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「フットボールは甘くない」2021.03.21 FC町田ゼルビア vs 水戸ホーリーホック J2第4節マッチレビュー

この試合は大雨と強風でコンディションが最悪で、風の影響で先制点を許すとそこからリズムを崩して3失点と散々な結果となった。しかし敗因のすべてを風に擦り付けて言いわけがない。

なので今回はなるべく風に触れずにいきたいところだけど、無理そう。


スタメン

スタメン

コイントスでエンドを交代し、風下になったゼルビア。SHだけ前節から入れ替えて試合に臨んだ。

一方の水戸は、4-3-3を基本としつつも縦横圧縮を装備しているため横の並びはぐっちゃぐちゃ。昨シーズンはゼルビアで33試合7ゴールと結果を残した安藤瑞季は左WGで起用。


過去の自分たちに見えた水戸のサッカー

水戸のサッカーはネガトラでのゲーゲンプレスを重視、そのための攻守両局面での縦横圧縮を搭載していた。これに加え球際の勝負に絶対勝つという気迫は2018シーズンのゼルビアを見ているようだった。このリスクを恐れずに前がかりになっている様子は私の好きなサッカーであった。

水戸は極端に攻撃的なチームと表現されがちだが、セットディフェンスもCFの中山仁斗の2度追いや左WG安藤のプレスバックなど今シーズンは守備も整備してきたなという印象だ。最も18シーズンのゼルビアの雰囲気を感じたのは、ゲーゲンプレスのために中央や同サイドでの数的優位を作るというところ。しっかりと繋いで前進するが、ワンサイドアタックがメインなのかなと思った。

一方のゼルビアは風の影響でロングボールを使えないことも影響し、水戸のゲーゲンプレスや3トップの2度追い3度追いに悩まされ、前線の選手までボールを届けることが出来ないという課題が再度露呈してしまう形となった。

このピッチコンディションでなければ磐田戦同様に、サイドの奥を突いてCBを釣り出して逆サイドのSHがフィニッシャーとなるシーンを何度も作り出したかったが、このピッチコンディションでそのゲームプランも白紙に。自分たちのプランをどのような形であれ潰されてしまうと、ピッチ上では何もできなくなってしまう様子を見ると昨シーズンからの進化というのは感じずらい。


噛み合わせの悪さへの対応

ゼルビアが4-4-2、水戸が4-3-3ということで、中盤の人数は水戸に分がある。ということで最後まで中盤の数的不利が足を引っ張ることとなった。

ゼルビアは髙江麗央を最終ラインに降ろして3-1のユニットをビルドアップ時に形成することは皆さまご存知の通り。この時水戸は3トップと3センターが5レーンを埋める形でプレッシングに来る。水戸は人を見るというよりかはスペースを守る感じ。だから前線はゼルビアの方が人が多い状況。最終ラインの背後へロングボール一発蹴れば一気にチャンスだったが、風が強すぎてロングボールは使えず。状況を打破するような飛び道具は持ち合わせていないゼルビアは水戸のハイプレスの前になす術が無く、そのまま飲まれてしまった。

相手BU

やはりゼルビアの課題は相手の1stプレッシャーラインの突破にあることが改めて明らかになった。人を変えるだけで解決できないのは後半の有様を見れば分かることだが、この課題から目をそらし、ピッチコンディションに敗因を擦り付け、今後は何もないように振る舞うのかどうかは注視していきたいポイントだ。

水戸のビルドアップ時は、2-3のユニットでCB2人と中盤3人の組み合わせ。1stプレッシャーラインを突破するかしないかの段階ではSBの関与は少なく、SBはこの段階においては相手のSHをピン止めするという役割を担っていた。ゼルビアの2トップは背後の3人が気になりCBに積極的に行けなかった。2トップは立ち位置でパスコースを消そうとしていたが、それでも絶対に1人余るのでそれも得策とは言えず。CHが3センターを見るためにもう0.5列高い立ち位置を取っていれば、展開は違ったものになっていたかもしれない。

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そしえ私がこの試合で一番感じたのは今のゼルビアには柔軟性が欠けているということだ。相手が2トップなのか3トップなのか、ハイプレスで来るのかどうかといった攻撃時における立ち回り、相手が3バックなのか4バックなのか、中盤の構成はどうなっているのかというように、相手を見てサッカーをしておらず中身スッカスカの「自分たちのサッカー」にこだわりすぎるがあまり、自分たちで自分たちの首を絞めているように改めて感じた。

もう少し柔軟に、ハーフタイムや飲水タイムを待たずにピッチ内でやり方を変えるような光景が見られてもいいのではないか。正直、すごい次元の低い話をしているのは分かっている。一方でこのレベルをこのチームに求めるのは違うのではないかと思っている自分もいる。でもJ1に行くチームになるのであれば、もっと相手を見て変なこだわりを捨ててもいいのではと思ってしまった。ポポヴィッチが監督な限り無理な話だと思うけどサ。


試合結果

町田 0-3 水戸
得点者:7' 温井駿斗
    46' 松崎快
    56' 中山仁斗

さいごに

このチームのトレーニングが見てみたい。一年間何をしてきたのか。番記者も練習が見られない状況では得られる情報が少なすぎる。どんなトレーニングしていてメンバー固定の弊害があるのかどうかなどなど気になる点は多くある。

この試合は過去の自分たちに負けたような気がしていて、他チームから嫌がられるくらい際での勝負にこだわっていたチームが、その際の勝負から逃げてミスを怖がっているように見える。この試合の1失点目だってミスからだし、そのミスから起きた悪い雰囲気を最後まで引きずったような感じだった。

ピッチ上のリーダーが今はいないし、昨シーズンもいなかった。誰かヒーローが出てこないと昨年の二の舞な気がする。これまでの3試合は相手が良かっただけ。過信と慢心。

とりあえず髙江があと2人欲しい。アウェイユニは髙江かな。


今節もお読みいただきありがとうございました。



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