FC町田ゼルビア 2021シーズンレビュー~3カ年計画の2年目~

早いものでシーズン終了から1週間が経とうとしていますが、とりあえず今シーズンを振り返って、それを記録に残そうというのがこのレビューになります。どうぞ最後までお付き合い願います。

前提として我がFC町田ゼルビアは2020シーズンから3カ年計画に着手し、「3年以内でJ1を目指せるチーム作り」を目指しており、今シーズンはその2年目に当たります。


成績

2021シーズンの成績は20勝12分け10敗で5位という成績でした。

昨シーズンは19位という成績で、2年連続で下位に沈みましたが、19位から5位に大きくジャンプアップした形となりました。

前半戦は開幕から無敗の続いていた琉球、新潟の無敗記録を止めるなど台風の目のような存在だった我が軍は、シーズンの終盤に差し掛かった頃にはエリア51という磐田、京都を追走する3位集団に位置したことも。しかし、そこから上手く勝ち点を伸ばせずに同じ集団にいた甲府、長崎の2チームに差をつけられてしまいました。

得点は4番目の多さ、失点は5番目の少なさということで悪くない数字だと思いますが、栃木や水戸、秋田といった「走力!球際!」みたいなチームに苦戦したこと、終盤にかけて無得点の試合が続いたことが昇格した2チームや甲府、長崎と差が開いた要因でしょうか。京都や後半戦の磐田には完全に力負けした印象です。

しかし、来シーズンも昇格争いを共にするであろう甲府、長崎、新潟、山形の4チームには負けなかったというのは来シーズンを見据える上では大きいと思います。

J2リーグは上位と下位の差が開いた格差リーグになりつつあると思われるので、昇格を狙いに行く来シーズンはいかに下位チームから勝ち点を落とさないかが鍵となりそう。もちろん上位対決で負けないことも大事ですが。


サッカーの内容

昨シーズンのテーマが「相馬サッカーからの脱却と土台作り」だったとすれば、今シーズンは「土台を固める+バリエーションを増やす」というところでしょうか。

補強を振り返るとポポヴィッチ監督のサッカーを知る長谷川アーリアジャスールや足元の技術のある高橋祥平、三鬼海などが土台を固める選手たち。スピードに長けた太田修介やパワー系の鄭大世、ファンタジスタのような安井拓也がバリュエーションをもたらす選手だとざっくり分けられるかと。

攻撃

昨シーズン取り組んだ、4-4-2で前からプレッシャーをかけて相手をハメに行きショートカウンターというのは継続しつつ、ボール保持にも取り組み、遅攻でも点を取ることに力を入れていた印象です。「ただ縦に速いだけではないよ」という感じでしょうか。

昨シーズンは課題だったプレス回避もJ2レベルならできるようになったかなと。ホーム京都戦で食らったプレスはJ2レベルじゃなかった。あの試合はほとんどボールが前に運べずに終わってしまった。

でも最初からポゼッション狙いではなく、縦に速く行けるなら行くというのが決まり事。行かなかったらベンチからポポヴィッチに名指しで怒られる。

遅攻でも結局回してるだけで、相手のブロックに穴ができたら縦パス入れて、そこからダイレクトのコンビネーションで打開していくから結局は縦に速いサッカー。レイオフとかやろうとしてたけど、諦めたっぽい。

だが中央突破にしろサイドからにしろ、フィニッシャーがいない、ゴール前に選手が少ないというのは去年と変わらず。FWが組み立てに参加せざるを得ない設計だから仕方ないんだけど。でもCH、特に海舟がゴール前に飛び込んでくる回数が増えたのは良かった。

太田やテセ、ドゥドゥなど選手層を厚くできたことで、ゲームプランの変更や得点パターンが増え、サイドをスピードでえぐってクロスだとか電柱プレーとか独力で突破みたいな「質がたけぇ!!」攻撃は今年が初めてかも。

相手のプレス待ちだから、構えられた時にどう崩すかが課題ですね。ホームの栃木戦とか大宮戦とか。結局リアクションサッカーだから前に出てきてくれれば崩せるけど、引かれたら厳しい。来シーズンはアクションもできるようになるかな。

やはりウタカやルキアン、泉澤のような理不尽な選手が昇格のためには必要になると思うが、その理不尽な選手はJ1からも需要はあるし、お金がかかる。

しかし、我が軍にはお金がある。他のJ2クラブが羨むCAマネーが(いつまでもおんぶにだっこは危険)。大友社長がチームバランスの面からその金を使わないだけで、オーナーがGOサインを出したらJ1並みのお金が出せる(はず)。あとはJ2だけどいい?という所。主力の慰留含めて強化部の腕の見せ所。


