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バリューを体現した人を讃える仕組みを作った話

こんにちは、JX通信社で人事を担当していますカワイです。
突然ですがテストです。

自社のミッションとバリュー、言えますか?

今お勤めの会社のミッションやバリューを聞かれたとき、スラスラと諳んじることができますでしょうか。

「あれ、なんだったかな?」と今自社のサイトをカンニングしようとした人は減点です。「どうでもいいや」と思った人は赤点です。「どうでもいいけどカワイの文章の続きが早く読みたい」と思ってくれた人には花丸あげちゃう。冗談はさておき、スラスラ答えられた方はそんなに多く無いんじゃないかと、私は睨んでいます。

会社のミッションとバリューについて、少しおさらいしておきましょう。私の理解ではざっくりとこんなイメージ。間違っていたら教えてください。ミッションとバリューの間に「ビジョン」を掲げている会社も多いようですが、ここでは割愛しました。

ミッション:会社の存在理由

バリュー:そのための行動指針

ミッションは「会社がなんのために存在するのか、何を成し遂げるべき機関なのか」表した文章ですね。一方のバリューは「そのミッションを達成するために大事にしてる価値観」です。

みんな大好き『キングダム』で例えると、秦の「天下統一して平和な世の中を作る」というミッションを達成するため、「法律に書いてオープンに」とか「約束は大切にする」とか「個とチームの強さにこだわる」みたいなバリューがあるわけです。

適当に書きましたが、秦のバリューが『セブンルール』みたいな表現になりました。あの番組で挙げられているルールも、なりたい自分になる(ミッション)ための行動指針(バリュー)と考えられますね。ちなみに先日の放送では、藤田ニコルさんの「打ち合わせは聞き流す」という衝撃のバリューが判明し、世間をざわつかせました。

参考までに、JX通信社のミッションとバリューは以下の通り。JX通信社のバリューは、昨年社内アンケートなどをもとに、「JX通信社らしさ」を表すものとして制定されました。

 【ミッション】
テクノロジーで「今起きていること」を明らかにする報道機関
【バリュー】FOCuS(フォーカス)
- Future-oriented(手に入れたい未来に向かって)
- Ownership(主体性を発揮して)
- Customer-first(顧客志向で)
- Speed(スピード=競争力)

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1/729(ナナヒャクニジュウキュウブンノイチ)も伝わらない…

ようやく本題に近づきます。各社の経営陣の皆さんが頭を振り絞って考え抜いた末に誕生したこのミッションやバリューは、実は会社にとってはものすごく大切です。なにしろ自分達が何者で、どう達成すべきかを規定しているのですから。

意外性が無くて面白みに欠ける一般論ですが、全員が同じ目標をかかげ、同じ価値観をもって動ける組織は「強い」とされています(し、たぶんそうでしょう)。全員の目標や価値観がバラバラなので組織が空中分解してしまう様子は、色んな漫画や映画で主人公の挫折経験として見たことがありますよね。ここでは、ミッションやバリューをみんなで共有して体現していくことが重要という考え方に立ちます。

ですが、これを全社に浸透させるとなると意外と難しいのが現状だと思います。経営陣から手を変え品を変え何回も繰り返し伝えても、思いは1/3しか伝わらないのは20年前の歌にある通り。この式にのっとって、社長→役員→部長→課長→係長→主任→メンバーまで落とし込もうとすると、メンバーに対して社長の考えは729分の1しか伝わっていないことになります。これは、冗談のように聞こえますが我ながら意外と芯を食った表現で、特に大企業だとそんなもんだと思います。

今回は、そんな浸透しづらいバリューを、少しでも浸透させられるよう、表彰の仕組みを考えたお話です。(ようやくたどり着きました)

バリューを浸透させたいぞ

数字でお話しましょう。4月時点で得られたJX通信社の社内アンケート結果(※)では、4つのバリューの内容を知っている方は96%ほどでした。そこそこ高いですが油断してはいけません。大事なのは、それが個々人の意思決定や判断基準として活用されているかどうかです。そちらの質問に対しては、「非常に参考にしている」が43%、「ある程度参考にしている」が48%、「普段は忘れがち」が9%という結果でした。

このアンケートからは、「FOCuSというバリュー自体の認知は浸透している」が「具体的に行動に落とし込める率はちょっと下がる」ということがわかります。まだバリューが生まれてから間もないこともあり、「で、具体的にはどんな行動なのよ?」という理解が不足していることが推察されます。アンケート結果はそこまで悲観的ではない結果でしたが、ゆくゆくは「自分はバリューそのものである(ドン!)」という回答が100%になる結果を目指していきたいですね(そんな選択肢はない)。

そこで、バリューが発現されたメンバーの素敵な行動を、みんなの前で具体的に紹介しつつ讃えることをはじめました。これが今回のテーマの表彰制度、その名も「FOCuSアワード」です。

