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「ぼくが授乳を代わろうか?」の言葉で気づいたわたしの固定概念

2021年9月に、第2子の女の子を出産しました。

赤ちゃんへの授乳の状況

赤ちゃんが食べ物を口にするのは生後5か月以降。それまでは母乳やミルクで栄養を取ります。また、授乳の内容によって

完全に母乳だけで育てる=完母
完全にミルクだけ=完ミ
母乳とミルク両方=混合

の3勢力(?)があり、それぞれ略語まであるんです。出産するまで全く知りませんでした…!

わたしの場合、出産時に想定外の出来事があって貧血がひどかったこともあり、赤ちゃんへの授乳は母乳+ミルクの混合のスタイルを取っています。(余談ですが、母乳は血液から作られてるらしいです。 あんなに赤い液体が、身体の中でうまいこと変換されて白い液体になるなんて…人体ってすごい…!)

赤ちゃんは胃の容量が小さいので、数時間置きに「お腹すいた!」と泣きます。そのたびに授乳する親。出産後の授乳記録を見返していたら、1日で最高12回授乳してた日がありました!2時間に1回授乳してる計算ですね。

母乳はムリでも、粉ミルクをつくって与えることは父親にもできます。うちでは、わたしが長女の相手で手が離せない時に次女がお腹を空いて泣いていたら旦那さんがミルクを作って飲ませるなど、夫婦2人協力しあって育児をしています。

産まれたばかりの次女はだいたい2~3時間置きに「お腹が空いた!」「オムツが濡れた!」など、泣いて意思表示をしてくれますが、彼女はまだ、この世に昼と夜があることを知りません。

夜、泣いて起きる赤ちゃんの泣き声で平日仕事のある旦那さんと保育園のある長女を起こさないように、長女の寝かしつけ担当=父 次女のお世話担当=母 で役割分担をしていたので、夜の授乳はわたしが対応していました。

「この状態を会社に例えたら、こどもの命を止めずに育てることを事業にしている社員数2名の会社で、勤務時間は24時間365日…実在の会社ならブラックすぎて訴えられてるわ!」

赤ちゃんの生活リズムに合わせて2~3時間と細切れな時間の睡眠を取りながら毎日を過ごす中、あまりにも眠いけど眠ってなんかいられない時はそんな妄想をしながらやり過ごしていました。

慢性的な眠気に貧血。出産してから2か月間、ゆっくり身体を休める暇がなかったので、正直、身体はいつもだるくて…。でも、「母乳をあげることは母親しかできないから、授乳が伴う次女のお世話は母親である自分がやること」と、この考えに何の疑いもありませんでした。

突然の、思いがけない提案

そんなある日。旦那さんがこう言ってきました。

明日休みだし、夜中の次女のお世話、今日は僕がやろうか。長女の寝かしつけして、そのまま朝まで寝ちゃいなよ

その言葉を聞いて、最初に湧き出た感情は「この人、いったい何を言っているんだ…?母乳が出ない父親が、夜間のお世話をするだと…?」といというもの。

長女を寝かしつけてからそのまま朝まで寝ると、約8時間。その間、授乳のタイミングは3回くらいあります。3回とも全部粉ミルクで対応した場合、どうなるだろう。何か悪いことが起こるかな……?

母乳じゃなくても子どもが元気に育つのは、混合で育った長女で実証済です。しいて言えば、一晩母乳をあげないから胸が張るくらい?まあでも、一晩授乳しなかったくらいでさすがに乳腺炎にはならないだろうな。次の日に入念にケアすれば大丈夫か。

お願いした場合のデメリットを高速で頭の中で思いめぐらせて、「大丈夫だろう」という結論が自分の中で出ました。そうなれば、断る理由はありません。

……えっ、いいの!?ありがとう!ぜひお願い!!

こうして、その夜、次女のお世話を旦那さんにお願いしたのです。

我慢しないでお願いした結果

次女が生まれてからというもの、長女と一緒に過ごす時間が減っていたことも、自分の体調以外に気になっていたことでした。なので、その日はふたりでひとつのお布団に入って、いつもは1冊のところその日は特別に絵本を3冊も読むなど、子どもとのイチャイチャタイムを過ごしてから就寝。

電気を消して暗くなった瞬間に寝落ちして、気づいたら一瞬で朝までワープしていたかのよう。目覚めは最高で、頭がスッキリ冴えわたっています。不思議と朝日がいつもよりまぶしく感じました。

