【住宅ローン】ペアローンのこと
最近定期的にXで炎上しがちなペアローンの話を書いてみようと思う。
文才無さすぎて初っ端から長文過ぎる。。。
前提
ローンの種類
そもそも住宅ローンの借り方にはいくつか種類がある。
私も自分がそういう状況になるまで正直全然知らなかった。
一人で借りる
二人で借りる
ペア
収入合算
リレー
種類があるということは需要があるということで、人によってどういう借り方が良いかは異なるというのはまず理解が必要。
また、種類があるということは完璧な解は存在しないということでもあるので、良い話だけしている人(不動産屋@偏見)や、悪い話だけしてる人(ネット上の人@偏見)を、そのまま鵜呑みにするのは危険だということも是非気を付けたいところ。
自分の状況
つい最近、郊外ではあるけどそれなりに栄えている駅近の新築マンションの契約をしたところで、もうすぐ住宅ローンの本審査という状況。
近年の不動産価格上昇はかなりえげつないことになっていて、しかも駅近マンションともなると一馬力では手も足も出ず、8000万くらいを半々でペアローンで組む予定です。
夫婦お互いそれなりの会社でそれなりの勤続年数ということもあり、世帯収入は1500万を超えているくらい。いわゆるパワーカップル。
お互いこれといった趣味もなく、車もなく、借金もなく(奨学金を全額繰上返済済)、毎年400~600万くらい貯蓄が増えていく様な収支。
子どもは一人(幼児)いて、国には申し訳ないですが今後増える予定はなく、この先の人生でどのくらいお金がかかりそうか割とハッキリ定まってきたところで、家を買うなら今、という感じでした。
自分で言うのもなんですがそれなりに恵まれた状況である気はしているので、そういう前提の人が独断と偏見で書いてるというのを踏まえて読んでもらえれば幸いです。
説明
ペアローンとは
ざっくり言うと「単独ローンをそれぞれ組んで」「お互いが連帯保証人になる」形態のこと。あくまでそれぞれが自分の責任でお金を借りてお金を返すというのが大前提。
それぞれの身の丈にあった額をそれぞれが借り一生懸命働いて自分で返すということが必要になるんだけど、それを理解していない人が多い印象。
たとえば「収入は大きく下がるけど別の仕事をしたい or 辞める」「返済は配偶者が肩代わりしてくれる」みたいなことが基本的には許されない。
許されないと言っても警察や配偶者が許してくれないというわけではなく、税務署が許してくれない。つまり相続とみなされて相続税がかかってしまう場合がある。
そういう素性から、男は仕事・女は家庭といった古いの考え方の人であったり、職場や周囲の理解が得られにくい環境の人には、あまり向いていない形態かなと個人的には思います。
メリット
一人で借りる場合に対して、二人で借りる場合の他の方法に対して、で視点の違いはあるけど、メリットは色々考えられる(私見)。
いっぱい借りられる
住宅ローン減税をより活用できる
借り方(金利や年数や団信など)をそれぞれ好きなように出来る
当たり前のところはわざわざ言うまでもないので、減税に着目してみる。
自分が入居となる令和7年の制度では、ZEHの場合だと上限3500万に対して0.7%の減税を13年間受けられることになっていて、総額318.5万(3500万x0.007x13)。
住宅ローン減税は医療費/保険料控除の様な「収入を低く見せる減税」と違い「支払う税金から直接差っ引く減税」なので非常に強力。
もちろんそれ以上に税金を払っていなければ差っ引く先が無いことにはなるけど、このくらいのローンを組む人であれば余裕で払ってる額なので、そっくりそのまま300万がもらえると思って基本的には差し支えないはず。
そして、例えば8000万の家を買うとした時、一人で借りた場合に減税されるのは総額318.5万だけど、ペアローン(や収入合算の連帯債務型)で4000万ずつ借りるとそれぞれに減税が適用されるため総額600万とか返ってくることになる。
単純に倍にならないのは数年経つと借入残金が3500万を割って減税効果が落ちるため。つまり借入の額・年数・利率などによって効果の大小が違うのでその点は注意。
そもそも二馬力じゃないと買えないから仕方ないというのもあるけど、個人的にはペアローンの一番のメリットはこの減税効果だと思ってる。
ただしこの制度は年々改悪されていて、たとえば今年の令和6年入居であれば上限4500万、減税総額409.5万だったので、100万近く改悪されることになる。(令和7年がこれで決まりなのかはよくわかってないけど)
