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2020.8.15 FC町田ゼルビア vs ギラヴァンツ北九州

点差は2点あったものの、そこまで悪くはなかったな、というのがこの試合を観た感想です。初めて対峙した北九州の変態配置(褒めてる)の対応に苦戦しながらも、北九州のやり方に対応し、ゼルビアのやりたいことをある程度表現出来ていたなと思いました。

それでも2失点していますし、守備の改善ともう少し早い段階から攻撃に迫力が出るとよかったなと思います。

それでは北九州のやり方とゼルビアの前後半での変化にスポットを当てて見ていきたいと思います。

スタメン

スタメン

町田
4-4-2
前節から4人変更
平均身長(GKを除く):174.9cm
北九州
4-4-2(3-1-5-1)
前節から8人変更
平均身長(GKを除く):172.9cm

北九州のやり方

北九州はJ2でも変わった方法でボール保持をするチームです。ゼルビアにとっては初めて見るやり方で、サポーターの方にとっても初めて見るものだったと思うので、少し解説できればと思います。(もちろん自分が整理したいからですが)

そもそもの前提として北九州は攻撃と守備で形を変えます。攻撃時は3-1-5-1で人によっては3-1-6と見る方もいるようです。そして守備は4-4-2です。

攻撃

攻撃の主とする形は、CHの一人(この試合だと途中出場の川上)が左HVの位置に降ります。そしてこの降りたCHの選手が攻撃の起点になります。そして両SBはとても高い位置を取るために、ゼルビアのSHを押し込み、前プレをさせないようにします。

そして最終ラインの3人と残りのCHでひし形を作ります。攻撃方向のひし形の頂点であるCHの加藤がゾーン1→ゾーン2の出口になります(時々内側に絞ったSHが出口になることも)。ここで高い位置を取ったSBにはほぼパスは入れません。自ら今後のプレーの選択肢を狭め、せっかく作った数的優位を無駄にしないためでしょうか。ゾーン1→ゾーン2では必ずペナルティエリアの幅でしかボールを動かしません。

ゾーン2では内側に絞りハーフスペースに位置取りをするSHの2人とアンカーの加藤、そして0.5列降りたFWの町野で再びひし形を形成します。ここでは数的優位を作るため、即時奪回ができるように中央に人数を集めているように思えました。そして、内側に絞ったSHの持つターンの技術と縦への推進力で一気にゾーン3へ突破しようとします。SHが突破するのが難しい場合に初めて、高い位置にいるSBを使うという選択肢が生まれます。

ひし形

ここでゼルビアのSBに2つの守備の基準点を持たせたために、北九州のSBへの対応が後手に回ります。最初からSBを見るとSHが空きます。SHを見続けるとSBや大外のスペースが空いてしまいます。そこでゼルビアはCHの選手が内側に絞ったSHをマークするようになりますが、CHが空けたスペースを0.5列降りた町野が使うという状況に。ゾーン2での対応が後手に回ったことでゼルビアは前半押し込まれたと私は思います。

基準点

そしてゾーン2→ゾーン3の出口は基本的には大外のSBになります。ゾーン3ではSBがそのまま縦を突破し、クロスを上げる or ハーフスペースに侵入したSHへパスなどバリエーションが豊富でした。

結局すべての局面で後手に回り続けた結果、前半に2失点してしまいました。特に前半最後の2失点目は余計でしたね。

守備

3-1-5-1という超攻撃的フォーメーションのため、奪われたらすぐに奪い返す、即時奪回を目的とした一種のゲーゲンプレスをしてきます。スペースと時間を与えない守備に、ゼルビアの選手はすぐにボールを奪われたり、とりあえずボールを前に蹴って前線の選手に何とかしてもらおうとしますが、北九州の選手との競り合いに敗れたり、コントロールミスなどですぐにボールを失ってしまいます。

即時奪回を狙えないときは、2トップとSHの2人で最終ラインへプレスを仕掛けるなどします。そして素早く前線にボールが渡り、盤面がひっくり返されるような状態になった時は、後ろのに残っていた4人もしくは3人が攻撃を遅らせるような対応をし、前線からの戻りを待ちます。

特に前線の選手を中心に体力の消耗が激しい、運動量の求められるサッカーをするため、北九州は割と早い時間に交代枠を使い切りました。プレスの強度を維持するための交代なので必要な交代でしょう。

北九州の基本的な仕組みというか、やり方はこんな感じです。


ゼルビアの前後半での違い

ゼルビアは前半と後半で攻め方を変えてきました。

前半の最初に3つほど決定機はありましたが、セットプレーからの流れが2つ、そして髙江がミドルを打った場面に繋がるショートカウンターは前半の狙いを表現したシーンだったように見えます。そのための前からのプレッシングであり、なるべく手数の少ない攻撃だったんだと思います。ですが、同サイドでの攻めが多く、同サイドに寄る北九州のディフェンスに潰された場面が多く効果的ではありませんでした。

また、北九州の即時奪回と前からのプレスに苦戦しながらも、ゼルビアが何とかプレスを掻い潜ると北九州は撤退守備に切り替えるため、ボールを持つ時間も何度かありました。そこでは、前節の徳島戦のレビューなどで指摘した裏抜けが4回ほどあり、そこに関しては改善が見られました。

ですが、裏抜けしていたのが安藤、土居、カイナと前節の先発メンバーでないことから、属人的なものである可能性があるため、次節以降も注視していきたいと思います。

後半に入ると、より縦に速く攻めていた印象です。前半と同様に前からプレスに行くのですが、後半はパスコースを限定しに行く意識が強くなり、ゾーン1では北九州にピッチ中央のエリアを使わせないようにしていました。

そしてゾーン2でサイドから中央に入るパスを狙い、ピッチ縦半分に寄ることでスペースを消して人数をかけてボールを奪う守備に変わっていました。イメージ的には相馬ゼルビアの守備に近いですかね。

ゾーン2でボール奪取に成功すると、北九州のボールサイドに人数をかける習性を逆手に取り、逆サイドのSHを使うシーンが何度も見られました。そのSHの選手もポジトラ時はスペースに走り込む意識が前半に比べ、強くなっていました。その結果がゼルビアの得点に表れていると思います。逆サイドにいた岡田がゴール前にいたことは偶然ではなく、チームとしての決め事であったと思いました。

今後もあのような形のカウンターが決まると得点力不足が解消できるのではないかと思います。


試合結果

町田 1-2 北九州
得点者:28' 町野修斗
    48' ディサロ 燦シルヴァーノ
    81' 岡田 優希

さいごに

試合中に何かを見つけたように状況を改善していった様子は見ていて久しぶりに楽しかったです。後半は攻めこまれるシーンも少なく、比較的ゼルビアのペースだっただけに、早い時間に得点できていれば...と考えてしまいます。パワープレーの形も見られましたし、今後が楽しみになるような試合でした。(パワープレーは無い方がいいのだが)

それにしても北九州は本当に面白いサッカーをしていますね。以下に北九州のサッカーについて詳しく解説しているサイトのリンクを張るので、興味のある方は是非。

今節もお読みいただきありがとうございました。


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