすら持ち込めない試合が多いのだと思います。

しかしそれは仕方ないことでもあると思います。中断後、緊急事態宣言が出てからは練習ができず、特に町田も感染者数の多い東京のクラブではあるので、他の地方クラブや自分たちの持ち物としての練習場があるクラブよりも練習再開は遅かったですし。また、再開後も中3日、2日の試合が続いたことから、トレーニングマッチや紅白戦といった控え組がアピールする機会が限られたことから、主力が出ずっぱりという状況も仕方ありません。

そして新潟のアルベルト監督は、このゼルビアが選手を固定し続けている状況に目を付け、効果的に試合運びを行おうと考えていたようです。

アルベルト監督「(前略)そして試合が決まるのは後半だと予想していました。町田がほぼ同じメンバーで戦っているがゆえに、疲労が溜まっているだろうと予測していました。そのような分析から相手をより多く走らせるために、前からボールを奪いに行って、積極的に前へ飛び出して、積極的に相手を走らせることを狙っていました。(後略)」

まんまと走らされ、前半終了間際に失点し、後半に3失点。前に出る力の無くなったゼルビアはボールを前に蹴ることが精いっぱいでした。

それでは詳しい内容に入っていきます。

スタメン

スタメン

ゼルビア
4-4-2
前節から1人変更
平均身長(GK除く):176.8cm
新潟
4-4-2
前節から3人変更
平均身長(GK除く):176.3cm

思惑通り走らされたゼルビア

新潟は上記の監督コメントのように、前半から自分たちがボールを動かして、ゼルビアの選手たちを走らせることを狙いとしてきました。

新潟はゼルビアのプレッシングに臆することなく、ダイレクトでプレスを回避したりとボール保持に対して怖がらないチームでした。

そのため、試合開始直後から安藤や平戸がプレスのスイッチ役となって、前から行こうとするも、2列目以降の味方が連動できずに自分たちで4-4-2で噛み合っている状態からズレを作り、この日初めてCBとしてスタメンで出場した新井に縦パスを通されるシーンが目立ちました。

その後ゼルビアはボール奪取のチャンスがあれば、プレスに行くが、基本は中央でブロックを作り、中央の福田、島田へのパスコースを消すという前節の北九州戦と同じような形にシフトしました。そして、SH、特に右SHの岡田は立ち位置を少し内側に変え、CHのCB脇落ちを警戒するようになりました。

しかしそこはさすが新潟という形で、システマティックに選手が連動することによって、ズレを作って容易に1stプレッシャーラインを突破していきます。

具体的に見ると、左SBの荻原が前に出て岡田の意識を惹いて、岡田の意識の矢印を後ろに引っ張ると、その空いたスペースに島田が落ちてパスを受けるという形です。あくまでも島田は最初から落ちるのではなく、荻原の動きに合わせて落ちています。これが他のチームとの違いです。

新潟は1stプレッシャーラインを突破すると、前線のFWと内側に絞ったSHの4人が自由に動き、ゼルビアの守備を更なる混乱に陥れます。左SHの高木がビルドアップ隊と前線の選手の繋ぎ役になり、降りてパスを受け、大外で小田と1対1の状況になっている荻原に仕掛けさせたり、最前線から降りてきたロメロに溜めを作らせたりと自由にやらせる状況になっていました。ロメロが溜めを作り味方を助けてくれる選手だということは、ゼルビアサポーターの方ならよくわかっていると思います。

特に新潟は大外のスペースをすべて荻原に使わせ、縦に仕掛けて小田を剥がし、中央のファビオへクロスを上げるというパターンが多かったです。

一方の左サイドの攻防はというと、右SBの田上が攻撃に参加してくるというよりは、カウンター対策のために攻め残りすることが多く、SHの中島(こっちは濁音の”なかじま”)も中央に寄っていたのでそこまで機会はありませんでした。もちろん奥山の存在もあったと思いますが。

後半

後半は、ゼルビアが右SBを小田→酒井に変え、荻原のスピードに対応するためとビルドアップの逃げ場としての交代だったと思います。ですが、新潟は左サイドの選手を代え、SBが早川、SHが本間という構成に変えてきました。これはゼルビアにとっては想定外だったと思います。普通なら好調な選手を代える必要はないですからね。

後半も引き続き、右サイドでの攻防が続いていくのですが、ゼルビアは完全に後手を踏んでいました。目立ったのは本間̪̪至恩の仕掛けですね。スペースがあれば必ず仕掛けてくるのは厄介でした。あれは町田JFCから宮城の聖和学園に進学するタイプのアタッカーですね笑。酒井や岡田が簡単に抜かれるのですが、自ら必ず1対1の状況にしたがるのが解せなかったです。ハーフスペースのところを埋めなければいけないというのは福岡戦あたりからの課題でしたが、この埋める役割はCHに任せればいいのにと思ってしまいました。

