ゲームを制限すること②「これはゲームの中の話じゃん!!リアルな世界で僕はこんなことしないよ!!」
昨日のタイトルがやっぱり怖いので少し変えました。
昨日の日記はこちら(☆☆☆)
つづき。
少し経緯から話すと、息子が使っていたタブレットは半年ほど前までわたしと一緒に使っていたもの。なのでタブレット自体に年齢制限のようなものをしていなくて、アプリを落とすのも無料のものはパスワードなしでも購入できた。
昔はわたしもゲームについては色々心配していた。ゲームそのものを心配していたかんじかな。脳科学から見ても影響をあたえる、暴力的になる、親を殴る子もいるとか、イライラする子になるとか、落ち着きのない子になるとか、一方、全く影響はないという見解とか、いーろいろな話は聞く。
自分が何を信じるか、みたいになってくる。
親になってみて、ストリートファイター2とかすら嫌だなぁって思ったり(自分は散々やっていたのにね笑)、マリオがクリボー踏んだり、ドンキーコングが樽を投げてやっつけたりするのはOK、リアリティがないものならいっか、みたいな自分の中での基準があったり。
でも、どこかの時点でわたしの中に、「親が愛と平和を持って接していれば、大丈夫だろうな」っていう感覚が出てきた。実際、息子は普段はイライラしてないし(ゲームクリアできなくて悔しくてイライラしてるときはもちろんあるけど)、わたしはゲームに関してはあまり気にならなくなり、ゲームがあっても楽しいと思わずやらない子もいる、ゲームがめっちゃ好きな子もいる。それだけのことか、って思うようになって、あとはわたしが息子に対しての在り方を整えておいたら、この子はちゃんと背中を見て育ってくれる、大丈夫って信じられたので、彼が何をしようと干渉しなくなった。
でも、今回問題だったのは、さっきも書いたけど元々わたしと一緒に使っていたタブレットだったため、何にも制限がされていなかったこと。(完全にノータッチだったのは、もしすると世間からしたら信じられない親なのかも??でもわたしは、不思議と、おぉ!じゃあこれを機に気をつけよう!と落ち着いた気持ちだった。これも「経験」である。)
息子はそこまで使いこなせていないとも思っていたんだけど、いつの間にかオンラインでいろんな人とつながっていて、チームになったりしていた。そしてネットの世界をまだ知らない彼が「本名」を使っていたこと。
わたしはゲームのオンラインの世界とか知らなかったんだけど、旦那は「これはやばい… 変なヤツはいっぱいいるはずや…この子がゲームでミスとかしたらどんな暴言を吐かれるかわからない…」と不安でいっぱいになっていた。
さらに、息子がやっていたのはすごくリアリティのある血も吹き出すような人間を攻撃するやつ。オンラインでお互いを撃ち合う。殺されたら自分の持っている武器などを奪われていく映像は、わたしたちにはかなり残虐で戦争を彷彿するような映像にも感じられた。
なので、旦那は消すことに決めた。
12歳以上のゲームだった。
そしてタブレットの年齢制限を設定すると、このアプリとともに一番気に入っていたもう一つのゲームも消える。(これまた人を攻撃するやつ。こちらは絵がゲームのキャラというかんじで、リアリティはないものだった。だったら良いのかどうなのかもわからないけれど。)
息子は自分が何ヶ月も何ヶ月もかけて一生懸命積み重ねてきたもの、実績を積んでコインを集めて武器や装備もたくさんたくさんそろえてやっと強くなってきたこと、仲間ともつながれた、でもそれが大人の操作によって一瞬にして消えるということが、とても受け入れられなかった。
そらそうだ。。
悲しみも怒りもショックも残念さも、どこにぶつけていいのかわからない息子はただただ泣き、クッションに顔うずめて叫んでいた。わたしはおいでーと両手を広げ、「うんうん」とギュッと強くハグして背中をさすり続け、彼が言いたいことが声に出るまで待った。
すると、ポツリポツリを吐き出すように、
「大事なゲームなの。。。めっちゃくちゃ大事なのぉぉぉ。。」
「おねがいだから消さないで。。いやだ。。消さないで、消さないでよぉぉぉ。。。おねがい消さないでぇ。。。」
「せっかくたくさん武器あつめたのに、せっかくここまでがんばったのに、いやだよ、いやだよ、いやだよぉぉぉーーー。。。。。」
「いやだよぉ、かなしいよぉ、消すなんてつらいよぉ、なくなっちゃうのさみしいよぉぉーー、がんばったのに、いっぱいがんばったのに、、かなしい、かなしいよぉぉぉぉーーー。。。。。」
息子が一言、一言、絞り出すように嘆く度に、わたしも胸が締め付けられ、息子の心の奥にある大切なものを感じ、泣きそうになった。一言、一言、話すたびにギュッと抱きしめる力も強くなった。
わたしが返したのは、
「うんうん、大事なんだね、消して欲しくないんだね。。」
「うんうん、いっぱいがんばってたんだね、かなしいね。。」
「うんうん、そうだね、そうだね。。」
「うんうん、つらいね、たのしかったんだもんね。。」
とかだったと思う。
「12歳以上だからダメなもんはダメなんだよ」
「しょうがないじゃん、7歳なんだから」
「今までやっちゃいけないのを設定してなかったから出来てただけだよ。数ヶ月でもできてよかったじゃん」
「他にもゲームいっぱいあるじゃん」
「こんなゲームやってたら頭おかしなるで」
そういうことは言わなかった。
彼のショックっぷりを見ると今回は思い浮かびもしなかったんだけど、昔のわたしなら言っていたかもしれない。(これを言うことに良い悪いはなくてね)
息子の嘆きっぷりを見て、ずっと黙っている旦那はどう言うかなって待った。
