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日本のキリスト教 あんまり知られてない初歩の話(後)

「キリスト教に興味があって、教会探してるんですよね」
私にこんな事を相談してくる人にはある特徴がある。

「どういうのをお探しですか?どうせ私みたいな変わった人に内緒で聞いてくるんですから、メジャーじゃないけど安全な教団はあるかって聞きたいんでしょ?」

「正にです!」

類は友を呼ぶのか、強烈に信仰の渇望を感じる人というのは、より濃い方を求める。

リベラル派と福音派

前編で紹介した日本基督教団には日本基督教団の良さがある。日本の安全なキリスト教の倫理を守り抜いたのはこの教団の功績だ。
しかし、一方でそぎ落としたもの…
言いにくいんだけど ずばり一例を挙げれば、「創造論」だ。
つまり、この世のものは「進化」によって今に至るのではなく、世界は神が作ったと信じる信仰を切り捨てている。

日本基督教団のような「進化論」を土台とした教団はざっくり「リベラル派」と呼ばれる。
リベラル派は「神様が世界を作った」とか「イエス様が死んで3日目によみがえった」といった奇跡などを事実としては受け入れず、「物語」として継承することにしたのだ。

それに対して「創造論」を何らかの事実として信仰する宗派は「福音派(ふくいんは)」と呼ばれる。
こうした科学的ではないと感じられる事柄を信じて その信仰を継承する宗派は結構たくさん存在する。
そして、世界的にもその信仰は魂の土台として重視される部分と考えられている。
こうした伝統を重んじる「福音派」でも、カルト化しないように理性的に教会の権威を守っているのが主に「日本福音同盟」に属する教団だ。


リベラル派→進化論 
福音派→創造論


進化論と創造論論争をどう理解するか

ここからはちょっと、普通の日本人の宗教観念の凝りをほぐす話をする。

現代の日本人は教科書では徹底して「進化論」しか教えられない。
受け入れがたい話かも知れないが、そんな「進化論」も「創造論」もお互いを主張したところで何も正しくなんかない。
今現在、どっちにしたって推測の域を出ることがない 言わば一種の「ファンタジー」の話なのだ。

進化論は科学的だと信じられているが、実際の教科書の文言を見てほしい。「進化したと思われる」と、書いているはず。
科学は私たちを確かに救ったけれども、現在の分かっている科学とは、実は全てではなく、ものすごくあやふやなものだという事も知っておかなくては科学的ではない。

「進化論」も「創造論」も、どっちも対等な考え方であるという自覚が傷つけ合わないためのマナーだ。

私も最初は根強い進化論者だったので、進化論者の気持ちは非常によく分かる。
「進化論」は科学的で無神論的思考と思っている人は多いが、「進化してきた奇跡の今だからこそ大切にしたい」という思いは、非常に大切な「信仰」の形の一つなのだ。

その「進化論」に違和感を感じる人も実はたくさんいる。
「神か何者かによって、意図的に、できれば愛を持って「創造された」と信じる方が世界が明るく感じる」人もいる。
それもまた、その人の中の大切な事実であって、侵害されるととても傷つく事だ。

「進化だけでここまで人類が存在してるなんてありえないって感じるんです…」
意外とこういう思いを吐露する人は多いのだ。

それが、私たちが教えられてない信仰の世界だ。


まぁ、「創造論」のそんな重要性を訴えても、危なっかしいのには変わりない。
それは認める。
実際、「福音派」はアメリカでは政治と癒着しているやっかいな宗派ではあるし、紛争を起こしがちな「過激派」というのも往々にして聖書や経典を盲信しているあたり、宗教の扱いの難しさを考えさせられる。

福音派がより良くあるためには、自分たちが継承しているものは何なのかを実直に、古き聖典に向かって問い直し続ける姿勢がより強く求められる。
そうしながら、信仰でなければ埋められない部分と、新しくより良い人間の心の進化を受け入れる姿勢を成熟させていくのだ。

こんな感じで、よりこってりしているのが福音派だ。

福音派のグラデーションとアウトの線引き

ん~。
こってりにも色々なタイプがあるので、上記の説明はやや私の理想や好みを言っただけになるかも。

もう少し適当な話をすれば、ゴスペルを歌ってアゲアゲになれる教会はだいたい福音派だ。
他にも軽音楽の賛美歌文化も発達していて「ワーシップソング」という、歌って踊っちゃう感じのジュニアバンドがあるのもこうした福音派の特徴。
しかし、個人的には賛美だけに酔ってる人の信仰の持ち方は好きではない。
自分にとって大切な宗派だからあえて厳しく言う。
聖書をゴリゴリ読み倒す「知」に訴えかける方が私は好き。
まぁ、「福音同盟」に入っている教団なら、若い人は騒いでいても、感性と理性の両輪のバランスが良い先生や信者さんは確実に居るはずだ。

さて。
「福音同盟」に外れるのはどんな感じかというのは、ちょっと言いにくいんだけど言う。
微妙なラインの一例を挙げれば、「異言」という信仰現象を重視する 聖霊派に属する教団など。
これは福音同盟から外れたり外れなかったり。
信仰が深すぎて突然知らない外国語を話し出すという不思議現象をありがたがる教派とかだ。
その教団にとってはとても大切な部分であっても、玉石混合すぎて初心者向きではないかな…となる。
なんかその辺は、色々思う事があるのでまた書く機会を持とうと思う。

完全アウトなのは以下の感じ。
多額な献金の強要。
強引でひつこい勧誘。
自分がイエスさまだとか言う。
聖書じゃない経典を作ってる。

この辺は「異端(いたん)」と言って、キリスト教を名乗ってることそのものがダメ。

あと、お金の流れも注目してほしい。
どの宗教法人もそうだけど、キリスト教も教会運営のために信者から任意でお金を集める。
そのお金が国内で教会の運営に使われてるか、海外に流れるのか…
もちろん一部は途上国へ宣教しに行った仲間の支援として聖別する教会もある。
けど、宣教でもなく母国に流れるのもあるみたいだし、こういうあたりからも ぜひ自分の納得する教会を選んで頂きたい。

まとめ

てなわけで、若い子がゴスペルやワーシップにアゲアゲ、歳がいくと徐々に落ち着くのが福音派同盟加盟教団あるある。(ただし高齢化した教会も多し)

以上、ざっくりと日本のキリスト教会の選び方を紹介してみた。

200もある教派の中で色々なカラーのグラデーションがあるけど、なんとなくこういう事が分かってれば無知の偏見は少なくなるんじゃないかな〜。

ここまで読んでくれてありがとう~。

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