守備

ざっくりまとめると、守備がハマるときは無失点、ダメな試合は最終ラインが頑張るか決壊するかみたいな感じ。特に中盤から最終ラインの突破でサイド変えられると脆さマシマシ。でも守備してなんぼのチームだから、来シーズンはもっと失点減らしたい。サイドの守備どうにかしたいよね。

前線の選手がカバーシャドウの習得とルールを理解してくれたお陰で、昨シーズン以上に安定感というか大崩れしなかった感じ。カバーシャドウとルールの理解ができない選手はまず試合に絡めてなかったかも。

中盤は完全に佐野海舟の活躍の場。FootballLABの奪取ポイントだと7位。出場試合的には大健闘。ちなみに奥山政幸は9位。

髙江も目立たないが守備範囲が広く、方向付けなど数字や印象に残りにくいが、貢献度は高かったと思います。

最終ラインは三鬼-高橋-深津-奥山が定番セット。SBに土居が入ることも(未だに満了は謎だが、本人が前で勝負したいということなのかな)。深津は年々進化していて化け物感。奥山は泉澤や本間至恩といったリーグ屈指のウィングに仕事をさせない守備職人ぶり。いたら何とかなる選手。

常時綺麗に4人でラインをそろえるが、カバーなどで立ち位置から飛び出す場合はボランチやSHなどのカバーが入ることも。ただ、任せるところはまかせる、行くところは行くの判断は昨年よりも向上。これは最終ラインの選手だけではなく全体的に言える事かも。

GKは福井がフルタイム出場。編成見ても誰かと競わせる気はなさそうだったし。今年は派手なセーブは少なかったが、安定感があったと思う。得意のキックがカウンターの時に活きていたし、アウェイの秋田戦あたりは福井のキックの精度ありきでカウンター仕込んでましたね。

来シーズンは今の守備のやり方が対策されると思うが、個人的にはもう少し前から行ってもいいのではと思ってる派です。最終節の新潟戦でのやり方は理想とする形だったのかなと。ハーフコートでサッカーする感じが。ショートカウンターから決定機、もしくはセットプレー獲得みたいな流れは押せ押せの雰囲気作れるし、選手にとっても休めるからさ。

でも蹴ってくるチームには使えないので、別のやり方も用意しておく必要があるよね。今年みたいに中央固めてもサイド変えられたら終わりみたいなのはやめて欲しい。

セットプレー

キッカーは右が平戸で左が海夏。セットプレーからの得点は15点で、全得点の20%超がセットプレーから。

全体的にサインプレーが多くて、種類も豊富。セットプレーコーチでも雇ったのかと思うくらい。米山コーチか津越フィジコが仕込んでるのかね。武田GKコーチかも。早く練習見に行きたい。

けどサインプレーの種類が多いがうえにミスも多くて、せっかくのチャンスを棒に振る場面もしばしば。野津田公園を中心とした町田市内がため息に包まれてた。

とりあえずみんなで来年も平戸に祈りましょう。


全体的には

来シーズンは昇格出来たら成功、できなかったら失敗ですが、今シーズンは昇格できなくても失敗にはならない。そういう意味では5位でシーズンを終えたことは悔しさも残って良かったのかなと。今シーズンは成功しすぎなくて。

ということで私の評価としては上出来ですよ。90点くらい。最後まで昇格争いした訳じゃないけど、2018年を知る選手が減ったからこそ途中で昇格が見えかかったのは良かったかなって。あとは選手層をもっと厚くして天皇杯のベスト16くらい行きたい。

でも来シーズンは本当に昇格しないとこの2年が無駄だったという評価になりかねないし、選手の大量入れ替えもあるかもしれない。だから勝負は来年。来シーズンは結果が求められるので、本当の評価は来年。

選手起用に触れると、ポポヴィッチ監督は昨シーズンから一貫して、監督の中にあるであろう基準をクリアした選手しか使わないので、昨シーズンのように頑固に同じ選手を使い続けなかったという事は、監督の要求を満たす選手がチームに増えたということでしょう。しかし、新卒組が試合に絡んでこれなかったのは残念です。まあチャンスは与えられるものではなくて掴むものなので。

オフの編成で臨むのは主力の慰留。特に海舟は何もしてなかったら今オフに契約切れてフリー移籍だし。補強は理不尽なアタッカー、現代的なSB、深津と高橋に割って入るCBかな。


そんな感じでシーズンレビューは以上です。選手別のレビューは時間があったら書きたいけど、ミクロで評価するのは恐れ多いですね。


ゼルサポの方は1年間お付き合いいただきありがとうございました。また来シーズンも意欲と時間があれば書きたいと思います。





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