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【レビュー】2020.6.27 FC町田ゼルビアvs 東京ヴェルディ

ようやくゼルビアの試合結果に一喜一憂する生活が帰ってきましたね。本当にここまで長かった。せっかく戻ってきた日常を失わないように気を付けて過ごしていきたいと改めて思わされました。

結果から言うと1-1の引き分けだったのですが、なぜか試合を見終わると負けたような気分だったのは私だけでしょうか。ですが開幕戦に続き勝ち点1を獲得し、負けが無いことと狙っていた形での得点はポジティブだったと思います。


スタメン

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町田
4-4-2
前節より2名変更
ジョンと安藤の2人がより縦志向のサッカーを体現
東京V
基本4-2-3-1
可変時には3-4-2-1に
前節より5人変更


「トレーニングを積んできた形」の先制点

開始3分にゼルビアは先制に成功しました。

先制点の要因として考えられるのは試合の序盤でボールが落ち着いていなかったことが挙げられます。先制後はヴェルディがボール支配率70%を超えたことからわかる通り、ヴェルディがボールを圧倒的に保持していました。

だが試合序盤は両チームともにロングボールが多くなり、ヴェルディも序盤はロングボールを前線に入れてくる場面も何度かありました。先制点の起点もヴェルディのロングボールのこぼれ球からでした。

次にポイントとなるのは2:38あたり。カイナのフリックをトラップした平戸の動きです。相手を背負った状態でトラップしたため、チームの最優先事項である縦に速くボールを進めることができなくなりました。そのためヴェルディの選手の帰陣が遅くなり、結果的にはこのプレーが功を奏した形になりました。

その後ボールをキープした平戸はカイナにボールを預け、高精度サイドチェンジで逆サイドのジョンへボールが渡ります。

ここで次のポイントです。ジョンのトラップの置き場です。ここでジョンは自分の利き足である右側にボールを置きました。つまり攻撃方向とは逆にボールを置いたのです。こうすることによって、帰陣していたヴェルディの選手の足止めに成功。また、ジョンのトラップは平戸が走るコースを作りました。

ジョンの作ったスペースに走り込んだ平戸にパスを預けたジョンは平戸の外を回るようにラン。これが平戸と対峙していた小池はジョンも見なくてはならなくなり、平戸へ強く行けず間合いが開き、あとは平戸に祈るだけでした。

試合後のコメントでポポヴィッチが振り返ったようにこの先制点はyoutubeで配信されたTMで見られたSH同士でのサイドチェンジを経由して生まれたゴールでした。

ポポヴィッチ
「ゴールシーンに関してはトレーニングを積んできた形です。」


攻撃陣の守備は属人的??

属人的と言ったのは2FWと2SHの選手はそれぞればらばらに動いているように見え、チームとしての約束事がない=標準化されていないように見えたからです。

ヴェルディのビルドアップ隊は左SBの奈良輪だけ前線に上がり、3-2の計5人でボールを前進させようとしてきます。一方ゼルビアはこの5人をツートップで対応していました。ツートップの2人の主なタスクは3-2の2へのパスコースを遮断して、ボールをサイドに迂回させることでした。ゼルビアのSBの2人は対人には優れているので、個で打開する能力がそこまでないヴェルディの両翼を抑えることができるので実際理にかなっていますよね。

実際左サイドの奥山と小池の攻防は見ごたえがありました。奥山が小池に活躍させなかったので、小池はHTに交代となりました。

さあさあここからが本題です。属人的?と思った理由を2点説明したいと思います。

平戸は高橋に行くけど安藤は?

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ヴェルディの3-2ビルドアップ隊の3の中央、高橋に平戸はプレスに行くけど、安藤は行ってないよね、という話です。ヴェルディのビルドアップをサイドに迂回させたいのならまず優先すべきは、高橋のところで中央へのパスコースを切って、HVへ回させるべきではないのか。

でも高橋に行かないという選択をするならば、HVにパスが渡った時にプレス行かないとCH(中央)にボールが入ってしまいます。でも常にHVに行くわけでもなく...

まだ加入して間もない安藤にここまで言うのは厳しいですが、FWのプレス次第で後ろの負担が全然違うので、守備にも力を入れてほしいなと思いました。


SHの左右非対称な守備

左SHのジョンはHVにはボールが奪えるタイミングだけプレッシャーをかけていました。基本はWGへのパスコースを遮断し、持ち場を離れないという動きでした。もちろんHVがゾーン2に侵入してきたら対応はしていましたが。

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右SHのカイナはというと、特に奪えるタイミングでもないけど俺が行かなきゃ!というお気持ちプレスが多く、ダイレクトでCH経由で空いたスペースにヴェルディの選手は前を向いてボールを持てる状態が多かったです。

またカイナは、CHにもちょっかいを出しに行くことも多く、この時は空けたスペースにHVが上がることで、ヴェルディのビルドアップを容易にしていました。

個人的にはこの試合ではCHはFWに任せるべきだったと思っているので、監督なり選手なりがコーチングして試合中に改善してほしかったと思います。

裕希さんが入ってきてからは、左右対称の守備にはなっていましたが、裕希さんには1stプレス隊に入ってもらったほうが、後ろの選手を楽にしてあげることが出来たのではないかなと思います。


30mライン・ペナルティエリア進入回数とシュートエリア

スライド2 (2)

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見てわかる通り、どちらの数字も2倍ほどの差があり、ヴェルディにボールを持たせたというよりは、ゼルビアがボールを奪えず、ヴェルディの好きなようにやらせてしまったと言えると思います。カウンター志向に寄りつつあるとはいえ、決定機も少なく、守備で体力を消費しすぎて攻撃に回す体力が残っていなかったと言えるでしょう。

実際最終ラインから最前線へのボールは攻撃のためというよりも陣地回復という意味合いが強かったように思いました。

J2はポゼッション志向のチームが多いので、どこでボールを奪うのかをチームの約束事として決めておくことが今後必要になってくると思います。


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次はシュートを打ったエリアについて。

何が言いたいかというと、ゼルビアはエリアの中でもほぼエリアの外でしかシュートを打てず、ゴールに迫ったとは言いずらい結果となってしまいました。

ゼルビアの攻撃はある程度選手任せな部分があり、ゴールまでの設計がされていないように感じます。このままだと去年同様にゴール欠乏症になってしまうかもしれません。

一方のヴェルディはというと、エリア中央でのシュートが多く、ゴール前でのシュートも2本あります。

ゼルビアは完全にピッチの中央をヴェルディに使われてしまっていたと言えます。浦和・鹿島とのTMではしっかり中央を閉じれていたのに、この試合ではなぜできなかったのかを次節までに解決してほしいと思います。


さいごに

最初にも書きましたが、まずは再開できて良かったです。

ゼルビアは新たな課題というか問題点がいくつか見られたので、それらを早く解決することができるのかというところに注目していきたいです。もちろん早い勝利を平戸に祈りながら。

ヴェルディはビルドアップのところで隣のレーンの選手と平行にならない、ひし形を作るなどの徹底がされていて、得点力のある大久保・レアンドロのコンディション次第では例年ならプレーオフ圏内である順位あたりまで行けそうな気がします。その前に夏にアカデミー育ちの若手が引き抜かれそうな気もしますが笑

今回もお読みいただきありがとうございました。次回もよろしくお願いします。


参考文献

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