「やっぱりごめんね。。このゲームは消そう。お父さん心配。。最初から設定しなかったお父さんが悪かった… ごめんね… 」
表情や声を聞いて、旦那も相当ショックを受けているな…と伝わってきたので、旦那の意見を尊重することと、きっとすぐには消えない息子の傷をずっと受け止め続けることを心に決めた。
息子はそのあともしばらく波のように何度も嘆き、だんだん落ち着いてきて、泣き止んだ。少し様子を見つつ、あんまり急ぎたくないけど、少し伝えようかなって思ってわたしもやっと口を開く。
「お父さんとお母さんは心配なんだ。こういうゲームしているとね、リンの頭は覚えちゃうんだ。だからお母さんたちこわいんだよ。」
「これはゲームの中の話じゃん!!リアルな世界でリンはこんなことしないよ!!」
「うん、そうだ、そうだよね。リンはしないよね。お母さんもそう思う。お母さんもそう思うよ。お母さんもリンのこと信じてるよ。」
信頼されていないって思っているのかな。。
ハグハグハグ。。。
とにかく息子はたくさん傷ついている。自分が積み重ねてきたことが大人の力で一瞬にして無くなってしまうこと、12歳まであと5年間も待たなきゃいけないこと、ゲームの中の話なのに… 楽しくやっていただけなのに… 現実の世界で自分がそんなことするわけないのに…
遊び
楽しみ
信じてもらうこと
仲間
つながり
自由
自主性
選択
自己表現
彼の泣き叫ぶ言葉の奥にはそんな大切にしていること(ニーズ)がわたしには聴こえてきた。これらが満たされていないから、激怒し、イライラし、ショックで、悲しくて、傷ついて、パニックなり、絶望感を抱く…
これは今この時間だけで癒えるものじゃない、これからしばらく思い出す度に彼は泣くだろう。もしかしたら、一生心に残る悲しい思い出になるかもしれない。嘆き切り、わたしができる限り癒せるなら、何度でも何度でも寄り添うおう、そう思った。
そのあと、しっかり一旦出し切って心にスペースができたからなのか、泣き止んだ息子からは突然リクエストが出てきた。
「ずっとやってみたかったゲームをダウンロードしてくれるなら、消してもいいよ。。」
と。
彼なりに何か心を満たすものを探そうとしている。
別のゲームによって、
「遊び」「楽しみ」
のニーズは満たされるかもしれない。
でも、
「仲間」「つながり」
のニーズは満たされないかもしれない。
どうしようか悩んだけど、それを受けることにした。
その別のゲームをすることで、「もうこれダウンロードしたんやからキッパリ忘れーや!」という取引ではない。ただ、彼の一部のニーズが満たされるなら、傷ついている心を癒す可能性がふわっと広がるかもしれない。
寝る前に息子はまた泣き始めた。
「消えたゲームのこと考えるとまた泣けてきちゃう。。。剣とかたくさんあんなにも集めたのに。。。がんばってやっと強くなったのに。。。あと5年もできないなんて、365×5なんて計算できない。。長すぎるぅぅぅぅ。。うわーーーーーん。。。」
と。。。そらそうだよね。。。
大切なものを失った… 寝つきのいい彼が相当なショックを受けていて、不安定でなかなか眠れない。
「うんうん、かなしかったね。。がんばってたんだもんね。。」と寝るまで背中をさすり、「お母さんそうしてて。お母さんがそうしてくれてると眠れそうな気がする」と言い、「うん、いいよー、寝るまでこうしとくから、安心してね。」と30分くらいして寝た。
リビングに戻ると、ズゥゥゥーン…となっている旦那。
「あのゲーム今日6時間もやっててん。。俺はな、ゲームを何時間もやるのは別に気にならへんねん。好きなことは飽きるまでやり切ればいい。でもやっぱりあのゲームはあかんと思った。だから消そうと思ったんやけど、みゆきはそれでいい?」
「もちろん。あれでよかったと思うよ。でも心が痛かったね。。ありがとう。」
「消すのはほんまに心が痛かったよ… でもあのゲームにリンを晒していたと思うと辛い。。ちゃんと見てあげてなくてごめんね…とも思うし。。みゆきもフォローありがとう。」
旦那もたくさん傷ついている…
息子の安全
守ること
安心
大事にすること
配慮
サポート
というニーズが聴こえてきた。
(あ、お父さんとお母さんはリンが大事なんだ、守りたいんだってことも息子に伝えておきたかったな。息子にフォーカスしていたので、旦那のニーズをあのときに深く考えられてなかった。また機会をみて伝えよう。)
別のゲームをすることを受け入れようってなったのは、息子のニーズが一部満たされるだけじゃなくて、旦那の「安心」「息子の安全」「守ること」などのニーズも満たされると思ったから。
交換条件とか、妥協とかではなく、できるだけお互いの大切にしているニーズを満たすことを考えていきたい。そして満たされないことだってある。そのときは、満たされないことを共に嘆き、受け止め合っていきたい。
わたしの満たされたニーズ。
ケアする
共感
理解する
貢献
調和
お互いが満たされること
さて、翌日の今日。
息子は、昨日の話をすることもなく、泣くこともなかった。
昨日で受け止めてもらえた実感があるのかな?
でもまだわからない。
また、思い出して悲しくなったときは「I’m here for you. わたしはあなたのためにここにいるよ」という気持ちで、また受け止めようと思う。しばらくは様子を見てみよう。
今日は長文長文。4500文字近くになっちゃった。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
では、カリフォルニアは寝ます。
おやすみなさい。
また明日。
循環が循環を生むのがすきです。サポートしたいただいた循環を、文字で循環していきます♡