メッシみたいにボールを持ったら危険だと分かっているのだから、1対1ではなく、2対1にして奪いに行けばいいのにと思ったのですが、そこはチームの約束事を優先した形でしょうか。

目立ったのは本間ですが、個人的にはSBの早川の貢献が目立ちました。攻撃のときも首を何回も振って周りの状況を確認し、身体の向きをパスを出す方向に開いて、スムーズにボールを動かすというテンポの良さで、後半開始にもう一度プレスに行くぞ!という姿勢を見せていたゼルビアを簡単にいなせていました。

それで鄭大世が入ってからは、コーナーキックからのカウンターを食らい、ボールの処理を誤り、パスのスピードが緩んだところを見逃さなかったところを引っ掛けPK献上、謎采配で海舟が競り負けセカンドボールを回収され見事なボレーを決められるという散々な形でした。


持たせてもらえなかった前半と持たされた後半

前半は新潟の前線の選手がプレッシングに来たので、プレス耐性の無いゼルビアの選手は蹴って前にボールを飛ばさざるを得ませんでした。これもどうやら新潟は狙ってやっていたようです。

あわよくば前線で奪いきってカウンターを狙いたいが、あくまでも狙いは走らせ、疲れさせることなので、蹴らせて最終ラインで回収できればいいや、という感じでしょうか。

それでも比較的高い位置でボールを奪うことができると、これも前節同様に、SBの裏を狙うような動きでサイドアタックを試みます。これは効果的かなと思った途端に、CBの選手が背後のスペースをカバーしてそのCBが空けたところをSBが埋めるという対応で、あっけなく良い攻撃の形も封じられてしまいます。

そんな訳で持たせてもらえなかった前半は平戸のシュート1本のみで終わります。あれは決めて欲しかったですねー。

そして後半です。新潟はハーフタイムに選手を代えるとともに、フォーメーションを4-2-3-1に変更し、プレッシングに行くのではなく、ゼルビアの3-1のビルドアップ隊をマンマークするような形に変え、近い距離のパスコースを限定していました。

そのためプレスは来てないからボールは持てるけど、パスコースがないという状況になります。ここで、新潟のように例えば、CHの脇に平戸が降りてきてパスを引き出す、SBが内側に絞ってパスを受けるという器用なことができればいいのですが、残念ながらSBもSHもFWも最前線に張ったままで、パスを受けるという考えがまるでありませんでした。

せっかくボールが持てているのだから、サイズで劣っているにもかかわらずロングボールで一発を狙うのではなく、中盤に降りてきて繋げばいいのにという風に思いました。個人的にはこの動きを期待されての平戸のセカンドトップ起用でもあると思うのですが、どうも上手くいかないですね。

また、酒井を入れたことはスピ―ドを活かして相手の背後を狙ってくれと言ことなのか、それともロングボールのターゲットを期待してのことなのかが私には理解できませんでした。「リュウ!」という声とともに前線へ走っていたので、おそらく背後を狙えということだと思うのですが、前線に張り付いていたのでよくわからないかったです。

どちらにせよ、連戦出ずっぱりで、肉体のみならず頭の方も疲れていたようです。裏に走っている味方の動きを認識できない。パスを出すのに一瞬迷ってタイミングが合わずパスミスになるという、いつもならここまで酷くないのにという印象を抱きました。


試合結果

新潟 4-0 町田
得点者:46’ 中島 元彦
    77' 鄭 大世
    89' 鄭 大世
    95' 鄭 大世

さいごに

ちょっと私生活でもいろいろ悩みがあり、ゼルビアは1カ月勝ちなしと精神的に参ってきました笑 深夜に聞くラジオが面白いのだけが救いです。

さて、今シーズンの昇格が大分厳しくなり、果たして試合のモチベーションをどこに向けるのかが残りの課題になっていきそうです。今シーズンは降格もありませんしモチベーションは昇格の狙える上位クラブくらいにしかないのでしょうか。

もちろん数カ月前の状況を考えれば、試合ができる事、スタジアムで試合が見れることだけでも恵まれているのですが。

来シーズンのことを考えると、ゼルビアは主力選手の過半数がレンタル組で来シーズンも残ってくれるのか?というと微妙なところではあります。3か年計画の2年目で昇格を狙うのであれば、もっと大胆な選手起用があってもいいのかなとは思ってしまいますが、あくまでも素人考えなのでね。

きっとポポヴィッチ監督は一戦必勝の考えの元、今後も選手を酷使しつづけるのでしょうね......




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