見出し画像

社内で「ほぼ無敵の人」っていないですか?

暑い暑いと言っていたら、今日は一転して大雨です。被害を受けた方々に心よりお見舞い申し上げます。

さて、……

あなたの勤務先の会社が高齢者雇用についてどのような制度を採用しているのかは分からない。でも、会社側は何らかの対応を迫られており、それに適合する制度を定めているはずだと思い込んで以下書いてみる。

従来の60歳定年を残置し、一旦退職して頂いた以降は嘱託社員として65歳まで雇用する制度を取っている会社は少なくなかったと思う。しかし、これについてはいくつかの弊害があった。

まず、雇用する側から見ると
・毎年更新となるため、複数年に跨がるような大きなプロジェクトへの参画をお願いしにくい。
・給与を下げているため、従来の働き方をお願いしにくい。
といった点で、「遠慮」が生まれがちであった。

逆に雇用される側から見ると
・自分に対し、会社がどの程度期待しているのかが分からない。
・どの程度自分が会議で踏み込んで発言して良いのかの感覚が分からない。
・毎年更新というのは、自分の健康を厳密に管理しなければならず、心理的にかなりの負担がある。
といった点で、会社へのアイデンティティを持ちにくいという不満があった。

こういう双方の不満があったことは指摘したい。

そして、何と言っても一度退職して退職金を受領、かつ現役時代よりかなり下がった給与を重ね合わせると、興味を持てない仕事に対する意欲はかなり減退する。正直、怖いものがないからである。

管理職でなくなったとはいえ、それなりのパフォーマンスの発揮を期待するのであれば、相応の処遇を行うべきである。当たり前のことだけど、従来はその点について会社側の意識が低かったように思う。

こうなると、もらうものをもらった人間に対する統率が利きにくくなる。ぶっちゃけ、立場上上司となった後輩達に対して、唯々諾々とは従わなくなる者が現れることとなったのである。

翌年度以降、嘱託契約を更新してくれないかも知れないという不安は抑止力にはなる。でも、更新対象の契約がショボい内容であれば話を聞いてもらいにくくなるのは自明。怖い物がなければ、無敵の人として振る舞いかねない。

65歳までの雇用が義務化されるタイミングで多くの会社が社内規程を見直しているのは、この点に対する守りなのだと思う。つまり、60歳以上の社員にも一定の責任を負わせる一方で、支給額を従来よりも増額することで、無敵化させない。このような対応が増えてきていると感じる。

このこと自体は良いことなのだろう。でも、若い社員から見ればそれだけパフォーマンスを問われるということでもある。

人事労務担当者は、常にこの全方位からの評価に耐える施策を打ち出さねばならず、大変だと思っている。

お読み頂き、ありがとうございました。

読んで頂いただけでも十分嬉しいです。サポートまで頂けたなら、それを資料入手等に充て、更に精進致します。今後ともよろしくお願い申し上げます。