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4曲目:モーツァルト「交響曲第25番ト短調」

モーツァルト:交響曲第25番ト短調 K.183
Symphony No. 25 in G minor, K.183


1773年に作曲されたモーツァルト(1756~1791)の短調の交響曲である。41番まである彼の交響曲のうち、短調で書かれているのは、本作品と第40番ト短調の2曲しかない。本作品は、第40番よりも小規模であるため「小ト短調」と呼ばれている。

18世紀における交響曲は、祝典性や壮大さの表現と、聴き手である王侯貴族の好みのため、明るく安定した長調で作曲されるのが一般的であった。しかし、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』に代表されるドイツの文学界を中心としたロマン主義の精神運動「疾風怒濤(Sturm und Drang)」の影響を受けた音楽家たちは、親しみやすさよりも心に訴えかけるような強烈な表現を求め、1770年頃から短調や対位法、シンコペーションを多用するようになった。またそれ以前の時代における短調の音楽は、キリスト教的な苦難の表現であることが多かったが、この頃から作曲家の個人的な苦悩の体験が表出した音楽も現れた。諸説あるが、モーツァルトは自身の苦悩や諦めをト短調で表現することが多く、流麗でありながらシリアスさを持つこの作品の奥には、彼なりの内に秘めた悩みがあったのかもしれない。

第1楽章は規模の大きなソナタ形式で、第一主題は弦楽器のユニゾンによる不安げなシンコペーションのリズムで始まる。減七の音程を含む下行の音型と、急速に上昇する旋律からは焦燥感が感じられる。続く第二主題では対照的におどけたような軽いリズムが現れ、終結部は第一主題と同じリズムで締めくくられる。
第2楽章は弱音器を付けたヴァイオリンとファゴットの対話に始まり、哀愁をまといながら優雅に進む。
第3楽章のメヌエットは明確な強弱の対比と音色の変化の下に整然と進行する。明るく柔らかな中間部Trioは、管楽器のみのウィーンらしい室内楽の雰囲気で演奏される。
第4楽章は第3楽章と似た旋律で始まるが、所々にシンコペーションのリズムが見られ、第1楽章に由来する鋭さで統一されている。


【ひとりごと】

なんか最初の段落が上手じゃない、、まあいいか、、

なんとなく、きっちりした曲にはきっちりした解説を書きたいと思って書いたらこうなったんですが、いつも同じような構成で面白くないなと思っています。

トップの画像をなぜ写経にしたかというと、整然とした感じがこの曲っぽいかなと思ったのと、ちょうどこの文章を書いていた時期に夜な夜なやっていたからです。墨を磨るところから。心が乱れていたんですね〜。
しばらくやってないけど、集中できると本当に無になれる瞬間があるから楽しい。


【参考演奏動画】


【参考文献】
・海老沢敏ほか(1990),モーツァルト全集第1巻,小学館
・音楽之友社編(1991),モーツァルト大全集 1交響曲,ポリドール

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