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懐の深い名曲『紅』~映画『カラオケ行こ!』レビュー~

『紅は、名曲』

色んな感情を抱え込む。懐が深い名曲、紅。

今までなぜ、ちゃんと聞いてこなかったのか。
今までなぜ、こんな深い歌を素通りしてしまったのか。

きっかけは、映画『カラオケ行こ!』
2024年の1月に公開された映画です。

たまたまネトフリで配信しているのを見かけたので視聴してみました。なんか設定が面白そうだな~と思って番宣で見たのに、配信に気づくまで忘れていましたよ。


まさかネトフリで配信しているとは。


青春も延長できたらいいのに。

ってキャッチフレーズがまたセンスある。


悩める中学生岡聡実と、悩めるヤクザ成田狂児の交流

歌での悩みを抱える者同士の交流が描かれている本作品。

組のカラオケ大会でビリになると、嫌いなものを入れ墨されてしまうヤクザと、今までずっと金賞受賞していたのに今年は銅賞の合唱部の部長。

ありえない設定ではあるものの、それはエンターテインメントとして受け入れるのが大事ですよね。
よもや、周辺者になっちゃうんじゃないかなんて、現実的な部分は想定してはいけない。

ヤクザにも臆することなく、歌に対する意見を堂々という中学生。
そしてその意見をしっかり受け止め、実践しようとする素直なヤクザ。

聡実くんの淡々と無表情で感情を入れずに突っ込むさまは、さすが大阪の中学生と言ったところ。

さらには、カラオケ帰りの中学生を途中まで送り、夜道の心配をするヤクザ。
そして、無事に家に着いたら『無事につきました』ラインする中学生。
付き合いたてのカップルかと困惑してしまう。

聡実くんが、狂児を慕っていく状況がゆったりと描かれています。

前半はのんびりとしたテンポで進んでいきますが、後半ラスト30分は必見です。この映画見てから、何回繰り返し見たことか。

日本の映画って、結構ゆったりした感じで進んでいくのがちょっと苦手だったんだけど、この映画に関してはその丁寧さが生きるような作りになっていますね。

好きな場面は、ここ。
ラスト35分くらいのところで2人で語っているシーン。

聡実『きれいなソプラノが出ない。』
狂児『きれいなもんしかあかんかったら、この町皆全滅や。』

この言葉でなんか吹っ切れたような顔になるところがたまらない。
年齢差も立場もまったく違う2人の親交が丁寧に描かれています。


紅の歌詞がマッチしすぎ(ちょっとネタバレあるかも)

ちょっとネタバレあるかもしれないので、この項目以降は見たくない人はとばしてください。

  • 巻き戻しのできないビデオデッキ

  • もう、元のソプラノの声では歌えない

  • もう、このメンバーでの合唱祭は歌えない

そんな青春の巻き戻しができない部分を、紅という歌に込めて伝えてくれているような切ない感じがまたいい。

俺が見えないのか
すぐそばにいるのに

もう二度と届かないこの思い
閉ざされた愛に向かい
叫び続ける

XJAPAN『紅』

この歌詞がバチくそマッチしている。

もはや主人公は聡実くんといっても過言ではありません。この時期しか出せない歌声を、見られただけでも価値はあるのかもしれない。オーディションで選ばれた、齋藤潤さんという俳優を発掘してくれてありがとう。

『紅』の様々なバージョンが楽しめる

紅の様々なバージョンが楽しめるのも1つの魅力。紅っていう歌自体が色んな感情を受け止めてくれる感じがあるんですが、歌う人を全く選ばないというか。

狂児の裏声紅に始まり、リトルグリーモンスターと合唱部の紅。
そして、魂のこもった聡実くんの紅。

声変わりの時期特有の声の出方に胸がキュッとなります。
合唱部の歌紹介からの『紅だー!!』は必見です。

様々なバージョンの紅が聴けるってのもこの映画の魅力かもしれません。

サブテーマは愛

愛をこめて歌えばいいんだよ!という先生の合唱祭とカラオケ大会の対比。
そこからの紅は必見です。

『嫌いなもんを組長に言っていたら、本当は好きなものを彫ってもらえるんじゃないか』と、狂児がカラオケ大会でビリになる前提で話しているシーン。
これがラストに生きてくるとは。

まさに、愛です。
人生には、こんな出会いがあっても面白いのかもしれません。

まとめ

紅が発売されたの、1989年。
今までスルーしてきたことが信じられない。
なんてもったいないことをしてきたんだろう・・・と反省しています。

映画を見終わった後、すぐにYouTubeに飛んでしまいました。
本家の紅を見ると、迫力があっていい。

コメント欄を見ると、同じように『カラオケ行こ!』から来ている人がたくさんいましたよ。

今なお色褪せず、歌う人によって様々な表情をみせる紅って、すごい。
語彙力がなくなってしまうほど。すごいしか言えない。

色んな音楽に触れること、大事ですね。

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