この先どうなるのかよくわからないのが難点だし、それこそペアローンの最大の魅力が無くなっちゃう可能性もあるんじゃないかとは思う。
ちなみによく聞く「逆ザヤ」はこの減税効果と利子の関係のこと。
上記の通り8000万ペアで半々して借りると600万とか減税されるのに、近年の超低金利で利率0.3%の35年ローンだと利子総額は428万なので、借金してるはずなのに170万も儲かっちゃうという錬金術みたいな状況。
諸経費考慮すれば足は出るし、そんな超低金利がいつまでも続くわけないので実際に儲かるってことはないだろうけど、非直感的でおかしいよねというのがよく出る話。
デメリット
もちろんデメリットも色々考えられる(私見)。
破綻リスクが単純に倍
ライフスタイルの変化に対して柔軟性が低い
ただでさえもめる離婚時に更にもめる
人間どんなに気を使って生きていても何が起きるかわからないので、突然怪我や病気になってしまう可能性はゼロではない。
単独ローンの場合、借金してない方が怪我や病気になってしまっても返済がいきなり破綻する可能性は低い。
一方でペアローンの場合、夫婦どちらであっても何かそういうトラブルがあった途端に破綻してしまう可能性が高い。
怪我や病気はサイコロ振って決まるものではないけども、単純に考えればリスクは倍と言わざるを得ない。
また、前述の通り「自分で借りたものは自分で頑張って返す」ことが大前提なので、どんな理由があろうと収入が減る選択がとりにくい。
子どもの面倒を見なきゃならないとか、親を介護しなきゃならないとか、仕事をセーブしたり変えたり場合によっては辞める選択が必要になることは誰にでもあり得ると思うけど、ローン返済出来なくなってしまう。
かといって配偶者が肩代わりすると相続税がかかるし、本人の住宅ローン減税効果も減ってしまうので、かなり大きな損失になる。
単独ローンであれば借金してない方が柔軟に対応できる可能性が高いわけなので、大きなデメリットだと思う。
あとはよくある話として離婚するときに単独ローンに比べてもめることが多いみたいだけど、正直よく知らない。
ペアローンを完済して一本化しなきゃならないとか、手元にそんなまとまった資金あるわけないから家を売るとか、高く売れずにローンが返しきれなくてどうするのかとか、、、
昨今の離婚率からして決して軽視出来る話ではないことは確か。
メリット?デメリット?どっち?
捉えようによってはどちらにも感じられるものもある。
それぞれ団信に入れる
団信にも色々あるけど、超ざっくり言うと「万が一のことがあったらチャラ」になる保険のことで、ペアローンの場合それぞれ適用される。
同じく二人で借りる収入合算の場合だと、主契約じゃない人の収入もアテにしてるのにも関わらず団信は主契約の人にしか適用されないので、主契約じゃない人に万が一のことがあると破綻する可能性がある。
そう考えるとメリットとして捉えられると思う。
一方で、単独ローンの場合は契約者に万が一のことがあるとローン全額チャラになるけど、ペアローンの場合はどちらか一方に万が一のことがあっても元気な人の方のローンは相変わらず残る。
それぞれが個別に借金してるんだから当たり前だし、返済能力はあるんだからすぐ破綻するわけではないだろうけど、気持ち的に「半分残るのは損だよね」とデメリットとして捉える人がいるのも事実。
最近では、収入合算だけど主契約じゃない人に万が一のことがあっても発動する団信とか、ペアローンだけど相手に万が一のことがあっても自分のローンに発動する団信なんかも出てきてはいるので、デメリット感を打ち消す手段がないことはない。
ただそういったものは一部の銀行にしかないとか結構な金利上乗せが必要とかでまた別のデメリットが産まれるので、トレードオフな印象。
本題
大事なこと
長大な前フリをしたけど、大事なのはこの2つ。
メリットだけ見て決めたり、デメリットだけ見てやめたりしないこと
選択した場合はリスク管理をすること
ネットで見た悪い話ばかり信じて損するのは勿体ないし、耳障りの良い話ばかり信じて後で痛い目見るのもよくない。
普段100円お得な玉子があったら買うのに、100万円単位で得or損な話を「よくわからないからなんとなく」で決めてしまうのはおかしいので、しっかり考えるべき。
そして、ペアローンに限らず何を選択してもリスクというのはつきものなので、何がリスクなのか把握して、問題が起きた時にどう対応すれば良いか準備しておくことが最も重要。
