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月。大きなまんまるの月。 私を導く、紅く、明るく輝く月。少しでも近づきたくて、私は丘を歩…
何にも無い日を何も無く過ごす。それは難しい。 まず何かが起きる。それは事件とかではなくて…
このまま歩いていけば、また彼女に会える。そう思いながら私は丘を登る。周りに外灯なんて気…
四月になった最初の満月の日に、私は彼女に会うことができた。 またしても真夜中に道を歩…
誰も居ない場所。ここには何一つない。大きな建物があって、その中で一人。たった一人という…
求めていないのに西日が強くて、それは強制的に一日が終わることを示していて、そのことを認…
触れる指先、灯る紅。揺れる髪先、叶う夢。 森のざわめきが衣擦れの音を隠す。風が止んでしまわないように、姿を瞳に映させないように。 真っ白な肌を月が照らす。浮かび上がるその白は、触れれば通り抜けてしまうほど朧げで、それでいて目を刺す。そのような白を持ちながら、彼女の髪は黒く輝く。 現実味の無い彼女を目の前にして、私は頬が紅く灯るのを感じている。 「怖い…?」 彼女の目尻が下がる。優しく微笑む彼女の目元に釘付けになる。そして手が伸びてくる。右手が私の左頬に触れる。幻では