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振り返ってはいけない!

「マトリックス・レザレクションズ」をようやく見に行くことができた。

マトリックス・レザレクションズの中に、前から記事にしたかったポイントがあったので、そこをりんご探偵🍎なりにお伝えしようと思う。

ストーリーはシリーズ4作目なので、わからない方はググって頂きたい。

りんご探偵🍎が注目したポイントはお題のとおり振り返ってはいけない!だ。これは結構重要な戒めだと思っている。

鍵となるシーンはネオとトリニティが再会したカフェにて、
ネオがトリニティに、仮想現実から現実に戻ろうといざなうシーンだ。
しかしこのマトリックス・レザレクションズの中で、トリニティはティファニーと言う名前になっており、二人の息子がいる幸せな家庭を持つ奥さまなのだ。
最近顔見知りになったイケメンが急に「一緒に現実に帰ろう」と言ってきても、ふらりと着いていく訳にはいかないだろう。
夕飯の支度が…とか来週の保護者会が…など夢の中の人生の諸事が気になる。いや、それ以前に「この人頭大丈夫か?」と思うのが普通だ。

トリニティが戸惑っていると、更に追い打ちをかけるように、今回の映画での旦那さんと息子たちがカフェに迎えに来て帰ろうと言う。

これはホントに巧妙だ。ここで恐らく多くの人は再び夢の中に引きずり込まれて行く。
そこを目掛けてエゴは切り込んで来る。その人が一番後ろ髪引かれるやり口で。

実はこの最後の砦、エゴの断末魔の叫びを私達に注意喚起する映画は意外とたくさんある。

憶えているだろうか?映画「鬼滅の刃 無限列車編」で炭治郎が夢から何度も何度も出ようとしていた時の事を……

最後に炭治郎が、とてもとても可愛がっていた幼い弟達が「お兄ちゃん行かないで!」って雪の中走って追いかけて泣きながらすがってきたのを。
雪の中転んで「お兄ちゃん置いて行かないで」って泣きながら叫んでいる。

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でも、ここで振り返ったらまた夢の中に引きずり込まれる。
後ろ髪をこれでもかと引っ張られる。
こんな可愛い弟に置いていかないでなんて言われたら……
炭治郎は本当に一度も振り返らなかった。
心優しい炭治郎がどれだけ振り向きたくて、それをどれだけの力を振り絞って制御したかがスクリーンから伝わってきて、圧倒されたのを覚えている。
たしか炭治郎も号泣しながら振り切って走って行ったはず。

この胆力がないと最後のエゴとの決戦を見破る事はできない。

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ジブリ映画の「千と千尋の神隠し」でもラストシーンで千尋が元の世界に戻る時の事を覚えているだろうか?

千尋とハクが別れる時にハクが言う
「千尋はもと来た道をたどればいいんだ。でも、決して振り向いちゃいけないよ。トンネルを出るまではね」

その後に、もう一度念押ししている
「振り向いちゃいけないよ」って。
映画のラストシーンで2回も念押しするキーワードに意味がないはずがない。


旧約聖書の創世記のお話でも、ロトの一家が大災厄から逃げ出す際に、神から後ろを振り向いてはいけないといわれていたのに、ロトの妻が振り返ってしまい、塩の柱になってしまったという話がある。

どの話も同じ事を示唆していると私は思っている。

逃げに逃げてあと一歩で夢の外へ出られると言う時に、エゴは全身全霊の力で阻止してくる。あなたが一番手放したくないものを餌にして……

これはみなさんの頭の片隅に入れておいて頂きたい。いつの日か役に立つ時が来るかもしれないので。

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そして流石はトリニティ。一度は家族と共に帰ろうとする。
しかしドアを出ようとする瞬間に「これを夢で見た」と思い出し虚偽を見抜いたのだ。
なんと数秒前まで仲良しだった旦那にキックをお見舞いすると言う凄さ。
あの状況でよくぞ見破ったものだと、もう映画館でりんご探偵🍎スタンディングオベーション👏(は、してませんが)

普通なら「仮想現実から出るだと? なんとなくわかるけど、自分のこの薄い感覚を信じていいのか?」と迷うはず。
あのままドアを出ていったら幸せな家族の夢に引きずり込まれていた事だろう。
マトリックス流に言えば青い薬を飲んだという事。

しかし、彼女は家族と帰ろうとした瞬間にまさしく踵を返した。
目の前の現実を妄信的に信じるのではなく微かに聞こえる魂の声に従ったのだ。

私自身、トリニティのように一発でかっこよく幻想を見破るなんて出来なかった。
何度もエゴの策略にはまり、振り返り振り返りまた振り返り、気がつけば、また夢の中の繰り返しだった。
だから振り向かずに突き進める賢者を何よりもカッコイイと思う。

この戦いには何かが必要と思わないで欲しい。
頭がいいとか、理論をよく理解しているとか、人柄だって関係ない、今までの生き様だって関係ない、霊的な力があるとか関係ない。
この世の全ては関係ない。
ただ、仮想現実を虚偽と見抜ければいいだけだ。

むしろ、この世の何かに特別感を持っているなら、それがあなたへの最後の挑戦状だ。
「なにがあっても、この子の命だけは救ってください」と思っていたら、あなたはその子を使った策略で後ろ髪を引かれるだろう。

最後はすべての物事が同価値になる。
総理大臣もホームレスも自分の子も隣の家の子も金塊もトイレットペーパーの芯も全部同価値だ。
どれ一つも特別感が無い時、あなたを夢の世界に引き留める後ろ髪はなくなる。エゴもお手上げだ。

そうはいっても、イエスや仏陀くらいにならないと、つるっぱげにはなれないだろう。
だからこそ、後ろ髪が残っている私達に振り返るなよ!と映画を通して注意喚起してくれているのだ。

そうやって映画を見るのはたまらなく楽しい。

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