リスク管理
何をリスクと捉えるかは人にも状況にもより、解はないと思うので、自分がローンを検討する際に大きく3つ考えたのを紹介してみる。
ローン完済までの収支バランス
怪我や病気による失業や収入低下
想定外のことが起きてどうしようもなくなった時
1つ目に、ローン返済することになった場合どのくらい厳しいのか・余裕があるのか、収支を把握していないことが最大のリスクだと考えて、ここを明確化することにした。具体的にはFPに相談してライフプランを作成してもらった。
冒頭でも書いた通り、安定した仕事にもついているし、子どもの数も決まっているし、十数年に渡って正確に家計簿をつけていたのもあって、かなり確度の高いライフプランを作成し実現性や余裕度の確認が出来たと思う。
まだまだ若くて検討材料が少ない・家族構成が決まってない人の場合はどうしても確度が低いものになってしまうので、その分しっかり余裕をとって作成して欲しいし、やはり専門家に見てもらうことをお勧めする。
2つ目に、収入が無くなる・減る系のリスクとして怪我や病気など想定可能な部分。もちろん日々の生活を気を付けるみたいな精神論も大事だけど、やはりこれは保険に頼るしかないと判断。
悪い言い方をすると「死なない程度の病気・怪我」が一番厄介なことになるため、就労不能(収入保障)保険の種類と額を見直し。併せて、三大疾病の様な「しばし仕事休む」ことへの備えや、継続的にお金がかかる抗がん剤治療への備えなども、一通り見直した。
もともと大手一社で総合的な保険に入ってたけど、これを機にそれぞれに強みを持つ保険会社を使い分けたりなんかもした。細かい話はまた別の投稿に書こうかなと思ってる。
3つ目に、離婚や子どもの病気の様な上記準備ではどうしようもないことが起きるリスク。こうなるともはや対策としては最終手段「売る」しかないと考え、少しでも資産価値のある物件を選んだ。
駅遠とか栄えてない駅の物件に比べたら高額ではあったけど、少なくとも周辺中古物件のリセールバリューだったり希少性だったりは、かなり自信を持てるものにしたつもり。
もちろんろくに売れないことを前提に、そもそものローン額を抑えてそういうリスクが起きても一馬力や貯金等でなんとか出来る物件にする、という選択もありとは思う。ただ、家を売る場面って別にトラブルがあった時だけではないので、そういうことを考えたら、手が届くなら資産価値が高い物件の方が後々お得になる可能性が高いんじゃないか、というのが自分の考え。
さいごに
私は銀行の人でも不動産の人でもFPでもないので、ペアローンを勧めているわけではないし、そもそもそんなモチベもないですが、変に誤解してる人がいたら嫌だなと思い書いてみました。
自分がペアローンを組もうとしていることからくる無意識の自己保身もあるかもしれないので、話半分に、参考程度と思ってもらえれば幸いです。
おまけ
主にXで見かけた気になるコメントに個人的な感想を述べてみる。
【ペアローン組ませる甲斐性の無い男なんて、、、】
要するに働きたくないんだと思うけど、それ自体は別に良いと思う。
でもそれなら、無いものねだっても仕方ないので、駅遠や中古の安い物件にするか、高収入な人を捕まえるかしかないでしょう。ただ近年の不動産価格の上がりっぷりを見ると、新築駅近物件を単独ローンで組める人がどんどん減ってるのは理解しておいた方が良さそう。
また、単独で組めたとしても減税のためにペアを選択することもある。甲斐性なんかあっても1円にもならないので、減税で得出来ることを知らないのは勿体ない。
【ペアローンでタワマンを無理して買って、、、】
別にペアだろうと単独だろうと、タワマンだろうと中古や一軒家だろうと、収入に対して無理のあるローンを組むことがダメ、というのがまず第一。
そしてその "無理" のラインは人によって違うし、ペアの場合リスクが高いわけだから更にラインが厳しくなるのは事実なので、信頼できるFPとライフプランを立てて決めるべき。
ただ、同じ無理して買うにしても、駅遠注文住宅とタワマンなら、タワマンの方がマシだとは思う。売れる確率と、リセール価格の高さ的に。
【男女平等なんだからペアローンを、、、】
ご飯奢って財布が寂しくなる程度で済む様な話ではなく、人生がかかっていることなので、そういう精神論で決めるべきではない。
働き続ける元気と気概のある人だけがローンを組むべきで、懸念があるならそれが男性だろうと女性だろうとローンを組むのをやめるか少額にした方が良いと思う。
