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「寝た子を起こすな」は妄想


おはようございます、林田です。

さて、今日は、「寝た子を起こすなは、妄想ですよ」というテーマでお話をさせていただこうかなと思います。

今回は
障害者の性について、少しお話をしようかなと思います。


性教育を始めたきっかけ


実は僕が、26歳の頃(入社して3年目)、入所利用者の方向けに性教育をしたことがあったんです。

時を遡ること、大学生の頃。
若い頃から障害者の性について興味があって、文献読んだり、卒論も書いたりしていて、障害のある方たちの性の問題について触れることもありました。

入社以降も、利用者同士の男女の関わり方や自慰行為であるかといろんな問題や課題を感じてきていたため、入社2年くらい経って、人間性教育研究協議会というところに所属をしました。

ここでは、色んな性教育の勉強をしたり、セミナーにも参加してきました。そんななか、あるセミナーの分科会へ参加していたときに、障害のある方の当事者(カップルかご夫婦)さんが登壇されて、ご自身の性にまつわることもたくさんお話をされてたんです。

会の終盤、彼らからの質問があり、「フロアの中に施設で働いている職員さんいらっしゃいませんか?」と言われて、なんと手を挙げたのが僕だけ。

何を言われるんだろうなと思っていたら、「あんたのところでは性教育してるんか」と聞かれたんです。 「いや、してません」って答えたら、「なんでしてないの?皆んな知りたがっとるって」とビシッと言われて、これがもう、自分の中で刺さっていまい、「やっぱりしなくちゃいけないかな」ということで、重い腰を上げたのが、施設の方で性教育をしたきっかけになります。


どうやって性教育を施設で行ったのか

そんなこんなで、26歳の頃、入所者の方々に対して性教育をしたんですが、いきなり始めようといっても、利用者の方も耳馴染みがないうえ、他の職員または管理職たちも、抵抗感が出てきます。


となれば、新たな切り口が必要になります。
僕が考えた切り口は、『みんなで暮らしていくための人との関わり方(心とからだの学習会)』でした。

ここでは、自分の身体のことや、対人マナー、社会のルールなどを、ひとつずつレクチャーしていきました。


加えてプログラムを進めていくなかで、参考にしていたのが、「社会生活力プログラム」です。社会生活力プログラムとは、高次脳機能障害の方や軽度の知的障害の方に対するリハビリテーションプログラムで、様々な単元があります。

例えば、余暇、時間管理、外出などなど色々ある中で、きちんとここには、子育て、結婚といった単元もあるんです。

そして、このプログラムを進めていく中での大切なフェーズがあって、それは学習→体験→そ振り返りです。

性教育も同じように、インプットしたものを、体験として昇華させて、行動した結果を一緒に振り返りをするといったこういった流れで進めました。


長くなるので、取り組んだ内容は割愛しますが、障害者の性や性教育を前に進めていくなかで、僕のなかで大事にしていることがあります。


性教育をする上で大切なこと

一つは自己決定が前提であること。する、しない。これを選択肢として整えた上で、それを支援すること。これがまず大事なのかなと思います。


二つ目は、人間関係のなかで、性被害や性加害を生まないことです。障害のある方同士や利用者さんとスタッフもそう。正しい知識や相談できる体制作り、支援の仕組み、教育の進め方など、ここが大事になってくるのかなと思っています。


三つ目は、自分のセクシャリティと向き合っていくことです。ここはすごく大事だなと考えていて、障害のある当事者だけでなく、支援者も自分の性の価値観が支援のなかで、とてつもなく影響するんです。

実際、巷でよく言われる「寝たこを起こすな」という考え方はすごく筋が違っていて、妄想的な部分にあるのかなというのが、僕の感想です。

現場で性教育をしてきたリアルな所でいうと、「当事者の方は寝ていない。知りたがっている現実」があるんです。そこを蔑ろにして、見てみぬふり、知らぬふりをする支援は、選択肢としてあってはいけないのかなと思っています。

といったわけで、今回は「寝た子を起こすなは、妄想である」というテーマでお話をさせていただきました。


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