その日は土曜日だったので早く起きる必要はなかったのですが、朝まで一度も起きずに寝れた嬉しさのあまりか早めに目が覚めるわたし。まるで遠足前の小学生みたい。

二度寝も考えたけれど、ベッドで隣を見ると長女もまだ寝ているし、せっかくひとり時間ができたのでキッチンに行ってコーヒーを入れ、ゆっくり味わいながら飲みます。ちゃんと、出来たてで温かいうちに飲めるコーヒー。なんて幸せな時間なんでしょう…!コーヒーの湯気越しに見える窓の外には、晴れ渡る空。

しばらくしてから「おはよう」という声。旦那さんが次女を抱っこしてリビングに入ってきました。「夜、何回くらい起きた?」「3回かな。そのうち1回はミルクを半分しか飲まなかったけど、元気そうだよ。」

次女の顔を覗き込むと、いつもと変わった様子なく眠っています。次女からするとお腹が空いた時にミルクを与えてくれて、オムツが汚れたら替えてくれたら対応してくれる大人が父親か母親かなんて大した問題じゃないみたいですね。

「どう?ぐっすり眠れた?」と旦那さんが聞いてきたので
「おかげさまで!ぐっすり寝れて、朝もスッキリ起きれたよ。」と言いながら、スマートウォッチで計測した睡眠の質を見せます。

前日は睡眠の質が97番目/100人中だったのが、夜のお世話を代わってもらったら17番目/100人中に劇的UP!!

昨晩とその前の晩で比べると、一晩途中で起きることなく朝まで寝てたほうが圧倒的に睡眠の質が高いスコアが出ていました。

「よかったね!次の日に仕事と車の運転がない日はいつでも代わるよ。」

正直なところ、自分が対応しなくても問題がないことにちょっとしたさみしさがありました…。でも、それよりも「誰かに代わってもらう」という選択肢があること。代わってくれる存在が近くにいることの嬉しさと安心感の大きさと言ったら!

「ありがとう!!」と笑顔で旦那さんに返事し、さらに

「じゃあ、お言葉に甘えて、来週の金曜日もお願いできる?」と、ずうずうしくも早速、次回のお願いをしました。

どう思っていたのか聞いてみた

それからというもの、週に1~2回、夜の赤ちゃんのお世話を旦那さんにお願いするのが習慣になりました。ある時、旦那さんと話をする機会があったので、ずっと疑問に思ってたことを聞いてみたんです。

「世の中には、”子どもの世話は母親の役割”とばかりに育児に関わらない男性もいる中で、どうして今回「次女の夜のお世話を代わろうか」って言ってくれたの?

すると、旦那さんからこんな回答が返ってきた。

「うーん・・・想像力かな?」

「想像力?」

「うん。子どもと関わってると、反応があって楽しいじゃん。で、関わりを増やすと「こういう時、ここで苦労するな」とか「これってこんなに大変なんだ」とか、今まで見えなかったことが見えてくる。

そうるすと、たとえ自分がそのものを体験してなくても「あれがこのくらい大変だったから、この人はきっとこんな大変な思いをしてるんじゃないか」とか想像できるようになって、その積み重ねがあったからかなあ。

寝てる途中で起こされる毎日が2か月も続いてたらしんどいじゃん。どんなに子どもが可愛いくても、それとこれとは別だよね。

僕は母乳はあげられないけど、ミルクならあげられるしね。言ってみた。…ってかっこいいこと言ったけど、まだまだ想像力が及んでないこともあるだろうから、その時は我慢せずに言ってね。」

・・・

選択肢はひとつじゃない

これを読んでくれているみなさんの中にも「子育ては母親がメインでやるもの」という想いを無意識に持ってる方がいるかもしれません。

「父親と比べて、母親の育児ボリュームが多いのは当然」「自分がやるのが当たり前」…男性・女性、どちらの立場でも。

かくいうわたしがまさにそうで、子育て…特に授乳に関して「これは母親であるわたしがやるもの」という固定概念を持っていたんです。さらに怖いことに、当の本人はその固定概念を持っていることに気づいてなかったんですね。

だから、毎日の細切れの睡眠に眠くて仕方がなくても「自分が対応する」以外の選択肢なんて考えたことすらなく、気合いと根性で乗り切ろうとしてました。

でも実は、選択肢って「母親がやる」の一択じゃなかったんです。

つらいことをつらいと言ってもいい。
体調不良のときは休んだっていい。
誰かを頼ってもいい。

我慢してる自分はとてもがんばってる。だから、たまには違う選択肢を選んで自分をいたわってあげましょう。そして、逆に他の選択肢が見えずにずっと我慢してる人が身近にいたら、違う選択肢を見せれる人になりたい。

今回の体験から、強くそう感じました。


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