【ペアローン組んだけど育休産休で収入が減って、、、】
怪我や病気は保険で備えられるし、離婚は自助努力で頑張れって話だけど、これは本当に避けようがない。
なのでローンを組む時点で "収入が減る数年間が来るかもしれない" ことを折り込んでライフプラン立てて、それでも無理のないローンを組まなければならない。
想定外(多胎児や障がい児など)のことが起きてそのライフプランすら崩れちゃった場合はある意味仕方がないけど、そういうことを折り込まずにローン借りて「破綻しちゃった」と言っているのは、ちゃんと考えてないからでしょ?と思う。
とはいえあれもこれも懸念してたら若いうちに何も決められないって話にもなっちゃうので、どこかで思い切りは必要なのかもしれない。
【二人とも働いてるけどペアローンはせず単独ローンで、、、】
単独ローンで買えるのであれば&リスク回避を考えて、そういう選択をとるのは全然ありだと思う。
ペアに比べて減税効果は落ちるかもしれないけど、リスクとリターンを考慮して各々が決めればよいだけで、どっちが正解とかではない。
【片方が病気で働けなくなったら、、、】
団信が効かない程度の病気だと当然破綻するから、そういう場合のために保険に入っておく必要がある。いくら補償しなければならないか、そのために保険料はいくらになるか、その保険料を払っても収支バランスが崩れないか、ライフプランをしっかり立てることが大事。
ただそれってペアローンに限った話ではなくて、単独ローンの契約者だって同じ。ペアローンの場合は二人とも考えなきゃならないってだけ。
【片方が死んでも半分ローンが残る、、、】
それぞれが単独ローンを組んでるんだから当たり前。自分の収入に見合った額を借りているならこれまで通り働けば返せる、というのが建前。
ただ、これまで通り働けるのか?これまで通りで成立するのか?という点は確かに難しい面もあるかもしれない。これまで二人でやっていた家事育児を一人でやることになり仕事の時間が減るかもしれないし、固定費(NHK受信料等)の負担が多く見えてくるはず。
なので、余裕を持った収支バランスにしておくとか、相手に万が一のことがあったら自分のローンもなくなる団信に入るとか、生命保険に入るとか、何か手を打っておいた方が良いとは思う。
我が家の場合だと、上述した病気で働けなくなった場合に備えた保険は死んだ場合も保険金が出るし、老後に向けた資産形成で活用してる一時払いのドル建て終身保険(4~5%程度の固定金利で運用されるやつ)も一応生命保険なので死んだら保険金が出るし、結構備えているので、なんなら死んだ方が金銭的には裕福になるまである気がする。
【離婚したら最悪じゃん】
それはそう。しかも離婚って お互い働いてる = 経済的に独立出来る カップルの方が閾値が低いみたいな話も聞くので、ペアローン組める様な人たちってまさにそれな気もする。なので離婚するかもって人は、ローン自体、特にペアローンはやめておいた方が良いとしか言えない。
個人的には、あり得るかあり得ないかもわからないものを心配し過ぎて何も決定できずに人生過ぎていく方が損だと考えてるので、この点については考えるだけ無駄だと思ってあまり心配してない。最終的な逃げ道(売る)さえあればまぁ何とかなるでしょうと。
あと綺麗事を言ってしまうと、ペアローン組んで離婚出来ないからこそ、我慢するなり相手に寄り添うなり心持ちが変わることもあるんじゃないかと思う。子は鎹ならぬ、ペアローンは鎹。
【ペアローンだと諸費用が倍かかって損】
住宅ローンの諸費用といってもいくつかの種類の合計で、一番高額なのは事務手数料とかいうやつで借入額の2.2%かかる。(%じゃなく固定金額のもあるけど)これに関しては単独ローンだろうがペアローンだろうが、借りる総額が同じであれば総額の2.2%なので何も変わらない。借入総額が8000万であれば、単独なら176万、ペアで半々ならそれぞれ88万というだけ。
不動産登記の税金もかかるけどこれも確か借入額に対しての割合なので単独もペアも変わらない気がする。
司法書士報酬に関しては登記を2つしてもらうことになるわけなので倍かかり、いくらくらいかよくわかってないけど10万そこらなんじゃないかと思う。
なので諸費用が倍ではなく、諸費用のうちのほんの一部が倍なんじゃ?というのが私の理解。まぁそれが損だというなら損なんだとは思います。
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