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やさしい吸血鬼の作り方

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主人公の少年カヅキはある夜吸血鬼の男を拾ってしまった。凶悪なご面相に屈強な体躯。けれど彼はどうやら自らが吸血鬼であることに戸惑っているようで……。 「家族を吸血鬼に殺された」とい…
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2024年1月の記事一覧

[小説]やさしい吸血鬼の作り方 12

「ねぇ、見てあれ……、本当に大丈夫なの?」 「お隣のサイナさんちの弟さんが殺されたんでし…

陸路りん
6か月前

[小説]やさしい吸血鬼の作り方1

 曇りのない新雪の上に、真新しい血が花のように散った。  それが自身の口から吐かれたもの…

陸路りん
6か月前

やさしい吸血鬼の作り方11

「吸血鬼を出せ」  彼は固い声で、そう言った。 「な、何言って……」 「わかっているんだ…

陸路りん
6か月前
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[小説]やさしい吸血鬼の作り方10

「カヅキ先生の吸血鬼講座ぁー!」  いえーいとカヅキは拳を突き上げた。ギャラリーはノリの…

陸路りん
6か月前

[小説]やさしい吸血鬼の作り方9

――深夜2時、カヅキは月明かりの元、自身の胸元から取り出したものを見ていた。  それは月を…

陸路りん
6か月前

[小説]やさしい吸血鬼の作り方8

 細長い獣道をララはこつこつと靴音を立てながら歩いていた。  バッグの中の蜂蜜が重い。け…

陸路りん
6か月前
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[小説]やさしい吸血鬼の作り方7

 そこに立っているのは一見すると痩せ細った全裸の男性だった。  しかしその表情は険しく皺が寄り、黒い瞳はぎょろりと威嚇に瞬いた。鋭い爪は人間の物より遥かに長く、野生を思わせる。  手と足の大きさがアンバランスなのはそれが彼らの武器だからだ。  人間とは違い、彼らは道具を使わない。人間に非常に類似した姿をしながら、彼らは確かに獣だった。  ウサギの肉をその口がほおばる。ごりごりという耳障りな硬質なものを噛み砕く音が響いて、彼はそれをゆっくりと飲み下した。  その黒い瞳が、こちら

やさしい吸血鬼の作り方6

 はっきり油断していた、と断言しよう。  まずカヅキは慌てて何を思ったのか真っ先にカーテ…

陸路りん
6か月前
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やさしい吸血鬼の作り方5

「ミヤマさーん、無理しなくていーですよ-」 「いや、これは何事も挑戦だから」  彼はそう…

陸路りん
6か月前

やさしい吸血鬼の作り方4

「里を襲われたんだ」と彼は言った。 「あそこに見える雪山があるだろう。あそこの中腹にある…

陸路りん
6か月前

やさしい吸血鬼の作り方3

 甘ったるい蜂蜜とミルクの香りが部屋に満ちる。マグカップから立つ湯気を見つめながら、カヅ…

陸路りん
6か月前

[小説]やさしい吸血鬼の作り方2

「吸血鬼、ですか?」 「そうそう、最近この辺りで出てるらしくてねぇ、カヅキくんも気をつけ…

陸路りん
6か月前
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