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生徒が教科書をすらすら読めるようになるための指導ポイント3つ

 学年の途中から指導を引き継いだことがあるのですが、前任の方は授業であまり音読をさせない進め方でした。私は教科書の本文をすらすらと読めるようになることが、言語を学ぶ上でとても大切だと考えているので、授業は音読が中心です。また、娘が小学校に上がり、教科書の音読を毎日宿題として出されているのを見て、母語でも、音と文字を一致させ、意味を考えながら読むことで学びが進んでいくのだなと感じています。私が引き継いだことで教え方が変わったので、生徒の反応が気になるところでしたが、苦手意識のある子もパートナーと一緒に取り組み、授業に参加してくれたことが印象的でした。その流れを紹介したいと思います。

①単語一つ一つの発音を丁寧に教える

②音と文字を一致させる、という意識を教える

③ペア活動という強制力をうまく使う

※課題と思うところ

①単語一つ一つの発音を丁寧に教える

 学年ではunitごとに新出単語をリスト化したプリントを使っていました。ですので、新しいunitに入った時は必ず、その単語を正しく発音できるよう意識させました。まずは正しい発音をゆっくり一度ずつリピートさせます。この時、今まで習った単語との関連(これは前習った〇〇の名詞の形だよ、とか)や反対の意味の言葉を話したりしながら、興味を持たせます。2回目はテンポ良く、高速でリピートさせます。2回目はゆっくりだと飽きられます。終わったらすぐに、ペアで発音させます。リストには単語に番号が振ってあるので、ジャンケンをさせ、勝ったら奇数、負けたら偶数の単語を読ませます。60個で90秒など、時間制限を設け、少しゲーム感覚にすると緊張感があります。一回目が終わったら、必ず「読めなかった単語を教えてー?」といいます。そうすると、〇番!と出るので、シラブルで切って丁寧に教えてあげます。これは意外と反応が良く、生徒とコミュニケーションがとれていい時間になります。大人しいクラスだと、〇組さんでは〇番が出たよ!と紹介しながらつまずきやすい発音を教えてあげると良いでしょう。ここでしっかりやっておくことで、本文の音読でつまずいたとき、単語のところで出てたよねーとリマインドしてあげることができます。

②音と文字を一致させる、という意識を教える

新しい本文に入る時は必ず、ナチュラルスピードの音声を流しながら、指やシャープペンで文字を追いながら聴く、ということをさせます(ポインティング)。これをすることで、この英語はこんなふうに発音されているのだ、ということを意識させることができます。ただrepeat after me で音読させると、生徒の中には何も考えずにボーッとしながらただ繰り返してしまう子もいるからです。同じことをするにも、少しでも効果的なやり方を考えてあげたいものです。生徒にも必ず、どんなふうに発音されているか、よく聴いてねと声をかけるようにしています。

③ペア活動という強制力をうまく使う

音読を何度か練習した後は、必ずペアでの音読を入れています。ジャンケンをして役割を分けたり、説明文の時にはピリオドごとに交代させながらやります。①の時と同じように、必ず時間制限をかけて緊張感を持たせます。②の活動をする前にも、この後ペアでやるから、心配な人は確認しながら聴いてね、と声をかけてあげます。クラスの雰囲気にもよりますが、全員が自然にペア活動ができるのは望ましいと思います。ペアが休みでいないなどの時は、3人組でやらせたり、教師がペアになったりします。うまくコミュニケーションがとれないペアのところには、一緒に入ってあげて、手助けをすることで、「やらなくてもいい」という状態は作らない方がいいと思います。苦手な子も「え〜!」と言いながらも、昔習った単語は案外読めたりします。そう言う時は、すごい!とか、当たり!とか、褒めてあげるとやる気につながります。ペアがあるから嫌いやでも参加してくれるという生徒もいます。ペアの強制力をうまく使い、続ければだんだんすらすらと読めるようになる、という自信をつけてあげるとよいと思います。

※課題と思うところ

 やはり、単語よりも短いと一つ一つの音素を、もっと中1できれば小学生の段階で教えてあげるべきだと感じます。何となく、で読んでいるものを全て細かく教えることは時間がかかります。ですが、本文が長くなればなるほど、なんとなく英語っぽいんだけど、はっきりしない音で発音されると、果たしてそれは社会に出て一発で通じるのだろうか、と思うことがあります。

 中学生は発音を指導すると萎縮してしまうのではないかという話も聞くのですが、あまりそのようには感じません。むしろ英語らしい発音を面白がり、英語が苦手だと思っていた子が実は美しい発音するという場面に出会うと、教師も周りの子も「おーっ!」と嬉しくなります。小学校の先生の努力のおかげで、近年の中学生は本当に英語の音に慣れています。それを、もっと磨いて、自信をもって教科書を音読できるようにするために、音に関する指導をもっと確立していきたいと考えています。

①単語一つ一つの発音を丁寧に教える

②音と文字を一致させる、という意識を教える

③ペア活動という強制力をうまく使う

※課題と思うところ

以上、生徒が教科書をすらすらと読めるになるための指導のポイントについて書いてきました。英語の学習において音読が重要な理由については、

安河内哲也先生
『大学入試 英語長文ハイパートレーニング』
桐原書店

のなかでも、詳しく紹介されています。こちらのCD音声は、ナチュラルスピードとスラッシュごとにポーズがあるものと2種類収録されており、音読練習がしやすいよう工夫されています。超基礎編は、英語が得意な中学生にすすめてもよい内容かと思います。ロングセラーだと思いますが、ぜひこの音読についての解説ページも読んでいただくと思います。

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