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スペイン9 ガウディ・ワールドー芸術は繋がっている

旅にまつわる音楽を聞きながら、記事をお楽しみ下さい♪

バルセロナといえば?


スペイン・バルセロナと言えば、サッカーチームしか思いつかない?!

もう2つ、忘れてはならないものがある。カタルーニャ地方が生んだ建築家のガウディと、テノール歌手のホセ・カレーラス。この2人と関わることも、バルセロナで楽しみにしていた事だった。

「ごめん、Rina。ホセ・カレーラスのコンサート調べたんだけど、彼はこの時期、バルセロナにいなかったよ。その分ガウディ建築は、全制覇しようね!」
ウィーンでのドイツ語学研修で、兄のような存在だったバルセロナ人・カルロは、私がバルセロナで見たいものが全て見れるようなツアーを企画してくれていた。

ガウディ建築ツアーの始まり


ガウディ建築の始まりは、カサ・ミラから。
ガウディの独自性の強い椅子や家具を見ては、どの椅子に座るか、どういうポーズが似合うかなど話し合い、まるでスペイン人になったかのような気分だった。
屋上は坂も多く曲がりくねった迷路のようで、私達はそこで飛び回り、まるで子供のように遊んだ。
ガウディの魔法だろうか。

「なんか私達、あそこで走り回ってる子供と変わらないね!」
「無邪気なのって、人生で大事だよ!リナ・コラーダ、今日は思いっきり子供になっちゃおう!」
(私の新たなニックネームになった、「リナ・コラーダ」→詳細:スペイン7「長い夜」)

ランブラス通りでのサプライズ

グラシア通りではモダニズム建築を感じ、少し実年齢に戻ったが、サン・ジュゼップ市場、ダウンタウンで買い物をしたり、カタルーニャ地方で走り回ったりしていると、またもや愉快な気分が全身を駆け巡る。

ランブラス通りは、バルセロナのメイン通りとして世界的にも有名な通りだが、実際に歩くと、どんどん陽気で開放的になって行った。
「Rina、どの大道芸人のショーが見たい?」
「うーん、この銅像かな」
カルロが早速コインを入れると、銅像が奇妙な動きをして、大笑いをしてしまった。

地域によって変身する、パエリア


「助けて……!身体がよじれそう!」
「笑いすぎて、お腹すいて来たよね!僕の好きなパエリア店、絶対Rinaも気にいると思うよ!」
スペイン名物「パエリア」だが、地方によって入っている具が違うので、その地方地方のパエリアを楽しめるのも、スペイングルメの魅力だろう。

コロンブスの塔を通り、バルセロネータ通りで食べた、カルロお勧めのタパスとシーフードパエリアは絶品で、私は、身長が185cmほどあるカルロよりたくさん食べてしまった。
「やっぱり語学研修の時と同じで、Rinaはよく食べるね!」
「あはは、どんどん太っちゃいそう。そろそろ自重しなきゃね」
「ダメだよ、バルセロナは始まったばかり!ますます、君の胃を大喜びさせよう!」

バルセロナを代表する、グエル公園

その後、ガウディ建築の中でも特に有名な、グエル公園に立ち寄った。
「入場料はいいよ。この公園も、プレゼント!」
カルロからプレゼントしてもらったグエル公園は、「ヘンデルとグレーテル」に出て来そうなお菓子の家から始まった。
通り抜けると、大きな階段と何かが見えて来た。

「Rinaが嫌いって言ってたものに、迎えられるよ」
「トカゲの入り口」とは、確かに奇妙だと思っていたが、グエル公園のトカゲは実際のトカゲと違い、可愛かった。
「グエル公園のトカゲは、意外にカワイイね」
「第一関門クリア!」

市場で聴こえて来た音色

階段を上がり切ると、とても音響のいい空間にギターがよく響いている。
「ここは、市場って言われてるんだ」
「市場?どっちかって言うと、コンサートホールみたいじゃない?」
「確かに、今はね!あの人みたいに色んなミュージシャンが来て、ここで演奏してるよ」
ポタポタと水が落ちて来る時のような神聖な音色を、そのギターは奏でている。
こんな潤いを帯びたギターは、今まで聴いたことがなかった。
しかもメロディーに耳を澄ましていると、それはバッハの曲のようだった。

ピアノやオルガンで弾いたり聞いたりするバッハは、大体は重苦しいと思ってしまうことが多かった。
でも、グエル公園にてバッハをギターで演奏されると、同じバッハが、ここまで楽園の清々しい音楽に変身するとは。
私は、バッハの新しい一面に魅了された。

「おーいっ!聞いてる?」
「……えっ?」
「ここから見える、メダイオンの話!あの人のギター、そんなに上手なの?」
「うん。あんなバッハ、聴いたことない!」
「バッハ?という事は、あのギター、クラシックのギターなんだね!」

人生も観光名所も、全て楽しむ

カルロはこの公園を自分の庭のように知り尽くしているようで、洗濯女の回廊にもたどり着いた。
「何、このセクシーポーズ!スペインの人は、洗濯をしている時もセクシーなの?」
「スペイン人は、なんでも面白がるからね。ほら、同じポーズで撮影しようよ」

このカルロやマドリードのハビをはじめ、スペイン人は人生を楽しむ達人が多い。
頂上や階段の1つ1つも、カルロと歩くと色々な物語になっていった。

巨匠ガウディ×巨匠バッハ

歩き疲れた後は、1つ1つ形が違う波形のベンチに腰かけて、この日歩いて来た道、そしてこれから観光する場所をカルロに教えてもらう。
爽やかで個性的な景色は、どこまでも私をワクワクさせてくれる。
有名な波形のベンチでは、またもやギターが流れていた。

「ガウディのおかげで、私、2つのものが好きになれた気がする」
「えっ、何?」
「ギターとバッハ」
「へえ!ギターはなんか分かるけど、バッハ?」
「うん、さっきの入口の市場で流れてたギターのバッハ、今まで聴いた中でもベストなバッハだったと思う!巨匠と巨匠の競演ってこんな風に起こるんだね!」
「そうら、ガウディは僕らの町、バルセロナが生んだ巨匠だからね!ドイツの巨匠バッハと相性がいいのは意外だけど。僕もバッハ、聞いてみよっかな」
「いいね!じゃあカルロDJ、今度はバッハのギターBGM、よろしくお願いします!」
「すごい難題!でもDJカルロは、絶対探し出しますよ!」


スペインのガウディに夢中になっていた矢先、バッハとギターにも魅了される。
芸術は全て繋がっているんだと、このバルセロナは私に教えてくれた。

バッハの練習に疲れた人は、別の楽器でバッハを

コンクールや受験で、平均律クラヴィーア曲集を練習「しないといけない」。
目標のために、取り組むことが義務となってから、いつの間にか嫌いになっていた、「音楽の父」バッハ。
でも、このバルセロナでギタリストが奏でるバッハと出会い、ギターでのバッハの曲がとても好きになった。
プレリュード、フーガとアレグロ BWV998を聴くと、いつも心が落ち着き、そして、あのガウディのグエル公園が思い出される。

自分の楽器でのバッハの練習に行き詰まっている人には、別の楽器、特にギターで奏でられるバッハも聴かれることを、個人的にお勧めしたい。

#スペイン #ガウディ #バルセロナ #バッハ

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