(※)このアンケートは、社内にバリューを浸透させるために立ち上がった有志の「バリューチーム」の皆さんが取りまとめてくれました。感謝。

讃える仕組みを作るうえのキモ

制度を作るにあたって、気をつけたのは以下の2点です。単純なので、当たり前じゃん?と思うかもしれませんが、意外とここを外すと、実態は明後日の方向に飛んでいきます。

- 成果よりも行動を讃えたい
- 誰もが受賞チャンスを持てるようにしたい

そもそも今回の制度の目的としておいたのは「バリューの具体的な発現事例(=行動)の理解を広める」ことです。そのために、発現された事例を讃えることを重視し、その成果にフィーチャーしすぎないようにしました。成果はオマケです。

結果がどうなったかはさておき、いい結果が出るようにと取り組んだ事例を讃えたい、という思いから、表彰の要件としては成果が上がったことは必須としておらず、むしろ失敗上等!としています。

成果を重視し始めた瞬間、制度が根底から覆ります。「バリューを体現した行動を讃える」→「成果を讃える」というメッセージに切り替わるため、ここは最大限注意したいポイントです。

また、例えば表彰の基準として「売上の目標比130%以上達成」とおいてしまうと、それは単なる営業表彰になってしまいます。その成果自体は褒められてしかるべきものですが、エンジニアの方からみたら拍手しか送ることができません。

今回それよりも大切にしたのは、130%の売上を達成するために、「お客さんが本当にほしいモノを特定して、スピード感をもって提案していった」ことですし、「そのためにどんな工夫をしたか」という行動です。この取り組みや工夫を社内で展開すれば、ビジネスサイドだけではなくエンジニア、デザイナー含め多くの人の参考になることでしょう。表彰の観点はもちろん、JX通信社のバリューFOCuSが発現されているかどうかです。

その他の細々した運用のはなし

私としては、上記のキモの部分さえお伝えできれば満足なので、特にそれ以上話すことはないのですが、気になって夜も寝られない方から突然電話がかかってきたら怖いので、少しだけ。

頻度は?:月に1回、 All Hands Meeting (全社会議)で発表します

案件はどうやって集めるの?:自薦他薦を含む公募です。マネージャーも気づけてない"いぶし銀"な活躍も、ちゃんと見てる周りの同僚が見てくれます。

案件はどうやって決めるの?:マネージャー・役員陣でみんなで話し合って決めます。(なのでマネージャーが受賞することはありません)

対象はだれ?:バリューを発揮する単位は個人なので、より具体的な行動を讃えるために個人を対象にしています。チームを受賞対象とはしませんよ、という意味です。

何くれるの?:いくつか選べるようにしましたが、個人的なオススメは「役員プレミアムセレクション」です。受賞者が選んだ役員1名が、受賞者のことだけを考えて選んでくれるプレゼントで、何が貰えるかわかりません。

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実際にやってみて

ここまで、ミッションやバリューが伝わりにくいよね、っていう話から、バリュー浸透の一助としての表彰制度を考えた話をさせてもらいました。

先日、ついに社内初のFOCuSアワード受賞者が誕生しました!(パチパチ)具体的な案件内容は伏せますが、応募から選定まで、運用面で社内で起こったことを参考に残しておこうと思います。

応募の気軽さと、記入フォーム内容のバランスむっっっずい
今回の制度は、公募という手段を使っているので、できるだけ多くの方から、多くの案件を気軽に投稿してもらいたいという背景がありました。蓋開けて応募2件とかだとほんとに泣くので。投稿フォームが簡潔なら気軽に投稿できるけど詳細がわからず、かと言ってフォームが細かくて長ければ人は投稿する気になりません。このバランスがとてもむずかしくて、案件の詳細が客観的に理解できつつ、気軽に投稿してくれる絶妙なラインを目指したフォームを目指します。

やっぱり成果って目立つことが分かった
マネージャー・役員陣での案件を精査している時、やはりというべきか、成果の話も多く出てきました。成果や実績はとてもわかりやすいので、何となく話していると無意識に議論がそちらに進みがちだと明らかになりました。設計する時に明文化していなければ、目立つ成果を上げた人から表彰されていったかもしれません。が、JX通信社で目指す方向はそうではないことは前述のとおりです。

バリューの体現を具体例とともに讃える
→バリューの理解者が増える
→バリューを体現した行動が増える
→全社の成果が上がる

今回立ち上がったFOCuSアワードが目指す未来は、上記のような回り道だと思っています。ミッションやらバリューの浸透に特効薬はなく、色んなアプローチから時間をかけて取り組む必要があって、今回の取り組みもその一環です。

今回の制度の名称や副賞の内容などは、社内のバリューチームの皆さんに助けていただきました。この場を借りてお礼です。ありがとうございました!

JX通信社では、今後もこのような取り組みを続けていきます。採用活動も行っていますので、ご興味のある方はお気軽にお声掛けください。


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