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2020.11.15 FC町田ゼルビア vs 松本山雅FC

前節、ゼルビアは7試合ぶりの勝利で連敗をストップ。その一方で、今節の対戦相手の松本山雅はホームでジェフ千葉に敗れている。

松本山雅の試合を最後に見たのはアルウィンでの大宮戦。約一カ月前になるが、その時の印象は攻め手に欠け、守備も上手く噛み合っていないなという感じ。その時はまだ佐藤和弘が合流して数試合でまだまだチームにフィットしているとは言い難かった。また、その試合は大宮に前半早々にケガ人が出て後半もアクシデントで荒れた試合だったと思う。

ゼルビアはツートップに中島と平戸、CHが髙江と海舟という組み合わせ。4-4-2。一方の松本山雅は3-1-4-2。佐藤をアンカーに配置しゼルビアの守備ブロックを横に広げようかという狙いがあったか。

松本スタメン


山雅の攻守の切り替えの速さに圧倒された前半

驚かされたのが3センターの特に前と杉本の運動量とツートップの守備意識の高さ。即時奪回を狙いとしているわけではないが、縦に速い攻撃(自称)を持ち味とするゼルビアをなるべくゴールから離れた位置で止めるために、奪われたら2人で挟み込んで奪うという共通認識がなされていた。

特に前半は両チームともにロングボール主体の攻撃で、セカンドボールをどっちのチームが拾うかというところが勝敗を分けるポイントだったのだが、ツートップとIHの間にゼルビアのCHを閉じ込めて多くのセカンドボールを松本山雅が回収していた。ゼルビアのストロングポイントである佐野海舟の落下地点の予測スピードの速さを人海戦術でカバーしようという風に見えた。

またゼルビアのビルドアップの段階から海舟を消すというのを松本山雅はやってきた。サイドからの前進ができないゼルビアは、CBから中央のCHへボールを入れることがビルドアップの第一段階であるが、松本山雅はこれをさせないために、ツートップの距離感を狭くして海舟へのパスコースを遮断。ゼルビアのCBに運ぶ意識が無いから、プレスに行かなくて良かったというのもあったかもしれないが、松本山雅のツートップは海舟のマークに全振りという感じだった。

そのため、ロングボールを蹴ってもダメ、ボール保持もダメで攻撃で良さが全く出せなかった。

一方で守備の方はどうだったかというと、3バックと佐藤・杉本の3-2の陣形でビルドアップしてくる松本山雅に対して、積極的に行くのではなく、中盤の2人へのパスコースを消しているように見えた。どうやらここら辺はチームとしての判断ではなく、ピッチ内の、特に前線の選手たちでの即興的な判断だったように思える。そう思った理由は、DAZNのマイクは主に深津の声を拾っており、その深津が「前から行けよ!」的な声を後ろから発していたからである。

そして積極的に行くでもないので、左右に振られズレが生まれ、そこに通されると中央や左右などから前進。自陣に侵入されても、自由に動き回るセルジ―ニョや杉本などを試合を通して捕まえることができず、やりたい放題にスペースを使われていた。

また、松本山雅が特別意識していたと思われるのが、左WBの中美のところでアイソレーションを作ることである。マッチアップするのが酒井で、1対1に長けているわけではないので、そこで縦なり横なり突破して決定機を作ろうという算段であっただろうか。福井の連続セーブに繋がったシーンもここの1対1からである。

正直ゼルビアの守備は人任せという感じがあり、せっかく2対1の数的優位のシーンを作ってもお互いに譲り合ってボールを奪えないというシーンが多い。特にゴール前での危険なエリアで。一度剥がされたらあとは立ってボールを見ているだけというシーンが多く、特にこの試合はそれが目立った。どちらかと言えば、前半は松本山雅の圧力に屈していたし、それを跳ね返そうともがいていた選手が少なかったように映った。


偶然ではないディフレクションと塚川と奥山のミスマッチ

後半開始から10分経たずの失点。常田がたまたま上がってきて打ったシュートが深津に当たってしまうアンラッキーなシュートにも思えるだろうがそうではない。まず良かったのが、セルジ―ニョのボールをもらう場所。ゼルビアの選手たちの目線を一気に集める場所、だけど一歩、二歩ではプレッシャーをかけられない場所でボールをもらうことで、ゼルビアの選手たちの足を止めさせ、阪野がポストプレー。ここでワンタッチのパスが2本続いたことで、プレスの的を絞らせず、かつ逆Ⅴ字のパスでレーン移動。これがミソ。あとは周りの声もあって躊躇なく打った常田のシュートが良かった。それにしても常田が左利きにもかかわらず、左足の方を切りに行かなかったジョンのエラーでもある。

その後61分に松本山雅は塚川と鈴木を投入。ボールが持てる鈴木と高さのある塚川で攻撃のバリュエーションを増やして追加点を狙う。ここから松本山雅は前半と同じように左サイド中心に攻める。

中美がいなくなったので、パスの出し手として定評のある鈴木を起点に、セルジ―ニョや杉本、佐藤などでパスを繋ぎ、ゼルビアのブロックをサイドに寄せてゴール前に奥山が来るようにする。そうするとゴール前で奥山と塚川のミスマッチの出来上がり。あとはプレスのかからないスペースを使ってクロスを上げるだけ。松本山雅が上手かったのは、クロスに角度を作ったことで、積極的に飛び出してくる福井に飛び出させないようにしたことである。奥山が上手く処理したシーンもあったが、直前にステファン、ジョセフを入れて点を取りに行こうとした矢先の失点。かなりメンタル的に来るものがあったであろう失点。

その後はゼルビアが敵陣に相手を押し込む展開に。相変わらず中央は閉じられているので、ロングボールやサイドからゾーン3に入っていく。松本山雅の5-3のブロックを前になかなか崩せないゼルビア。その要因としては、裏のスペースでもらうような選手が少なく、みんな足元で受けようとするので、相手も自分たちも動きが少ない状態になり、ズレが作れないからだ。

なのでボールを持ちながらもなかなか崩せない時間が続いた。アディショナルタイムにようやく1点を返したが時すでに遅し。深津のロングボールをドリアンが競り、ステファンがキープしてその落としを岡田がダイレクトでシュート。チームとしてとったゴールという感じがして俺は結構好きなプレー。きっとステファンは空中戦ではなく、胸とか足元に入ったボールをコントロールして味方に落とすのが得意。だけどチームのゲームモデル的にロングボールの比率のほうが高いから、批判の的になってる。個人的にはドリアンとの抱き合わせで長い時間使ってみて欲しい。

岡田はダイレクトで合わせるシュートが本当に上手い。1点取れちゃえばあとは結構簡単に取れるタイプなのかもしれない。


さいごに

やっぱりチームとして何かを仕込む時間がないから、チームとしてではなく、個々人でもがいている印象。それぞれが思うことはあるけど、ピッチ内で11人を統率できる選手もいないからバラバラに動いている感じ。

ミクロ的に試合を見れば海舟のボール奪取とか見てて面白いけど、マクロ目線で見ると全然面白くない。だってもうチームがバラバラなんだもん。監督も逃げているような感じがいるし、他のチームの1年目の監督が過密日程の中、各々アップデートできているのを見ると過密日程を言い訳にすることはできないかなーと思う。もちろん開幕の時点で好みの選手が揃っていたとは言い切れないからそこは難しいけど。

でもやっぱり松本山雅との試合は特別だから勝って欲しかったのが正直なところ。あの福井のセーブとか見れば勝たせてあげたかったもん。

そんなわけで今回もこんなところで失礼します。

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