フリースタイルバトルと言語化

HIPHOP、最近はあまり聞かなくなったと思っていたが、よく振り返ると楽曲を聞く頻度は減ったもののフリースタイルバトルは今でもそれなりに視聴していることに気づいた。

今日も仕事とプライベートの用事が終わった後にフリースタイルバトルを聞いていた。バトルはやはりいい。気持ちよくなれる。

今日見ていたバトルであるラッパーが「HIPHOPはお前ら一人一人のためにある」と言っていたのだけど、確かに俺も助けられているところがある気がする。

「この生きるのが容易でない世界で、自分という存在を表現し続けてやる」といったことを、うすうすと、しかし改めて、最近考えているように思う。これはレベルミュージック（反抗の音楽）であるHIPHOPの影響を受けているのかもしれない。

相当単純で浅い話だが、フリースタイルバトルを聞いていると自分が強くなったように感じる節がある。忌憚なく、直球で考えを相手に伝えるラッパーの姿を見ていると、「そう、俺もこうありたいんだ」と思える。

強い言葉を使って人を制圧したいとか、そういう話ではなく、（もちろんそれがよくないケースもあるのは前提として、）自分の思うことを遠慮せず他者に伝える自分でありたいという思いを持っているということだ。

好きなラッパーのタイプは2つある。
まずは単純にノれるリズムでラップをする人。

俺はバトルの現場に行ったことのない素人だけれど、心がモヤついている時でも、Youtubeで、ビート（バトルのBGM）に気持ちよく乗っかっているラップを首を振りながら聞いていると、かなり気分が良くなる。

もう1つが自分の思いを正確に言葉にしようとする人。観客へのパフォーマンスの程度を下げ、ただ思いを精緻に言語化することに意識を向けようとしているラッパーの言葉が好きだ。"自分の思いをなるべく正確に言葉にする善さ"というものがあると俺は思う。

自分が思っていないことを言ってしまった後に他者からその辺りの言葉を拾われると、さらに思っていないことを続ける必要が出てくる。それは嫌なことだ。そしてシンプルに俺の場合は、本当は思っていないことを表現すると不思議と気持ち悪さを感じてしまうことが多い。

これはフリースタイルバトルでなく楽曲の話だが、「リアリティじゃなくリアルがHIPHOP」と歌ったラッパーがいる。俺はこの歌詞が好きだ。意地汚さ、徳の低さ、あるいは純粋な利他心、そういった自分にとって都合の悪いものから自分にはないと思っていたものまで、心の中全てをなるべくそのままに認識することは大事なことだと思う。

またこの歌詞は「他者に対して自分が思っていることを全くそのまま伝えるのがよい」という話ではなく、「自分に嘘をつくな」という話だと解釈している。今、自分は本当はどうしたいのかに注意を向け、率直な言葉で会話をしたいならそのように、相手が傷つかないよう配慮をしたいならそのように、都度"自分の本当"になるべく注意を向けて生きる。それがリアルなのではないかと思う。

少し話は逸れたが、正確な認識をすることそれ自体が心を少し楽にさせるなど、考えや思いを正確に言語化することの良さは他にもある。だから俺は言語化をすることに慎重であろうとするし、似たスタンス（と勝手に思っている）のラッパーが吐く言葉にシンパシーを感じる。

まあ、フリースタイルバトルはいいぞ、ということで。この辺で終わっておきます。以下おすすめのバトルと俺が好きなラッパーの楽曲です。よければどうぞ。

ノれる系

言葉選びがいい系

好きなラッパーの一番聞いてる曲