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一人好きになりきれない あるINTJの話

「私、大学生の時トイレでよくお弁当食べてたよ」
「え、虐められてた…?」

INFJの彼氏は若干引きながら驚いていた。
当然の反応である。

私は大学での人間関係もちゃんと(?)崩壊していたが、辛うじて一緒に講義を受けたり昼休みを過ごす知り合いは2人ほど存在していて、一人ぼっちではなかった。
以前の記事で書いた通り、私は【周りにとって都合の良いESTJ】になろうとしていたから。

しかし、とにかく大学に行きたくなかった。
特に大学の昼休みが大嫌いだった。
昼休みになると、知り合いと話しながらご飯を食べないといけない。相手の話を聞いて、内心共感してなくても共感して気持ち良くなってもらって、たまに「そんなわけないでしょw」「バカじゃないの」などの無配慮な言葉を浴びせられながら、ヘラヘラ笑う必要があった。

私は大学3年生くらいで、割と精神的に限界を感じていた。しかし選んだ学部の問題で、さらにあと3年通う必要がある。
まだ半分もある……嘘だろ……絶望だ……

とりあえず、どこか別の場所で1人で昼ごはんを食べる?

ここで新たな問題が発生する。
INTJは一匹狼な人が多いかもしれないが、実は私は1人で飲食店に行ったり、お出かけしたり、多くの人がいる場で1人でいる状況が苦手。自分が変な動きをしてる気がして落ち着かない。実際は誰も見ていないのは分かってるんだけど。

一人行動している時の自分の見え方が気になるのだ。
普段から他人の目がやたら気になるようなタイプではない。でも、何故か外で1人でいる時の自分の動きがやたらぎこちなく感じる。
結果的に、他人から見ても無理して一人行動をしている人のように見えるんじゃないかと思ってしまう。
たぶん実際はそんなことはないけど、自分の中でそういう感覚がずっとあるから、結局外で1人でいるのはどうも落ち着かない。

じゃあ、1人の時間が嫌いかと言われるとそうではない。自分の部屋など、周りに本当に誰もいない空間は大好き。基本インドアなのもあって、自分の部屋で1人でゴロゴロする時間は至福の一時。

要は大学構内で完全に誰にも見られず1人っきりになれる場所が私には必要だった。
そして見つけた。トイレの個室だ。
鍵がついていて座れる。絶対に誰も入ってこないし、誰にも見られない。こんな快適な空間が他にあるだろうか。
かなり雑な人間なので、トイレでご飯を食べること自体にも私は抵抗無かった。

というわけで、何とか上手く知り合いを誤魔化しながら、昼休みはトイレに避難した。
「今どこにいる?」などとたまにLINEが飛んできたりもしたが、気付かないフリをしてトイレの個室で永遠にスマホゲームをやったりもした。

どんな人間だよ、と自分でも振り返ってみて思うが、それだけ大学を含め学校生活というものが私に向いていなかったんだと思う。向いていなかったというか、適応しきれなかったというか笑

私は真の一人好きに憧れる。
きっと本当の意味では、一人好きではないから。

仮に周りの目が気にならなかったとしても、具体的な用事がない限り1人で外出はしないと思う。
自分以外の人間がたくさんいる時点で、私にとって外の世界というのは居心地が悪い場所で、そこに行く時は傍に自分の理解者がいて欲しいと思ってしまう。

一方、典型的なINFJの彼氏は一人の時間が大好き。
1人でお洒落なカフェに行ったり出来る人。
「1人が好き」「1人の時間がないと無理」
と事ある毎に彼は言う。

そんなに1人が好きなのに、何故、私と付き合っているんだろう。どう考えても誰とも付き合わない方が1人でいる時間が増えるのに。
ふと我に返って、「やっぱり俺は誰かと一緒にいるの疲れる。1人でいたいから別れよう」などと突然言い始める可能性も無くはない。
色んな可能性を考えてしまう私は何となくずっとモヤモヤしていて、ついに本人に聞いた。

「あー……一緒にいる時に2人だと思ってないからかな」

何やら始まった。
こうやっていつも面白い持論が飛び出すのだ。

「もう自分の体の一部?みたいに思ってるからかも。あるのが普通で無いのが普通じゃない。だから、一緒にいる時に2人だと思ってない。2人で1人……まって、俺、中二病かな?」
「いやそんなことは」
ないとも言いきれず私は笑ってしまう。

他人を自分の一部と認識する発想。
何でもかんでもINFJ、INFJと言いたくはないが、そうだとしてもかなりINFJらしい独特の感性だと思った。
彼は好きだとか愛だとか、そういう単純な単語を好まない。壮大で深く全ての物事を捉えているから陳腐に感じてしまうのかもしれない。

「……やっぱり俺ら以外の人類滅亡しないかなぁ」
「いざ滅亡したら絶対困るよ」
「そう? 2人で自給自足の生活しようよ」
「かなり嫌かも」

私は外に人がいる状態で、個室に閉じこもりたい……
出来れば2人で。
私は2人を2人と数える。だから2人でいい。


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