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5/11の日記

正午過ぎ、メンバーとのオンラインミーティングが終わった。

毎日パソコン越しに会ってはいるけれど、やはり同じ空間の中で、滝のように流れる汗と共に歌い踊ることのできる日々が待ち遠しい。


今日は会議後、本屋に行くと決めていた。近所の本屋。近所と言っても、徒歩30分。

マスクをつけて、外に出ようとすると、

「途中で諦めて帰ってきたりする?」というよくわからない質問を母に投げかけられた。はじめてのおつかいじゃあるまいし。

「大丈夫だよ、いってきます。」と返し、玄関のドアを開ける。


外の空気は湿っぽく、生温い風が私を包む。5月はこんなに暑かったっけ、と思うと同時に、あぁ、半袖でよかった、と思う。

夏のプレイリストの曲をシャッフルで流すと、1曲目で「サマージャム’95」が流れてきた。

そう来るともう完全に心は夏で、そそのかされちまった。


まだ5月なのに夏を感じながら歩く事30分、ようやく本屋に着いた。

ドアを開けると汗ばんだTシャツの中に冷房の風がスーッと流れ込む。あぁ、これぞ夏だ。丁寧でいて、清潔さを感じる本の匂いに包まれながら買うと決めていた雑誌を早々に手に取り、小説コーナーに向かう。

小説コーナーに行くと、江國香織さんの「ちょうちんそで」という本が目に止まった。背表紙に書いてあるあらすじを読む。

「いい匂い。あの街の夕方の匂いーーー。」

あ、これだ。あらすじの最初の一行だけで、即決。私はいつも、そんな風に小説を選ぶ。


料理本コーナーに向かい、いろいろ物色しては、悩み、欲しいものは見つからず。結局雑誌2冊と、小説1冊を購入して、本屋を出た。


また生温い風が私を包む。はじめのうちは夏だ夏だと浮かれていたけれど、歩くのに30度はやはり暑い。

帰りは違う道から帰ろうと決めていた。ケーキ屋さんと、お花屋さんの通る道から帰ろうと。なんてったって、今日は母の日。

しかし、帰り道はなんだか遠く感じて、くじけそうになった。(そんな自分の状況がはじめてのおつかいっぽいと思ってしまった)

が、くじけずに歩く18歳。

ケーキ屋さんで母の好きそうなケーキを選んだ。お花屋さんでカーネーションを一輪買った。

花束にしてもいいのだが、母はサボテンまで枯らしてしまうほどに植物を育てるのが不得意なのだ。(どうやら水をあげすぎてしまうらしい)

だから、毎年一輪の真っ赤なカーネーション。ドライフラワーは上手に作れるのになぁ。


やはり今日のお花屋さんは大盛況。

自転車で頑張って来たのが伝わる小学生の兄妹、仲の良さそうな高校生カップル、優しそうな若いお父さんと3歳くらいの息子、頑固そうな口調の50代くらいの男性、白髪のおじいさん。

母、妻を想い花を選ぶ姿は、全員見知らぬ人なのにも関わらずとても愛おしく感じた。


家に帰って、ケーキとカーネーションを渡したら、心から嬉しそうに笑ってくれた母。

何があっても、全力で立ち向かってくれる強い母が、大好き。いつもありがとう。


2020.5.11の日記。


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