【part15】ドワーフってそれ、悪口だよね。
自慢じゃないけど、私は短足寸胴だ。
私の母も父も、そのまた母も父も、代々短足寸胴だ。
そんな私を見てツレが森逸崎家に付けたあだ名が「ドワーフ族」。
うるせえ黙れこの野郎、と思いながら事実何の反論もできないほど、私の家族はみんな短足寸胴だ。
先日は先日で、「似てる」というメッセージとともにこの画像がLINEで送られてきた。
ツレは最近ドラクエウォークにハマっていて、そこに出てくるキャラらしい。まあ短足寸胴ばっかりはどうしようもないし、受け入れてもらうしかないんだけど。
でもたまにツレはこの残酷な事実を、まざまざと私に突きつけてくることがある。
この間、朝まだ私が寝ていたときに、いきなりツレが私の両足首を持って思いっきり上に引っ張り上げた。
「何!? いだだだだだ痛ぇって、痛ぇってば」
あられもない姿になった私は必死で反抗するのだけど、ちっともやめてくれる気配がない。むしろもっと上へ上へと引っ張り上げていく。ほぼ逆さまになった頃、ツレと目が合った。
「何なの」
「いや、足を、伸ばしてあげようと思って。」
何言ってんだこの男。
「無駄って思わないのかい?君は」
「いや、毎日少しでもやってたら、伸びるんじゃないかなって思って。」
そんなまっすぐな目で見るんじゃないよ。というかさっさと離しなさいよ。
別の日に、ソファに並んでテレビを観ていたら、「人志松本の酒のツマミになる話」に観月ありさが出ていた。
その観月ありさが、あの長い手足を思いっきり使って「シェー」をしていた。さながら鞭のようなしなり具合。顔も小さいから尚更手足が長く見える。
ツレが私を見てポツリと言った。
「…同じ人間とは思えないな」
おい。聞こえてんぞ。
ミックスナッツを頬張りながら私は言う。
「まあ諦めてよね。どうあがいても、これ以上もう伸びないんだから」
もし仮に私がダイエットに成功して、ナイスバディを手に入れたとしても、短足だけはどうしようもない。
「いや、日々の努力は裏切らないんだよ。今日も足伸ばしてあげるから」
この人、イジってしかいないよね人の短足寸胴を。
将来ツレがハゲ散らかしたとき、育毛剤をこれでもかってほど買ってきて並べてやる、と誓った今日このごろ。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?