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至極どうでもいいが。4

随分前のある日、職場のA先輩とB先輩と飲みに行った。

A先輩には付き合いたての彼氏がいる。

「彼氏の家に行きたいって言ったら犬がいるから駄目って言われたんだよね」

私は焼鳥に食らいつきながらふうん、オンナじゃんと思いながらも黙っていた。

A先輩のキャラからして彼氏んちの犬はゆるふわかな、とも思った。

B先輩が…いぬ。いぬねぇ。といった。

「そうなの〜。犬ってヤキモチ焼くんでしょ〜?だからかなぁ。」

とA先輩は自分を納得させようとしていたようだった。

「林檎ちゃん、こーゆー時はなんていうの?」

B先輩からパスがでた。

私は食らいついていた二本目の串を皿においてこういった。

「え〜!ワンちゃん飼ってるのぉ?私ワンちゃん好きなんだぁ〜。あいたいな〜」

これ!これよ!と自分が言ったわけでもないのにドヤ顔でB先輩は私を指差した。

B先輩から出たパスだ。多少脚色がエグいがやむなし。

私は食べかけの焼鳥に食らいつく。

「スキがない自分だけじゃなくてこういう自分も出さなきゃ!」

キンキンに冷えたビールは美味い。

「えーそんなことできないよ!ていうか、みんなそんなことしてるの?」

多かれ少なかれ女子はやってる、とB先輩はいった。

そりゃ間違いない。

女は女優。みな板の上で死ぬ。

そんなぶりっこできないよ、ぶりっこじゃないのよ、こんなのは!A先輩とB先輩はごちゃごちゃ話をしている。

焼鳥盛り合わせは皿ごと私の前にやってきた。あざす。

ぴんぽーん。すんませんビールおかわり〜。

数ヶ月後、ぶりっこかどうかはさておき犬が見たいの一言も言えなかった先輩は、数年ぶりの彼氏だったはずだがあっけなくリリースされていた。

彼氏なんだから犬見たいくらい言って部屋の中見て女の影があるかどうか確認するくらいしてもいいのに。

至極どうでもいいが。

まあ、至極どうでもいいけどA先輩もB先輩元気かなくらいはちゃんと思ってる、一応。


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