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ジャニーズのタレントへの心のケアの本質を精神科患者が考えてみた

私はジャニーズファンではない。
だから、ジャニーズの社名がどうとか、グループ解散がどうとか、そういうのは全然関係なくて、タレントとしての土台である個人が元気で幸せな状態って何かなと思って考えてみたくなった。

トラウマのある人々

トラウマのない人というのも普通にいないんだけど、ジャニーズはとりあえず性被害者の救済が大きな部分として注目される。
はっきりと深刻な症状がある場合、しっかりしたトラウマ治療のためのお金と時間をがっつり補償してあげてほしい。
そうすることで、自分を回復させることができるとともに、真に「ジャニーズ」という悪夢からの脱却ができるかも知れない。
トラウマ治療に関しては、三森みささんがすごい良い漫画を書くので期待して待ちたい。

見落としそうなのは、一見何も苦しんでいなさそうなタレントというのもすっごく大勢いるように思う。
被害の告発文をいくつか目にしたところ、明らかな被害を受けていなくたって、充分に性被害を受けていると言えるのだ。
子どもに大人の裸を見せるだけも子どもはショックを受けるもの。
明らかな加害行為があったとかなかったとかじゃなくても「噂を聞いていた」「自分がされたらどうしよう」って子どもが怯えるってだけで充分虐待環境なのだ。
その異常な世界の中でその歯車に従って生きてきたと言うことは、もう人間形成の正常な部分は歪んで一見失われたようになっている。
その状態でタレントとして活躍しているというのが、ジャニーズという世界だと言うことだ。

病の原因を孕みながら生きる

人として安全を確保できなくなったときに起る心の働きがある。
心の大事な部分を「一見失う」「凍結される」。
そうすることでうまくやり過ごす。
私も経験した「解離」というのもそんな一つ。
解離は人格が別にできる事だけを言わない。
記憶がなくなってることとか、感情が分からないとか、色々ある。
でもその「一見失った大事な部分」は決してその人の中でなくなることはない。
性被害や虐待の心的後遺症が、その場では現れず、何年も経って突然PTSDやフラッシュバックのように現れるというのは、その凍結した部分が辛かった経験を訴えるから。

安全がほしい!
この傷を抱きしめてほしい!
なんでこんな目に!?

それを一生封じ込めて、自分を騙して生涯を終える人もたくさんいる。
それがその人の人生の選択だったって人も。

今現在、何事もなかったようにタレントをしている人たちは、誰だってその時の最善を選択して生き延びてきている。
見て見ぬふりもしながら。
自分を騙しながら。

そして、症状として現れて向き合う場合も、やり過ごす場合もどちらの選択も正解だ。

病の原因に向き合う選択をしたとき

こんなことをいちいち書くのは余計なお世話かとも思うけれど、精神科患者の経験上、大きく社会の意識が変革する今、ジャニーズのタレント達の心身の変調に理解が必要な時が来るんじゃないかと思っている。

というのも、この凍結した部分が爆発するのって、辛いときじゃないことが多い。
むしろ、安心したときとか、環境が変わったときとか。
正に今、これから。
これまで我慢して歯車になってうまくやってたのに、ギアが変わると、その人それぞれが抱え込んで生きてきた部分が噴出することだってあるかも知れない。
心身の変調… 無気力… 怒り… 不毛な依存… 社会性の不安定…
本人が困ってなければ良いけれど、こういう人って、自分も他人も偽ることを教え込まれてるから、助けを求めるのも本当に難しい人って多そうな気がする。
そして口を塞ぐ人の存在もすぐにはなくならない…

この苦しみの蓋を開けたくないから、こういう風になりたくないから、変革に対する抵抗もものすごく強い(人も居る)
正に現在のジャニーズ事務所の断末魔。

できればその断末魔は個人的にやっててほしいもので、自分より弱い立場の人たちを巻き込むことはやめてもらいたいものなのだ。
つまり、個人だったら蓋を閉め続けようが、開けようが自由だけど、事務所がタレントの心の蓋を閉めてはいけない。

心のサポートをするとは…

「心身の不調が出るかも知れないんだから、できる限りそっとしておいてほしい」
これがその断末魔の言い分だけど、そもそも心身の不調が出ると言うことは、「心の底からの訴え」であって、少なくとも加害者側はそれを押さえ込むような働きかけをするものではない。
加害者側のジャニーズ事務所は「タレントがどんな心身の不調が出ても全部受け止める覚悟」が必要なのだ。

まして、責任を追及してくる社会のせいにはしてはいけないし、それがきっかけで体調崩してもそれはきっかけでしかない。
いつかはどこかで噴出したと思うのが良い。
トラウマ治療をすれば、本当の原因はタレント本人が見いだす事だ。

これまでの所属タレントが、自分らしくあれる状態を見いだせるまでサポートする姿勢を早く見てみたい。

この事はジャニーズを愛する皆さんにも知っておいてもらいたい。

社会全体は変わろうとしていて、社会全体も痛みを感じながらこの問題に向き合っている。
一緒に勇気を出して変わることで、一人でも多くのタレントが救われるんじゃないだろうか。

何か少しでも、参考になる事があれば良いな。

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