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危機管理の視点でフジテレビの記者会見を見てみる
今日のお昼は気温が上がりました。期待通りではあるのですが、もう一声欲しかったですね。冬の気温は死活問題だと思うようになりました。
さて、……。
昨日16時から今日未明の2時半近くまで行われたフジテレビの記者会見。10時間半にもわたる長丁場に関わった人に対し、まずはお疲れ様と申し上げる。
これ、表に出ている役員だけでなく、裏方で勤め上げた多くの社員がいたのだろうと思う。では、36協定に基づく事前協議がキチンと実施されていたのかが気になった。これ、適当にやっていると労基署が黙っていない事案でもあるので。
それはさて置き、本件は他社の危機管理対応を実地に学べるという点で、他山の石となるものであったと思っている。今回は、危機管理という視点で書いてみたい。
本件はそもそも、某超弩級タレントと事案発生時にフジテレビの社員であった女性とのトラブルが発端。このトラブルは2023年6月にフジテレビにて認識されたもの。女性の異変に気づき相談に乗った上長はグッジョブである。
この上長は自分よりも上の職位に情報を上げた。これは管理職としてあるべき振る舞いである。内容的に自分に判断の決定権のないことは、上に上げて判断してもらうべきであるからだ。
ここで、当該女性社員は心身に傷を負っていた。女性社員のケアが最優先となるのは当然である。一方でトラブルの相手というのが某超弩級タレント。社員を守ることと視聴率を稼げるVIPとの付き合い方のせめぎ合い。対応を誤れば会社経営に重大な影響を及ぼし兼ねない案件である。
このトラブルは、2023年8月に社長に報告された。上長が最初に認識してからざっくり2カ月が経過、いかにも遅い。それでも、その後問題が発覚するまでの放置1年半に比べれば早いと捉えられる……のは無理筋過ぎる。
私の感覚では、本来即日、踏ん張っても翌日には上申すべきものだと考える。事が重大なのだから、この2カ月間情報を止めていた者は危機管理能力が皆無だと断じられても仕方がない大失態である。
でも、トラブルを社長が知った後、特に動いた様子がないことの前にはこの緩慢さも霞む。女性の体調面の状況把握と回復が第一なのは分かるのだけど、どうして何もしないことに繋がるのか。私には全く分からない。
しかも、当該タレントをそのまま番組に起用し続けた一方、女性社員は仕事に復帰できない状態が継続、結局退社するに至った。そして文春砲を浴びて現在に至った。
これ、日本の経営者にありがちなのだけど、何を守るべきか、守るために何をすべきかをキチンと理解し、速やかに動かないからこのようなことになる。相手が超弩級のタレントであっても、守るべきは社員であり、その尊厳を踏みにじられたことに敢然と怒らなければならない。
女性社員の「事案を公にせず他者に知られずに仕事に復帰したい」との強い意向があったとしても、少なくともこの超弩級のタレントとは話ができたはずである。会社として社員を守るという当たり前の姿勢で社としての意思統一ができなかったことは、遺憾の極み。
当然、番組への起用は再検討すべきだっただろう。でも、一切実効のあることをせず、事実上放置したことが、今の最悪の事態を招いてしまった。
社長は情報を得た瞬間に危機管理の人間を集めるべきだったと思う。担当役員、総務・法務の社員、そこでお付き合いのある弁護士等を集めて対応を協議、そして速やかに言える範囲で公表すべきだった。
プロに任せる決断を下せなかったことが、黙って首をすくめている内に通り過ぎるのを期待したことが10倍返しとなって返ってきたことを、私たちは見定めるべきだったと思っている。
お読み頂き、ありがとうございました。
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