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社会に適応しようとした あるINTJの話

薄々勘づいてはいたが、
「どうやらこのままだと自分は社会生活に適応出来ないらしい」
と高校生くらいの時に、私は気付いた。

人の矛盾や欠点を指摘しがち。人の気持ちが分からず共感力に欠けるので、知らず知らずに言葉で人を刺す。

「まぁまぁそんなに怒らなくても」
「はいはい、毒舌やめなって」
などと、高校の同級生によく言われた。

そもそも怒ってないし、毒舌のつもりもない。
色んな物事の矛盾やおかしな点を指摘したいだけ。仮に私の言ってることが間違っているなら、どんどん指摘して欲しかった。何ならそういう議論がしたかった。

「凛ちゃんは性格がキツい」

でも、みんなが私にかけるのは、私に対する否定の言葉ばかり。
何故、私が悪いように言われる?
私はきっと正しいことを言っているのに?

ふと周りを見渡した。

こんな人間は、この空間に、私ただ1人。
あ……。世間一般的には、私がおかしいんだ。

やっと気が付いた。

これではダメだ。社会生活をやっていけない。
もっと社会に溶け込まないと。

色々模索した結果、私にとっての理想の立ち振る舞いがESTJだったんだと思う。
言うべきことは言う、一見厳しく冷たそうだが社交性やリーダーシップがあって人から頼られることが多く、コミュニケーション能力が高い。
INTJと似ている部分もあるが、社会適応能力自体はESTJの方が圧倒的に高いと私は思う。

そういうわけで、私は無意識ではあるが、ESTJの言動をベースにして人間関係を徐々に構築し始めた。

ここで1番厄介だったのは、同年代の女の子との接し方。

なんせ、私は彼女たちに何も共感が出来なかった。
話が通じない、つまらない、イライラする。

最悪の感情ばかりが湧き上がって、どう考えても1人でいた方が精神衛生上良いだろうと思った。
ただ、私は社会にどうしても溶け込みたかったので、早々に諦めてぼっちで生きる選択はしなかった。
私なりに、彼女たちへの対応の仕方を考えた。

どうやら女性は共感を求めるらしい。
ならば…と、私は一緒に行動出来そうな女の子を数人ほど厳選し、彼女たちの言うことは絶対に否定せずひたすら共感しているフリをすることにした。
ただ、人の気持ちが分からないまま手探りでやっているので加減が分からず、結果的にやりすぎてしまうことが多かった。

やりすぎてしまうとどうなるか。
「こいつは絶対に私の言うことを否定しない」
「何も考えてなさそう」
と判断され、無配慮な言葉を浴びせられることが多くなった。日常的に「バカじゃないの笑」とか冗談混じりではあるがよく言われるようになった。
それでも私はヘラヘラ笑った。
私もこいつもバカだな。何してんだろと思いながら。

こうして、【ESTJっぽいけど、身近な人(私と一緒に行動するようになった数人の人)の言うことは否定せず、共感力がある調子が良い女】が完成。
一見怖そうだけど、仲良くなると意外に接しやすい。周りにとって、かなり都合が良いギャップを持ったESTJとなった私は、そりゃあもう身近な人に無配慮に利用される場面が増えて、精神が疲弊した。

まぁ仕方がない。そもそも私の性格が原因だ。

基本何でも0か100なので、このまま演じ続けるか、本来の自分を出すかの2択しかない。そもそも私は人との接し方が分からないコミュ障なので、他の選択肢がない。
だから、これからもINTJらしい批判的な考えを心の中で大量に渦巻かせながら、社会生活を送っていくんだろうなと思う。

高校生までは、心から信頼して理解し合える友人との出会いに憧れていた。しかし、大学での人間関係も上辺だけの酷いものだったので、私はやっとその憧れを捨てた。
そもそも苦労してそんな友人を見つけても、コスパが悪いと感じた。
(こういう考え方をしている時点で終わってるなと思う)

親友が仮に1人いても、一緒に住むわけではないし、赤の他人の領域は越えられないだろう。結局は一人ぼっちで、そのまま老後も1人だったらきっと寂しいだろうと私は予測した。
ならば、生涯添い遂げられるパートナー、夫になる人を全力で探した方が良さそうに思えた。

そう、私がずっと昔からわずかな希望を持って探していたのは、恋人、人生のパートナー。
たった1人でいい。たった1人でいいから、私を理解してくれる人間がそばにいて欲しい。
それだけで私の人生は大きく変わると思っていた。

実際に恋愛に関しては、中高校生の時に訳の分からない恋愛をしてみたり、大学生になってマッチングアプリを始めて色々あったり、そりゃもう色んなことがあったが、その辺の話についてはまた別の機会に。

「あー、凛ちゃんと俺以外の人類、全員滅ばないかなぁ。理解し合える相手が1人いれば他に誰もいらない。 2人だけで生きていくのが1番幸せだよ」

突然私の目の前に現れて、ニコニコと壮大でサイコパスな数々の持論を繰り広げるINFJの男。
理想に対する考え方や、今までの人生で選んできた行動は私と全く違うのに、私は彼の言うことを否定出来ないし、むしろ分かる気がした。ちゃんと理解が出来た。

「嫌なこととか苦しいこととか、突き詰めていくと全部世界が悪い、になるんだよね」

彼が私の人生を、最終的にどう変えるかはまだ分からない。



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