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【詩】6月なんて

突き抜ける青い空なんて望んでいない。
高い位置から見下すように照らしつける太陽の顔なんて見たくない。
分厚い雲に阻まれていて欲しいと思う反面、安定した気圧を望む。
毎朝脳に不具合を感じつつ目を覚まして、痛む頭と付き合わなきゃいけないこの季節を恨む。
6月なんて大嫌い。

鮮やかな色が無い空なんてつまらない。
それに抗うように空へと顔を向ける色とりどりの傘が眩しい。
湿度が肌にまとわりつく感覚。想定していない汗に焦る。
イヤホンから伝わる木琴の音。変拍子に女性の声が重なり合う。
6月なんて大嫌い。

空から落ちる雨粒。透けて見とれる思惑。
月が見えずようやく乱獲された夜の当落線上で踊り眠り漏れる慟哭。
ほのかに香る徒花。地面を埋め尽くす花傘。
びしょ濡れのあなたは様々な視線を交わさないよう塞ぎ座り揺れる両肩。

突き抜ける青い空なんて望んでいない。
高い位置から見下すように照らしつける太陽の顔なんて見たくない。
分厚い雲に阻まれていて欲しいと思う反面、安定した気圧を望む。
毎朝脳に不具合を感じつつ目を覚まして、痛む頭と付き合わなきゃいけないこの季節を恨む。
6月なんて大嫌い。





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